第40話「サファーデと一騎打ち!」……『空バカ』です!
崎枕(出崎統)コンテの『空バカ』2本め(あと1本あります!)。今回も飛鳥拳はフランスへ向かう飛行機の中から始まり、やっぱり出崎版『ブラック・ジャック』風。で、飛鳥がブラッド・ジョーに車でパリを案内されてるシーンが俯瞰の地図を縦横にPANするだけなのは驚くし、目が回ります! この大胆さもまさに昭和のTVアニメでよしとしましょう。
そして、ブラッド・ジョーに連れられて道場へ入った時の飛鳥の顔はこう——
なんと、道場の皆は空手を知らなかったのだ!! そのショックの顔です!
飛鳥は柔道以外の日本の格闘技を知らない道場の皆に「空手」を知ってもらおうと畳をぶっ飛ばして大暴れ! これがいったいどう空手の証明になるのか分からないほど蹴りやパンチで畳を弄ぶ飛鳥です。
70年代の出崎アクションはとにかくスローモーションの多用です。その多用されるスローモーションの中に止め画やリアルスピードを挟む事によるリズム感・テンポ感が独特なところに、モノローグを被せて心象風景と現実の交錯で格闘の臨場感を出してるわけです。他の演出家のそれがTVシリーズの費用対効果的側面が前面に出ているのに対し、出崎さんのは劇場でもTVでも同じ! 予算やスケジュールなどでフィルムの流れが左右されるなんてもっての外——それが出崎演出であり崎枕コンテ!
飛鳥との戦いラスト、フランス伝統の必殺格闘技サファーデの総帥・ボーモンが弟子・テイラに言います。
空手恐るべし!
この試合の結果がどうなろうと、この事肝に銘じておけ!
カッコイイ(ため息)!!