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第19回 1981年(昭和56年)「ジャンプ」の『Dr.スランプ アラレちゃん』と「サンデー」の『うる星やつら』

TVアニメリスト1981年

 1981年は、鳥山明と高橋留美子という2大作家のアニメ時代が幕を開けた年である。
 4月には、鳥山原作による『Dr.スランプ アラレちゃん』が放映開始。製作は東映動画で、プロデューサーの七條敬三、キャラデザの前田実、美術の浦田又治、シリーズディレクターの岡崎稔らは細心の注意を払い、アメコミ風の洗練された絵柄、とぼけたギャグなど、鳥山ワールドの映像再現に挑戦した。その結果、同作は流行語「んちゃ!」とともに、アラレちゃんブームを巻き起こすまでに大ヒット。掲載誌「週刊少年ジャンプ」も驚異的に売り上げを伸ばし、集英社がTVアニメと原作連載との相乗効果を戦略的に指向する出発点ともなった。
 そして10月からは、高橋が小学館「週刊少年サンデー」に連載中の『うる星やつら』がスタート。実制作はスタジオぴえろが担当。1人の男の子を多数の美少女が取り巻くドタバタ・ラブコメディであり、本作はアニメにハーレムものという新たなジャンルを創出した点で極めて重要な作品となった。初代チーフディレクター・押井守のもと、新進気鋭のアニメーターたちがこぞって参加し、腕を競い合った点も特筆に値する。
 一方、ぴえろのルーツである竜の子プロにも新たな世代が台頭する。70年代半ばに入社した真下耕一が『G[ゴールド]ライタン』でチーフディレクターを任されたのだ。本作では同社出身のアニメーター・なかむらたかしもTVアニメの常識を超えたハイクオリティな作画で活躍した。吉田竜夫の死去以来、危機を迎えていた同社はこの頃から再び活気を取り戻し始めた。78年、杉井興治によって社内に設立されたアニメーター養成機関「タツノコアニメ技術研究所」も次代の才能を育成しており、その成果はこの後、着実に芽吹いていくのである。
 ポスト『ガンダム』となる巨大ロボットものにもふたつの傾向が現れ始めた。ひとつは、ロボット自体よりもキャラクターやドラマを重視した作品群である。『戦国魔神ゴーショーグン』の華麗な悪役ブンドル、『六神合体 ゴッドマーズ』における悲劇の兄弟マーズとマーグ、『銀河旋風 ブライガー』のJ9チームなどはいずれも女性ファンの心をつかんだ。一方、ミリタリー色を追究した流れとしては、高橋良輔、神田武幸監督の意欲作『太陽の牙 ダグラム』が登場。大河原邦男による、頭部に眼のないロボットデザインが印象的であった。

(12.11.12)リスト・本文修正

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