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第18回 1980年(昭和55年)日本テレビのリバイバル3作とスペシャルアニメの隆盛

1980年TVアニメリスト

 1980年は、2大作品『鉄腕アトム』と『鉄人28号』がカラーリメイクされた年である。
 両者は雑誌『少年』連載時からのライバル同士であり、TVアニメ化も同じ1963年。17年後の10月、またしても新作がぶつかり合う因縁となった。製作は新たに手塚プロ、東京ムービー新社が担当。古い原作を甦らせるためのタイムリーな工夫が施された点も共通していた。『アトム』では美形の好敵手アトラスをセミレギュラーとして設定。『鉄人』ではロボットのデザインをリファインするとともに、メカ作画の最先端で活躍する本橋秀之、亀垣一、鍋島修、金田伊功などを原画陣に投入。シンセ・サウンドを採り入れた音楽も時代を映していた。
 同じく10月には『あしたのジョー2』も登場。製作は東京ムービー新社。前作の正統な続編であり、監督の出崎統にとっては、自身のスタジオ・あんなぷる設立とともに、その経歴の転機となった重要な1作だった。
 上記3作は、前回はフジテレビ系、今回は日本テレビ系で放映されている点が興味深い。アニメ進出が後発だった日本テレビにとって、リバイバル路線は、かつてのヒット作を自局へと誘致する戦略でもあったのだろう。
 この年の前後は、単発のスペシャルアニメがブームとなった時期でもある。78年の『バンダーブック』に端を発し、79年には11本、80年には10本、81年には16本、82年には13本と多数の作品が放映された。内容的には著名な文学に材をとったものが多く、なかでも日本生命保険の提供による「日生ファミリースペシャル」枠はその代名詞的的存在となった。一方、TVシリーズの拡大スペシャルが作られ始めたのも同時期である。78年末の『キャプテン フューチャー 華麗なる太陽系レース』が先駆けであり、79年末より『ドラえもん』が春夏秋冬に特番「ドラえもん祭り」を放映するスタイルを作ってからは、この形式はすっかり定着した。
 5月には、富野喜幸監督の『伝説巨神 イデオン』がスタート。異星文明間での相互理解の困難さを突き詰めた意欲作だったが、視聴率的には振るわず途中で終了した。6月に始まった広川和之監督の『宇宙戦士 バルディオス』もまた同様の経緯を辿って打ち切りに。だが両作とも、後に未放映部分を含めた劇場版が作られ、公開されることとなる。それを実現に導いたのはファンの力であり、まさにアニメブームを象徴的に示す事件だった。

(12.11.12)本文修整

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