●2010年8月7日土曜日(2日目)
こうの史代「夕凪の街 桜の国」届く。
●2010年8月8日日曜日(3日目)
自分が持っていた「この世界の片隅に」を、企画を進めるために丸山さんに渡してしまったので、もうワンセット注文していたものが手元に届く。さらに「ぴっぴら帳」1巻を読み始める。
●2010年8月10日月曜日(5日目)
「ぴっぴら帳」2巻届く。
この頃は、自分たちの劇場化企画にはまったく先行きがないように思われてしまっていたので、「この世界の片隅に」を読んですずさんの顔を見るのが忍びなく、ひたすら「ぴっぴら帳」ばかり読んでいた。
今でこそ犬やネコを家で飼っているのだが、小学校高学年の頃から就職して実家を離れるまでずっと飼いつづけていたのはセキセイインコだった。なので、この「ぴっぴら帳」のぴっぴらさんは懐かしい。自分も良く、ハコベを採りに行ったりしたなあ、などと思い出した。
●2010年8月13日金曜日(8日目)
原作出版社である双葉社さんからリアクションをいただいて、状況が好転し始めている。「さんさん録」1巻届く。
●2010年8月14日土曜日(9日目)
「さんさん録」2巻、「長い道」届く。
●2010年8月15日日曜日(10日目)
「日本海軍軍装図鑑 幕末・明治から太平洋戦争まで」届く。東宝の衣装部に長く在籍された柳生悦子さんのご著書。「この世界の片隅に」には「海軍さん」がたくさん出てくるのだけれど、そうした服装となると実は詳しいのは映画の衣装屋さんなのだ。柳生さんは最近に至ってもNHK「坂の上の雲」の衣装考証などを務められている。ふつうの「海軍さん」ならまだなんとかりそうな気もしないではないのだけれど、周作さんという登場人物の職業が海軍文官で、文官の制服の戦時中における変化だとかちゃんと調べておかなくては、と思ったのだった。ちなみにこの本は2万7千円した。いきなり、えいやっ! という買い物に及んだのだった。
大塚康生さんの趣味の世界でのお仲間(三土会会員)である中西立太さんの「日本の軍装 1930〜1945」は、すでに持っていた。色がきれいな本だ。
●2010年8月16日月曜日(11日目)
呉市史編さん室「呉・戦災と復興 旧軍港市転換法から平和産業港湾都市へ」を広島の古書店あき書房さんに注文する。この古本屋さんは、今回の舞台となる広島や呉の昔の地図を独自に復刻販売されていたりして、この後もずっと資料の注文をメールで出し続けることになり、しまいには、注文の傾向を覚えられてしまい「こんな呉の地図もありますけど」とあちらからお勧めを出していただくまでになってしまう。
ほかの古本屋さんにも「呉市史」7巻の注文を出す。
●2010年8月17日火曜日(12日目)
「街角花だより」届く。
●2010年8月19日木曜日(14日目)
「こっこさん」届く。
●2010年8月29日日曜日(24日目)
廿日市のこうのさんの原画展で「鬼イチャン」を手に入れる。
●2010年8月30日月曜日(25日目)
東京の自分の家に帰ったら、留守中に「戦争中の暮しの記録」「戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る」が届いていた。「戦争中の暮しの記録」は基本資料ともいうべきものだ。
●2010年8月31日火曜日(26日目)
こうの史代「この世界の片隅に」はさまざまな知識やうんちくに彩られている。『マイマイ新子と千年の魔法』で自分も同じようなことをしていたような気もするので、戦時中の服装だとか、食べ物のことは、むしろどんなものを参考にして描かれているのか、ちょっとわかってしまうところがあったりする。
けれど、「この世界の片隅に」には戦艦大和のようなものまで登場してしまう。例えば、昭和19年4月のくだり。この月の大和の呉入港は史実として1回きりしかなく、となると、これはそのたった1回だけの入港日である4月17日。ここで描かれているのは副砲塔撤去、高角砲増備の改装工事を終えて伊予灘に赴いて公試を行い、完了して戻ってきた大和なのだ。この日、大和が宮島沖を通過中、近くで飛行機の墜落事故があり(大和を目標に急降下爆撃訓練を行っていた艦上爆撃機が海に突っ込んでしまった)、大和は救難のために立ち停ったので、呉帰投が遅れておそらく夕方になってしまっている。この夕方にすずさんが眺める大和の艦影は「リアル」なのだ。
4月17日の呉の天候は高曇り。気温は夕方でも比較的あって、うららかで、青空ではないが、空気が澄んで遠くまで見渡せている。すずさんがハコベを摘んで海を眺めるこの場面になんともぴったりで、そんな空の下にいただろうすずさんが実在の人のような気がしてきて、いっそう愛おしくなってしまう。
カレンダー代わりにほかの軍艦の呉軍港への出入りも調べておかなくては、という気についついさせられてしまう。それより何よりお天気調べも。
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