第454回 ハロプロ25周年コンサートで分かったこと
昨日発表があったので、ちょっと解禁。ミルパンセの次のシリーズは
『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』(略称『沖ツラ』)
になります!
また少々長めのタイトルで、沖縄が舞台のコメディてとこまでで、後は続報をお待ちください。ちなみにちょくちょく話題にしていますが、さらにこの次の作品も準備中。そちらは今まで自分がやってこなかったジャンルで、脚本(シナリオ)が半分上がった(折り返し地点を越えた)ところです。
正直、50を目の前にしてこんなに忙しくなるとは思っていなかった(汗)。「もっと早くに振ってくださればよかったのに!」「何で10年前に持ってきてくれなかったの?」などと、現状非常にアタフタ中。
で、『いせれべ』話の続き。
【5話は監督・田辺慎吾君の脚本・コンテ・演出、
たくらんけさんのグロス話数!】
脚本(シナリオ)の割り振りの際、「小動物のモフモフがやりたい!」と田辺君自ら名乗り出たのを記憶しています。たくらんけグロスは毎回安定の出来で、非常に有り難いです。俺的には脚本より、コンテ・作画段階で少々手を出しました。ひったくり犯を捕まえる辺りの優夜&ナイトとか。“ひったくりを追いかけるナイト”は久々に描いた動物の走りでした。同じくアクション系では大魔境でクリスタル・ディアー(鹿型の魔物)に爪を振り下ろすナイトも板垣が原画を描き直しました(放映前のPVでも使用したカットです)。あと、木村(博美)総作監の修正が入ったナイトは、毛並みも骨格もめちゃめちゃリアルでカッコよかったですね。
【6話は作画監督・吉田智裕君のコンテ・演出話数!】
この話の脚本は『ベン・トー』(2011)で一緒にやった筆安一幸(ふでやすかずゆき)君で、お久し振り! 脚本時に手は入れてないのですが、コンテ時に“非常階段と警備員の件”を追加しました。“退路を断たれた優夜”を画的に分かりやすくするためです。非常口を通れなくしないと、大炎上中の10階フロアを横切らなきゃならない必然がなくなってしまうので。
その大炎上と床ぶち抜き・超全力疾走など、6話のアクションシーンを担当したのが社内の中堅アニメーター・森亮太君。彼のシーンはキャラ修正こそ入るものの、動きはほぼそのまま。他話数のアクションも森君大活躍しています。
あと、ノンクレジットですがコンテは俺の方でそれなりに修正させてもらいました。やっぱ、これも学園の生徒だ、デパート客だと“モブ”で苦労した話数。最後、女子たちの救出劇~消化後の大団円辺りの消防隊員や救護班などのシーンも撮影上りを観て「これじゃあマズい」と、自分と木村でレイアウトから大直し——大変でした。モノによっては、あまり大きな声では言えませんが、
納期までに修復可能なアングルにカット内容自体コンテから組み直し
もしました。他話数も同様なのが何箇所もあります。それに合わせて現場(社内)の動画・仕上げスタッフもギリギリまで付き合ってくれて、感謝しかありません。
そして、また次週へ。
突然ですが、9月9日(土)の昼にトークイベント「第210回アニメスタイルイベント アニメマニアが語るアニメ60年史」を開催します。急な告知になってしまってすいません。
アニメスタイル編集長の小黒祐一郎が、独自の視点で1963年の『鉄腕アトム』から現在までのアニメの歴史について語ります。主にはアニメファン(アニメマニア)の視点による歴史になります。「アニメ制作における3大革命」や「作品とファンの再構築があった」など、目新しい話もあるはずです。
話の聞き手はプロデューサーとして活躍し、かつてはアニメージュの編集者として腕を振るっていた高橋望さんにお願いします。なお、今回のトークの内容を加筆修正して書籍化するかもしれません。
会場はLOFT/PLUS ONE。イベントは「メインパート」の後に、ごく短い「アフタートーク」をやるという構成になる予定です。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。
配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。
チケットは既に発売中。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。
■関連リンク
LOFT https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/261936
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第210回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2023年9月9日(土) |
会場 |
LOFT/PLUS ONE | 出演 |
小黒祐一郎、高橋望 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,300円、当日 1,600円(税込・飲食代別) |
『いせれべ』4話はREVOROOTさんのグロス話数!
非常に助かりました! ありがとうございます!
REVOROOTさんの演出・作画、サッカーシーンも女子更衣室シーンも総作監が入っていない段階でも安定のクオリティで素晴らしかったです。
コンテは俺が直接切り(描き)ました。他話数もコンテのチェックは全部自分でやってたのですが、一からやったコンテはこれだけ? な気がします。ま、部分的にアクション部分とかを、最初から俺の方で引き取った話数(10話とか)もありますが、1本まるまるはこの4話のみ。
自分の中にある監督の仕事での一番は、コンテの主導権を握ること! その考えでここ10年続けてきた“基本全話コンテ”を『いせれべ』では自ら封印。それは今作が板垣の“総監督デビュー”作だから。
里見哲朗P(今回はプロデュース協力)より、もう何年も前から助言されていたやり方です。里見P曰く、
板垣さんは最前線に立ち過ぎ! むしろ最後列で援護する作り方をやってみては?
と。これは彼の会社、ライデンフィルムで制作した『劇場版 カードファイト!!ヴァンガード ~ネオンメサイア』(2014) の監督を終えた後辺りから『COP CRAFT』(2019)の時も同様のことを言われてたので、今回はあくまで総監督。
つまりコンテの前——シナリオ(脚本)段階で押さえて、コンテは別の人に撒き、その上りを修正する、です。
そんな中4話はスケジュール的に適当な描き手が見つからず、自分に回ってきた訳。ま、久々に“白紙のコンテ用紙”に向かうのは新鮮だった、という1本でした。
また次回~。
腹巻猫です。SOUNDTRACK PUBレーベル第33弾「愛の若草物語 音楽集」を8月30日に発売します。TVアニメ『愛の若草物語』の音楽(BGM)を収録した初のCDアルバムです。試聴用動画も公開中ですので、ぜひお聴きください!
『愛の若草物語』は1987年1月から12月まで放送されたTVアニメ。日本アニメーション制作による「世界名作劇場」第13作にあたる作品である。
原作はルイザ・メイ・オルコットが1868年に発表した小説『若草物語(Little Women)』。くり返し映像化されてきた古典的名作である。日本でも何度かアニメ化されており、1980年に東映動画制作のTVアニメスペシャル『若草物語』が、1981年に国際映画社制作のTVアニメ『若草の四姉妹』全26話が放送されている。同じ原作を全48話のTVシリーズとして映像化した『愛の若草物語』は、再放送や映像ソフト化の機会も多く、もっとも親しまれているアニメ作品だろう。
舞台は南北戦争末期のアメリカ合衆国。マーチ家の四姉妹——メグ、ジョオ、ベス、エイミーは、従軍した父の帰りを待ちながら母とともに家を守っている。つつましい暮らしの中で、母の愛情に包まれて成長していく個性豊かな四姉妹の物語である。
監督(演出)は『小公女セーラ』を手がけた黒川文男。脚本は『ペリーヌ物語』『トム・ソーヤーの冒険』などの宮崎晃。そして、メインキャラクターのデザインは『赤毛のアン』の近藤喜文。主人公ジョオを演じるのが『赤毛のアン』でアン・シャーリーを演じた山田栄子ということもあって、当時、楽しみに観ていた思い出がある。
音楽は大谷和夫が担当した。大谷和夫といえば、ロックバンドSHOGUNのキーボーディスト、作編曲家として活躍し、ドラマ「探偵物語」やアニメ『CAT’S・EYE』などの音楽を手がけた人物。軽快なアクションものが得意な印象があったので、名作劇場への登板は意外にも思えた。しかし、これがすばらしいのである。
オーケストラを使ったクラシカルな音楽を基調としながら、リズミカルな曲やジャズ風の曲を忍ばせてくる。後期にはシンセサイザーを使った曲もある。優雅でありつつ、快活でモダンな響きをまじえた音楽が、四姉妹のキャラクターにぴったりだった。
音楽全体を見て気づくのは、本作にはキャラクターテーマにあたる曲がないこと。四姉妹のテーマや、ジョオたち1人ひとりのテーマは設定されていない。その代わり、心情や状況を表現する曲がふんだんに作られて、シーンに応じて使用されている。原作もそうだが、本作は本来、四姉妹全員が主人公と言える作品。特定のキャラクターにフォーカスしない音楽設計は作品の性格に沿ったものと言えるだろう。
また、オリジナル音楽にまじって「故郷の人々(スワニー川)」「草競馬」といったフォスターの楽曲が挿入されているのも特徴のひとつ。『トム・ソーヤーの冒険』でも同様の試みがされていたが、本作ではフォスターの曲のフレーズをBGMに引用したり、ベスが弾くピアノの曲としてフォスターの曲(やショパンの曲)が登場したりと、より物語に密着した使い方がなされている。音楽が四姉妹の生活に溶け込んでいるのだ。
さて、本作の音楽(BGM)の商品化は、放送当時キャニオンレコードから発売されたアルバム「愛の若草物語 音楽編」が初。同アルバムには、主題歌・挿入歌4曲、BGM18曲が収録されていた。挿入歌2曲はのちに後期主題歌として使用されている。以来、主題歌はたびたびCD化されたものの、BGMは一度も再録の機会に恵まれなかった。
今回発売される「愛の若草物語 音楽集」は本作のBGMを収録した初のCDアルバムである。初商品化曲も含めたBGM全曲をステレオ音源で収録した。放送当時のアルバムを聴いて「18曲ではもの足りないなあ」と思っていた方も、きっと満足していただけるはずだ。
収録曲は下記を参照。
https://www.soundtrack-lab.co.jp/products/cd/STLC052.html
構成は筆者が担当した。
ストーリーに沿った曲順とし、ディスク1を第1話〜第20話、ディスク2を第21話〜最終話のイメージでまとめた。
ディスク1でまず注目してほしいのは、オープニング主題歌のすぐあとに収録した「マーチ家の四姉妹」(トラック7)から「不安な影」(トラック14)までの8曲。いずれも第1話で流れた音楽である。実は第1話の音楽は映像にタイミング合わせたフィルムスコアリングで作曲されているのだ。四姉妹が1人ずつ登場するシーンの「マーチ家の四姉妹」は場面転換やキャラクターの動きに合わせて次々と曲調が変化する。それが姉妹の生き生きとした表情や動作を思わせて楽しくなる。トラック13「ピクニック」では軽快で楽しげな曲調が、終盤で不安な曲調に変化する。これもシーンの展開に合わせたものである。
トラック20「戦争の足音」からトラック22「燃える街」までの3曲は、ほかの楽曲とは雰囲気が異なるサスペンスタッチ、ミリタリータッチで書かれている。南北戦争の描写や兵士の登場場面に使われた音楽だ。街が戦火に包まれるなど、世界名作劇場らしからぬ緊迫した場面が描かれているのが、本作の前半エピソードの特徴。それを象徴する音楽である。
トラック23「さよならふるさと」からトラック28「新しい町」までは、マーチ一家が故郷を離れてニューコード(原作ではコンコード)に引っ越すまでをイメージした構成。トラック26「明日への希望」は、試聴用動画の1曲目で紹介した、さわやかで躍動感のある曲。本作の代表的な楽曲のひとつである。放送当時発売された音楽編アルバムにも収録されていたから、記憶に残っている人も多いのではないだろうか。次の「ふるさとを離れて」(トラック27)はフォスターの「故郷の人々」を引用した曲。原曲のノスタルジックな雰囲気よりも旅立ちの期待感を強調した楽曲になっている。
ディスク1の後半はニューコードに住まいを構えた四姉妹の日常をバラエティに富んだ曲で表現してみた。
トラック32「ジョオは怒りん坊」は第9話のジョオと新聞記者アンソニーのやりとりのバックに流れたコミカルな曲。お隣の少年ローリーとの友情を快活な曲調で表現する「友情」(トラック36)、エイミーのユーモラスなシーンに流れた「おしゃまなエイミー」(トラック38)などを挟み、もの憂く大人びたムードの「夢みる乙女心」(トラック41)がメグやジョオの繊細な心情を表現する。
次の曲からがディスク1のクライマックス。華やかなワルツを3曲続けた。
舞踏会にあこがれるメグやジョオの場面に流れた「舞踏会に行けたら」(トラック42)と「初めての舞踏会」(トラック43)、そして、速いテンポで新生活への期待と希望を表現する「明るい新天地」(トラック44)である。
四姉妹のちょっと背伸びしたロマンティシズム、少女たちが憧れる華麗な世界を表現していたのが、こうしたワルツの曲だった。ワルツの曲はディスク2にも収録しているのでお楽しみいただきたい。
ディスク1の締めくくりに、女声スキャットをフィーチャーした「ニューイングランドのたたずまい」(トラック45)を配した。第11話でジョオがマーサおばさまと馬車で港へ向かう場面など、美しい情景とともに流れることが多かった曲だ。
本作のBGMで女声スキャットをフィーチャーしたのは5曲。音楽全体に占める割合は大きくはないが、要所に挿入されて強い印象を残している。ワルツとともに華やかな香りで『若草物語』らしさを演出したのが、女声スキャットの曲だった。
女声スキャットが入るほかの曲はディスク2に収録した。こちらもお楽しみいただきたい。
ディスク2は、原作の冒頭で描かれたクリスマスのエピソードで流れた曲から始まる。クリスマスの朝の情景を描写する「クリスマスの朝」(トラック3)、ごちそうを貧しいフンメルさんにあげて、パンとミルクだけの朝食を食べるマーチ一家の場面に流れる「愛の贈りもの」(トラック4)、マーチ一家の行動に感心したお隣のローレンス氏からプレゼントされた夕食にジョオたちが感謝する場面の「お父さまへのララバイ(Instrumental)」(トラック5)。マーチ一家の、とりわけ母メアリーの慈愛あふれる行動に感動するエピソードだった。
続いて、ピアノ好きのベスがローレンス氏からピアノをプレゼントされる、原作でも印象深いエピソードの曲をトラック6から4曲続けて収録。特に、はじけるようなベスのよろこびを表現する「美しい笑顔」(トラック8)とベスの純粋な気持ちが伝わる「胸いっぱいの幸せ」(トラック9)は、聴いていて幸せな気分になる。
ジョオとエイミーの仲たがいから始まり、ジョオの不注意からエイミーが氷の張った川に落ちてしまうエピソードは衝撃的。シリーズ中盤の大きな見せ場になった。トラック13「エイミーの傷心」〜トラック19「悲しみが癒えるまで」は、第29話から第30話までで描かれた一連のシーンを音楽で再現した。音楽だけ聴いても、なかなかドラマティックで感動的である。
メグとブルック先生との恋も本作の重要なエピソード。メグのゆれる想いをイメージして、「恋するメグ」(トラック23)、「ときめき」(トラック24)、「月夜のもの想い」(トラック25)とロマンティックなナンバーを収録した。この恋が実を結ぶシーンに流れたのがトラック44の「愛のともしび」。ピアノとストリングスによる甘く美しい曲である。
友人から舞踏会に誘われたメグのエピソードなどを経て、物語は、父の戦場での負傷、猩紅熱にかかって生死をさまようベス、と不安な展開が続く。けれど、最後はハッピーエンドが待っている。元気になった父が帰ってきて、ジョオたちは家族そろってクリスマスを迎える。帰宅した父と娘たちが語らうシーンに流れるトラック42「父と娘たち」は、やすらぎと愛情を感じさせるしっとりした曲。華やかではないけれど、とてもいい曲だ。
トラック48「父との再会」は、最終話で父の全快とメグの婚約を祝うパーティのシーンに流れた。次回予告にも使われたおなじみのメロディが長く演奏される。この曲も筆者が好きな曲のひとつ。クラシックにジャズの要素を加えたような、今風にいえばモダンクラシック的な曲である。大谷和夫の詳細な経歴は不明だが、マネージャーを務めていた早川泰氏は大谷和夫を「クラシックからジャズへ行った人」と語っている(『ニッポンの編曲家』DU BOOKSより)。その経験が生かされた曲だろう。
ディスク2の締めくくりとして、最終話のラストシーンに使われた「ジョオの旅立ち」(トラック49)を収録した。ジョオが作家をめざしてニューヨークに旅立つシーンに流れた、2分30秒を超える長い曲だ。おそらく当初から最終話での使用を想定して書かれたのだろう。
この曲の冒頭や中間部にはフォスターの「故郷の人々」のメロディが引用されている。そこで思い出してほしいのが、ディスク1のトラック27に収録した「ふるさとを離れて」。これも「故郷の人々」のメロディを引用した曲だった。2曲を比べると、「ジョオの旅立ち」の序盤部分は「ふるさとを離れて」とほぼ同じ構成であることがわかる。つまり、マーチ一家が故郷を離れて旅立つシーンに流れた曲を発展させたのが、ジョオが家族から離れて旅立つシーンに流れた曲だったのだ。1人汽車に乗るジョオの姿に家族の旅立ちの思い出が重なり、ジョオの成長を感じさせる。うまいなあ。
原作の続編以降を読んでいる方なら、あるいは、世界名作劇場第19作『ナンとジョー先生』(1993)をご覧になった方なら、ジョオがニューヨークで作家にならなかったことをご存じと思う。しかし、『若草物語』のマルチバースのひとつである『愛の若草物語』の世界の未来では、ジョオは作家になってバリバリ活躍しているのではないか。本作のラストシーンを観ると、そして、「ジョオの旅立ち」を聴くと、つい、そんなふうに思ってしまう。筆者がジョオの(そして山田栄子さんの)ファンだからでもあるんですけれどね。
愛の若草物語 音楽集
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9月に新文芸坐とアニメスタイルの共同企画で『妄想代理人』の一挙上映を開催します。上映は2回。9月3日(日)は15時50分にスタートして22時に終了。9月16日(土)はオールナイトで、22時30分にスタートして翌朝5時35分に終了です。16日(土)のオールナイトは上映前にトークを予定しています。トークの出演者は現在、調整中です。決まり次第お伝えします。
『妄想代理人』は故・今 敏さんが手がけた唯一のTVシリーズです。放映されたのは2004年で全13話。今さんの役職は原作、総監督。濃密な作品世界に加えて、TVシリーズだからこそのバラエティに富んだ物語構成も見どころです。
9月3日(日)分のチケットは8月27日(日)から、9月16日(土)分のチケットは9日(土)から発売となります。発売方法については、新文芸坐のサイトで確認してください。
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【新文芸坐×アニメスタイル vol. 165】 |
開催日 |
2023年9月3日(日)15時50分~22時 |
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会場 |
新文芸坐 |
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料金 |
一般 3000円、各種割引 2800円 |
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トーク出演 |
安藤雅司(キャラクターデザイン)、 |
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上映タイトル |
『妄想代理人』全13話(2004/325分/BD/全13話上映) |
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備考 |
※トークショーの撮影・録音は禁止 |
●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/
『いせれべ』の直後に作った『アイドリッシュセブン 8周年 PV』(約100秒)!
が、公式YouTubeに上がってます。『いせれべ』制作中にバンダイナムコさんからお話をいただき、「まず社内でやりたい人はいるか、訊いてみたら?」と、社長・白石に。そこで「『アイナナ』やりたい!」と手を挙げた社員が今回コンテ・演出担当の八田能理子(旧・典子)さん。「志願者がいたなら、自分が面倒みるからやらせてみたら?」というのが始まり。
コンテに関してはカメラワークのコツやアングルのアドバイス程度で、特に手出しはしていません。むしろ、コンテが通ってレイアウト・原画チェック辺りから、少々手出しをし始めました。
『いせれべ』から引き続き、総作画監督は木村博美さん。今短編でもその力は遺憾なく発揮されました! 超シャープで美麗な仕上がり、これからまだまだ巧くなることでしょう。で、いつもの如く、最終的には頼まれて自分も原画のお手伝い。
やっぱり、単なる監修で済むはずもありませんでした!
例えば、「三日月斬り」や「吹雪と桜吹雪エフェクト」など(ムービーを観ていただければ直ぐ分かります)は、板垣が描きました。その他、必要に応じてあちこち参考アタリを入れたり、と。最終的な役職クレジットはアニメーションプロデューサー。
使用動画枚数はリテイクを含め3000枚ほど。動画の中割り1枚1枚にも拘る木村のチェックに、社内の動画スタッフもよく頑張ってくれて、大変な力作にしあがったと思います。是非観て下さい!
で、今回いつにも増して短く、申し訳ありません。今日は朝から久しぶりに
“腰痛”!!
が酷くて一日仕事になりませんでした。明日、整骨院に行って来ようと思います。
片渕須直監督が制作中の次回作のタイトルは『つるばみ色のなぎ子たち』。平安時代を舞台にした作品のようです。
『つるばみ色のなぎ子たち』の制作にあたって、片渕監督はスタッフと共に平安時代の生活などの調査研究を進めています。今までアニメスタイルは「ここまで調べた片渕須直監督次回作」のタイトルでイベントを開催し、15回にわたって調査研究の結果を語っていただきました。前回から「ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』」のタイトルとなりました。
2023年9月2日(土)に開催するのが「第209回アニメスタイルイベント ここまで調べた『つるばみ色のなぎ子たち』2 【「枕草子」には本当は何が書かれているのか? 裏にあった事態をその文章から読み解く 編】」。「枕草子」から読み解いた事実を語っていただきましょう。出演は片渕須直監督、前野秀俊さん。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。
会場は阿佐ヶ谷ロフトA。イベントは「メインパート」の後に、ごく短い「アフタートーク」をやるという構成になります。配信もありますが、配信するのはメインパートのみです。アフタートークは会場にいらしたお客様のみが見ることができます。
配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。また、今までの「ここまで調べた片渕須直監督次回作」もアニメスタイルチャンネルで視聴できます。
チケットは8月23日(水)18時から発売となります。チケットについては、以下のロフトグループのページをご覧になってください。
■関連リンク
LOFT https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/260806
なお、会場では「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」上巻、下巻を片渕監督のサイン入りで販売する予定です。「この世界の片隅に 絵コンテ[最長版]」についてはこちらの記事をどうぞ→ https://x.gd/57ICr
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第209回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2023年9月2日(土) |
会場 |
阿佐ヶ谷ロフトA | 出演 |
片渕須直、前野秀俊、小黒祐一郎 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,500円、当日 1,800円(税込・飲食代別) |
もう、忙しくてどこまで語ったのか忘れた! ま、とりあえず3話!
いきなりですが3話はEDのスタッフ表記から、自分と木村(博美)の名前が漏れています。コンテ・演出に板垣、作画監督に木村、背景にも板垣がそれぞれ併記されるはずでしたが、あまりの忙しさにスタッフ表未確認で、気付いた時にはV編も終わっていたので、結局そのまま。
つまり1話2話と同じくらい板垣・木村で修正した話数だということ。自分が憶えている中で一番大変だったのは「モブ」。ショッピングモール内の買い物客とか。たとえ作画的には“止め”でも、人をたくさん配置するのはやっぱり大変なモノです。
最近のアニメーターや演出は、交通機関での移動中や歩いてる時もスマホばっか見て、普段街行く人々を観察していないせいか、1枚の画の中に何十人のポーズのバリエーションを描ける人がなかなかいなくて、「こっち向いてこんなポーズだってあるし、あっち見てあんなポーズもあるでしょう?」とスタッフの前で実演・説明して描き直してもらう。で、修正してもらったらもらったで、今度はデッサン・パースがダメ。結局、自分で直しに直しての連続。もう本当にクタクタになってしまい、皆が普段どれだけ“職業人としての観察”を怠っているか? を思い知った話数でした。このモブとの孤軍奮闘は後の話数でも繰り返されることに(汗)。
俺はテレコム新人時代、大塚康生さんから
『太陽の王子 ホルス(の大冒険)』で、哀しみに暮れる村人らのモブシーンを描く時、宮崎(駿)は周りのスタッフたちに声を掛けて、各々演じてもらってポーズのバリエーションを作ってた~
と聞いたことがあります。後に原画修行中、田中敦子・友永和秀両師匠方にも「周りの人たちの観察を普段から怠ってはいけない!」と異口同音に言われていました。そのお陰で癖として「年がら年中観察眼」が備わっているようで、未だに電車に乗ってもイヤホンで音楽も聴かず、スマホも見ずに周りの乗客を観察する癖が抜けません。
そのあたりのスタッフ指導も、次作以降の課題です(ホント疲れた)!
他、3話では“イケメンモデルを投げ飛ばす優夜”のシーンは篠衿花さんが、大魔境での優夜アクションは中島楽人君がコンテの意図を拾ってカッコよく纏めてくれました。まだまだ、力足らずな部分はありつつも、社内スタッフが育っていくのは本当に嬉しいことです。
「全員新人から会社を作る!」と決めたミルパンセでの作品作りは早10年越え。以前は余所様の会社(スタジオ)で好き勝手な凝ったコンテでアニメを作って来た30代——確かに演出や監督でそれなりに動画枚数を掛けたアクションものを作らせてもらえましたし、海外のアニメイベントに招待されるといった副産物(?)にもありつけたりしました。
でも、その頃みたいな贅沢を捨てて、多少不本意ながら枚数を抑えてでも、自ら育成したスタッフで一から作るアニメ作り……今はまだ30点でもこれから40点50点と現場を成長させながら、“理想の作り方”を考え模索し続ける毎日の方が、本来俺の性に合ってるみたいです。過去よさようなら(冗談)!
腹巻猫です。8月11日にサントリーホールで開催されたコンサート「オルガン×ベルサイユのばら」を聴きました。TVアニメ『ベルサイユのばら』の音楽をパイプオルガンで演奏し、俳優の七海ひろきさんがストーリーを朗読するという企画。TVアニメ版に準拠した内容で、パイプオルガンの演奏、七海ひろきさんの熱演がすばらしかったです。8月18日から24日までアーカイブ配信が1000円で視聴できるので、会場に行けなかった方、興味のある方はぜひどうぞ!
公演詳細
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20230811_M_3.html
視聴券購入
https://suntoryhall.pia.jp/ticket/zanmai-verbara.jsp
7月26日に『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のサウンドトラック・アルバムが発売された。物理メディアとしてCD初回限定盤、CD通常盤、アナログ盤と3タイプをリリースする攻めた商品展開。なかでも、もっとも高価なアナログ盤が早々に売り切れ、9月に追加生産分がリリースされるというから驚きである(もともと生産数が少なかったかもしれない)。サウンドトラック・ビジネスの刺激になったという意味でも、注目のタイトルだった。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は2022年10月から12月までシーズン1が、2023年4月から7月までシーズン2が放送されたTVアニメ作品。
モビルスーツ産業の最大手「ベネリットグループ」が運営するアスティカシア学園。学園内では生徒間の問題をモビルスーツ同士の「決闘」で解決するルールが定められていた。水星から編入してきた少女、スレッタ・マーキュリーは、なりゆきでベネリットグループの一翼を担うジェターク社の御曹司グエルと決闘することになり、水星から持ち込んだモビルスーツ・エアリエルを操縦してグエルに圧勝してしまう。それをきっかけにベネリットグループの総裁デリングの娘ミオリネと「婚約」したスレッタは、徐々に学園内で居場所を見つけ、友人を増やしていった。いっぽう、父からの独立・自立を目指すミオリネはスレッタたちを巻き込んで株式会社ガンダムを設立。仲間とともにガンダム技術を平和利用する道を切り拓こうとするが、ベネリットグループの勢力争いとガンダム技術をめぐる陰謀に巻き込まれていく。
母から教えられた「逃げればひとつ、進めばふたつ」の言葉を胸に果敢に挑戦し、前に進んでいくスレッタの姿は、青春ドラマを見るようで勇気づけられる。スレッタとミオリネ、ふたりの女性キャラクターが中心になってドラマが展開するところも現代的で新鮮だった。
音楽は大間々昂が担当。洗足学園音楽大学音楽学部で作・編曲を渡辺俊幸に師事、実写劇場作品「スマホを落としただけなのに」(2018)、TVドラマ「アトムの童」(2022)などの音楽で活躍する作曲家だ。アニメでは『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』(2017)、『君を愛したひとりの僕へ』『僕が愛したすべての君へ』(2022)などの作品がある。
大間々昂のインタビューによれば、『水星の魔女』の音楽制作はTVシリーズに先がけて公開されたエピソード「PROLOGUE」からスタートした。「PROLOGUE」の音楽は画に合わせたフィルムスコアリングの手法で作られている。テクノ的なシンセのリズムを使ったサスペンス曲やピアノの旋律による心情描写曲、女声ボーカルをフィーチャーしたガンダムのテーマなど、『水星の魔女』の音楽の基本的なイメージが「PROLOGUE」で確立されている。
TVシリーズの音楽は溜め録り方式で制作された。「PROLOGUE」で登場したモチーフも使いつつ、50曲ほどを制作。第2クールでは新たに必要になる音楽を補う形で20曲あまりが追加された。
本作の音楽の特徴のひとつは、ガンダムシリーズでは珍しい、学園ものっぽい楽曲が作られていること。アスティカシア学園のテーマをはじめ、学園生活を描写する軽快な曲やユーモラスな曲などが日常シーンを彩る。こうした音楽が、ほかのガンダムシリーズにない味になっている。
もうひとつ、株式会社ガンダムにまつわる音楽も特徴的だ。ミオリネを中心に結束していく学生たちを描写する曲や株式会社ガンダムの社歌なども、本作ならではの音楽と呼べるだろう。
キャラクターをイメージした音楽では、スレッタの不器用な性格を表現する曲、ミオリネのツンデレぶりを表現する曲、デリング総裁の野心と冷たさを表現する曲などが性格描写に効果を上げている。スレッタの母プロスペラは複雑な背景と性格を持ったキャラクターであるだけに、同じモチーフで雰囲気の異なるバリエーションが作られ、シーンに応じて使い分けられていた。
そして、本作の、またガンダムシリーズの音楽の醍醐味と呼べるのが、モビルスーツ戦の曲。本作では「決闘」としてモビルスーツ同士の対戦が描かれるため、特にシーズン1では、悲壮感よりもスポーツ的な躍動感を持ったモビルスーツ戦の曲が見せ場を盛り上げていた。「Get Ready for the Duel」と名づけられた「決闘」のテーマは本作を代表する楽曲のひとつである。
「さすがガンダムだなあ」と思うのは、録音のぜいたくさだ。生楽器の録音は「PROLOGUE」のセッションが東京で、シリーズ本編のセッションはブダペスト、ウィーン、ローマで行われた。マスタリングもロサンゼルスのスタジオで行っている。各都市で楽曲をまるごと録るスタイルではなく、ブダペストでは木管とストリングス、ウィーンでは金管とストリングスと民族楽器、ローマでは女声ボーカルという具合に、都市ごとに異なる楽器を収録している。結果、メインテーマ「The Witch From Mercury」は、ブダペストで録った木管、ウィーンで録った金管とストリングス、ローマで録ったボーカルが共演する国際色豊かな楽曲になった。
民族楽器を随所に使用しているのも本作の音楽の特色のひとつ。小林寛監督から「土くさい音楽がほしい」とのオーダーを受けて、南米のパンフルートやアルメニアのドゥドゥク、オーストラリアのディジュリドゥ、アイルランドのティンホイッスルといった多彩な民族楽器が使われた。古今東西の楽器を混ぜ合わせたサウンドは「新時代のガンダム音楽」という印象だ。
本作のサウンドトラック・アルバムは7月26日に「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Original Soundtrack」のタイトルでバンダイナムコミュージックライブから発売された。CDアルバムは4枚組で、ディスク1に「PROLOGUE」の音楽、ディスク2と3にシーズン1で収録された音楽(セッション1)、ディスク3にシーズン2で追加された音楽(セッション2)を収録している。
ディスク2&3に収録されたセッション1の音楽から紹介しよう。
収録曲は下記を参照(ページ下のTrack List)。
https://sunrise-music.co.jp/list/detail.php?id=783
ディスク2の1曲目はシーズン1のオープニング主題歌「祝福」のTVサイズ。ディスク3の末尾にシーズン1のエンディング主題歌「君よ 気高くあれ」のTVサイズを収録するオーソドックスな構成となっている。
曲順は物語の流れに沿った形。ライナーノーツには大間々昂自身による全曲コメントが掲載されているので、「聴けばわかる」「読めばわかる」という内容だ。
ディスク2の構成は、アスティカシア学園にやってきたスレッタがさまざまな出会いと経験を重ねて、友人を増やしていくイメージ。第1話冒頭で流れた「Cockpit」(トラック2)から始まり、学園のテーマ「Asticassia」(トラック3)が続く。「Cockpit」は本作の音楽の特徴のひとつであるテクノ的なシンセのリズムを使った緊張感のある曲。「Asticassia」は弦と金管がさわやかに奏でる曲。スレッタたちの胸に宿る希望や期待感を象徴する音楽である。このメロディはアレンジされて他の曲でも使われている。
トラック3「Earth House」はスレッタが身を寄せる地球寮のテーマ。ギターや民族楽器を使い、素朴で温かいサウンドに仕上げられた。スレッタの「憩いの場所」みたいなイメージである。
トラック7「Jeturk House」はグエルの横暴なイメージを重ねたジェターク寮のテーマ。第1話でスレッタとミオリネがグエルの決闘に巻き込まれそうになる場面からさっそく使われた。
日常曲や心情曲を挟んで、ミオリネのテーマ「Miorine」(トラック8)、エランのテーマ「Elan Ceres」(トラック10)、スレッタのテーマ「Suletta」(トラック12)とキャラクターテーマが次々と現れる構成は学園ものっぽくていい。
複数の顔を持つエランには、同じモチーフでいくつかの楽曲が作られている。中でもピアノと弦と木管をメインに奏でられる「Tell Me More About You」は、エラン(強化人士4号)とスレッタの交流の場面にたびたび使われて記憶に残る曲である。
ディスク2の終盤には「決闘」シーンで流れた曲が登場する。
「ジャジャジャジャン!」と勢いのあるイントロから始まる決闘準備の曲「Get Ready for the Duel」(トラック18)、決闘開始を告げる「フィックス・リリース」のセリフを受けて流れるバトル曲「Fix Release」(トラック19)、そして、メインテーマ「The Witch From Mercury」(トラック20)。この流れは完璧で、「『水星の魔女』といえばこうだよね!」と思わせる。
「決闘」はルールに則ったバトルなので、「Get Ready for the Duel」や「Fix Release」は勇ましさはあっても悲壮感は薄い、スポーツもの的な曲調で書かれているのが特徴。
メインテーマ「The Witch From Mercury」はスレッタとエアリアルのテーマでもある。カッコよさと同時に、スレッタの悲哀や心の叫びも表現する曲になっている。イタリア人歌手Clara Soraceによるボーカルがフィーチャーされて強烈な印象を残す。大間々昂は「登場人物の声にならない声、自分を曝け出す叫びのような物」を表現した、とライナーノーツで語っている。アルバムの中でもいちばんの聴きどころだ。
ディスク2のラストを飾るのは「Will You Marry Me?」(トラック24)。ピアノとストリングスによるやさしい曲で、第3話でスレッタがグエルとの決闘に勝利した場面に流れた。第6話などでは、この曲のピアノのトラックだけを抜き出して使用している。
ディスク3の構成はシーズン1の後半のイメージ。ミオリネが株式会社ガンダムを立ち上げ、仲間とともに困難を乗り越えていく。しかし、武装組織「フォルドの夜明け」の襲撃があり、スレッタたちは本物の戦闘に巻き込まれる……という展開だ。
ミオリネの温室をイメージした「Greenhouse」(トラック1)、ミオリネのツンデレのイメージの「Tsundere」(トラック2)、仲間たちとの友情のテーマ「You are My Crew」(トラック3)と序盤は平和な曲が続く。
トラック4の「Standing Up」は第8話で地球寮の生徒たちがカルド・ナボ博士のビデオを見てその理念に共感し、新会社の方向性を決める場面に流れていた感動的な曲。第8話ではそのあと株式会社ガンダムのPVが登場し、社歌「GUND-ARM Inc.」(トラック27)が流れる。社歌はボーナストラック扱いで、歌のないカラオケで収録されている。
シーズン1の中盤から後半にかけて印象深い曲といえば、ガンダムの「呪い」を表現する「The Curse of GUNDAM」(トラック19)とエアリアルと対戦するガンダム・ファラクトのテーマ「GUNDAM PHARACT」(トラック9)だろう。
チェロの音色が耳に残る「The Curse of GUNDAM」は第9話でエランがエアリアルのコクピットに座る場面などに使用。途中から民族楽器が入り、ミステリアスで不安な雰囲気をかもしだす。
「GUNDAM PHARACT」は第6話のエラン対スレッタの決闘や第9話の地球寮対グラスレー寮の集団戦の場面に流れたバトル曲。クワイア風のコーラスが入り、重厚さと悲壮感がただよう。第12話の「フォルドの夜明け」の襲撃シーンにも使われていて、「決闘」だけでなく、実戦も想定した曲であることがわかる。
ディスク3の終盤はスレッタたちが戦闘に巻き込まれる展開に合わせた緊迫した曲の連続になる。
「Terrorism」(トラック23)は、武装組織の脅威を描写するサスペンス曲。敵の猛攻を描写する「Enemy Onslaught」(トラック24)は、第12話で襲撃に気づいた生徒たちが「訓練じゃないよね」「戦争だ」と身構える場面に流れている。
ディスク3のBGMパートを締めくくるのは5分を超える長い曲「AERIAL REBUILD」(トラック25)。「PROLOGUE」のラストで流れた曲「Happy Birthday to You」のイメージを受け継いだ、改修型エアリアル登場シーンの曲である。この曲にもClara Soraceのボーカルが入っている。大間々のコメントによれば、「底知れぬ怖さみたいなものを表現したかったので魔女の兵器として覚醒したことを明確に現すために呪文のようなコーラスを入れました」とのこと。第12話では映像の展開と曲の展開がぴったりあって、シーズン1の終幕にふさわしい名場面を作り出していた。
サウンドトラックとしては申し分ない内容と構成である。
「本編で流れたあの曲が、サントラに入ってない?」と思うことがあるが、そういう場合はたいてい、楽曲から一部の楽器だけを抜き出したステム音源が使われている。楽器編成を薄くしたり、ピアノの演奏のみを使ったりして、音楽演出の幅を広げているのだ。本編の中で楽曲がどんな形で使われているか分析してみるのも興味深いだろう。
ただ、第12話で使われた主題歌「祝福」のピアノアレンジ版は収録されていないようだ。「ここで主題歌アレンジか!?」と思ったインパクトのあるシーンだっただけに、未収録が惜しまれる。
ディスク4はシーズン2の展開に合わせて、緊迫感のある曲や哀感をたたえた曲が多く収録されている。クライマックスに流れる「Liberation from the Curse」(トラック22)や「Wish」(トラック19)が圧巻だ。ディスク1からトータルで聴くと、『水星の魔女』の音楽がどのように進化・展開していったかがうかがえる。CD4枚組の「全部入り」ならではの楽しみである。
冒頭に書いたように、このサントラ、商品としてのバリエーションの多さも目を引いた。初回限定盤、通常盤、アナログ盤の3種が同時発売されたのである(配信も含めると4種になる)。
初回限定盤と通常盤はいずれもCD4枚組。初回限定盤はLPサイズジャケット仕様。通常盤はCD4枚をマルチケースに収納したタイプだ。アナログ盤はLP2枚組で、CD収録曲からセレクトした18曲が収録されている。CD初回限定盤とアナログ盤には早期予約特典としてカセットテープがついていた。
CD、アナログレコード、カセットテープと3種類のメディアを使った商品展開は、話題性だけでなく、世界的にもアナログメディアが再流行していることを意識したものだろう。
ニクいなあと思うのは、それぞれのジャケットイラストが異なることである。初回限定盤のLPサイズジャケットは正面を向いたスレッタのイラスト。アナログ盤のジャケットは正面を向いたミオリネのイラスト。スレッタは両手のひとさし指を(つまり指2本を)、ミオリネは右手のひとさし指を(指1本を)立てたポーズで描かれている。スレッタのモットーである「逃げればひとつ、進めばふたつ」の言葉が連想される。通常盤のジャケットは、同じポーズのスレッタとミオリネが向き合う姿を横から描いた絵になっている。
とりあえずCDでほしいという人なら通常盤で十分だ。ジャケットの大きさや限定盤に魅力を感じる人はLPサイズジャケット仕様の限定盤を選ぶだろう。アナログ盤は収録曲も少ないし、よほどアナログの音にこだわりのある人か、熱心なファン向けだと思っていたのだが……予想を上回る人気のようである。
しかし、わからなくもない。限定盤のスレッタのジャケットを手にすると、アナログ盤のミオリネのジャケットもそろってないと落ち着かなくなってくる。通常盤のジャケット画を見ればわかるとおり、ふたりそろって意味がある絵なのだ。片方だけだと、幸せなふたりが泣き別れになったような気分になる。だから、スレッタとミオリネ、片方を手に入れたら、もう片方も手に入れたくなる。ええ、買いましたよ、アナログ盤も。「逃げればひとつ、進めばふたつ」とはこのことだったのか!
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さて、『いせれべ』の制作が終わったばかりなのに、なぜかもう忙しい~!
なぜか次々企画がやってきて、すでに50代半ばくらいまでの仕事が決まりそうな勢い。でも、残りの人生から逆算して“自分発の企画”も考えたいので、お話をいただいた際それぞれの作り方は考えて受けるようにしています。ただ単に何も考えず「本来のアニメ作りはこうだから!」と我々世代がやってきた、保守的・旧態依然とした制作体制に固執した作り方では、増え続けるであろう需要に付いていけないからです。
残念ながら未だに「ほら、制作会社が人手不足で番組落ちてんじゃん!」「だから、アニメ作りは終わりだ!」など、“ご自身が付いて行けない故のネガキャン”を垂れ流す業界の方々がいらっしゃいます。
安心してください。これからのエンターテイメント供給は、否が応でもAIなどの導入によって、回転・スピードは上がっていきます。例えば「人手不足で~」も、“手描きの動画”に固執しなければ……。
もっとはっきり言うと
どんな手を使ってでも、“ムービー”にさえなっていれば、エンタメの供給は可能!
である訳だし、それを実現できるようにあれこれ考えるのが自分らの仕事のハズ。人手が何百人いなければ作れない前提というのは、アニメ業界人として怠慢以外の何物でもありません。
アニメは時代のニーズに応じて、どんなふうにも化けます!
という訳で板垣は、来年1月28日から始まる50代も毎年毎年すし詰め状態に何某かの作品を作り続けられるように、作り方の試行錯誤をしている真っ最中。もちろん、社内スタッフらと新しい企画も考えています。
で、これからの作り方を工夫——『いせれべ』でも一歩前進させました。それは、
各話の制作進行を無くした!
ということ。グロス(外注)話数はそれぞれの会社(スタジオ)の回し方にお任せしてましたが、社内班には制作進行のクレジットがありません。外のフリーアニメーターに振っていない以上、旧態依然の“車で外回り”も不要な訳。さらに社内のカット回しは、全カットカット袋を棚に並べて、自分らスタッフ各々で取りに行くシステムにしました。
これが巧くいったかどうかは、次の作品でも続けてみて、微調整しつつってことで。まあ、他愛もない小さな一歩ですが、トライアル・アンド・エラーを繰り返すの——板垣は好きみたいです。
8月19日(土)にTVアニメ『Sonny Boy』全話上映のオールナイトを開催します。新文芸坐×アニメスタイルの共同企画プログラムとしては、昨年の10月以来のオールナイトとなります。
『Sonny Boy』は夏目真吾さんが原作、監督、脚本を務めたオリジナルアニメ。異次元に漂流することになった中学生達を描いた群像劇であり、物語についても、ビジュアルついても非常に斬新な作品です。真夏の夜に相応しいと考えて、このプログラムを企画しました。
トークのゲストは夏目真吾監督。聞き手はアニメスタイルの小黒編集長が務めます。チケットは8月12日(土)から発売開始。チケットの発売方法については、新文芸坐のサイトで確認してください。
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【新文芸坐×アニメスタイル vol. 164】 |
開催日 |
2023年8月19日(土)22時45分~5時20分 |
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会場 |
新文芸坐 |
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料金 |
一般 3000円、各種割引 2800円 |
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トーク出演 |
夏目真吾(監督)、小黒祐一郎(アニメスタイル編集長) |
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上映タイトル |
『Sonny Boy』全12話(2021) |
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備考 |
※トークショーの撮影・録音は禁止 |
●関連サイト
新文芸坐オフィシャルサイト
http://www.shin-bungeiza.com/
8月27日(日)に「第208回アニメスタイルイベント 沓名健一の作画語り 2023年夏」を開催します。出演は沓名健一さん、ちなさん、小黒編集長。ちなさんは『エロマンガ先生』『ヤマノススメ Next Summit』をはじめ、様々な作品で活躍するアニメーターで、アニメスタイルイベントはこれが初出演となります。
トークの内容はマニアックな作画語りです。新刊「作画マニアが語るアニメ作画史 2000~2019」で話題になる「WEB系、ポストWEB系、その次の世代」について、そして「素朴系」について、さらに突っ込んで語る予定です。また、ちなさんのプロフィールや自身の作画史についても話していただきます。
会場では「作画マニアが語るアニメ作画史 2000~2019」「磯光雄 ANIMATION WORKS preproduction」を販売。また、「作画マニアが語るアニメ作画史 2000~2019」をお持ちになった全員に、沓名さんがサインを入れてくれます。コミケやAmazonで購入された分でもサインを入れてくれます。欲しい方がいらしたら、小黒もサインをするそうです。
会場はLOFT/PLUS ONE。チケットは8月9日(水)18時から発売。購入方法については、以下の「チケット関係リンク」をご覧になってください。
今回のイベントも配信を予定しています。配信するのはメインパートのみです。配信はリアルタイムでLOFT CHANNELでツイキャス配信を行い、ツイキャスのアーカイブ配信の後、アニメスタイルチャンネルで配信します。なお、ツイキャス配信には「投げ銭」と呼ばれるシステムがあります。「投げ銭」による収益は出演者、アニメスタイル編集部にも配分されます。アニメスタイルチャンネルの配信はチャンネルの会員の方が視聴できます。
■関連リンク
【アニメスタイルの新刊】沓名健一のマニアック作画語りが書籍に!「作画マニアが語るアニメ作画史 2000~2019」発売!!
http://animestyle.jp/news/2023/08/04/24886/
■チケット関係リンク
LOFT https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/259463
会場チケット https://t.livepocket.jp/e/wwg79
配信チケット https://twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/253045
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第208回アニメスタイルイベント | |
開催日 |
2023年8月27日(日) |
会場 |
LOFT/PLUS ONE | 出演 |
沓名健一、ちな、小黒祐一郎 |
チケット |
会場での観覧+ツイキャス配信/前売 1,500円、当日 1,800円(税込・飲食代別)
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■アニメスタイルのトークイベントについて
アニメスタイル編集部が開催する一連のトークイベントは、イベンターによるショーアップされたものとは異なり、クリエイターのお話、あるいはファントークをメインとする、非常にシンプルなものです。出演者のほとんどは人前で喋ることに慣れていませんし、進行や構成についても至らないところがあるかもしれません。その点は、あらかじめお断りしておきます。