COLUMN

第401回 今年始めのコンテ状況

記念すべき第401回めが2015年最初の回!!(あれ、思ったよりまとまってない?)
とりあえず、

 年賀状的なモンで。
 そして、2015年最初の話題は

『てーきゅう』第4期分のコンテ、終了しましたっ!!

です。ま、普通の話ですね。『てーきゅう』の場合、ほぼ1日で1話分(オープニングと「つづく」抜きで)本編88秒をコンテの描きます。若干時間をかけてキッチリ描いてるのは、

コンテの拡大コピーがレイアウトと背景原図も兼ねている!

からです。だいぶ以前、『アニメージュ』の別冊本で「『てーきゅう』第4面素材全部載せ」なる特集を組んでいただけましたが、その時のコンテはもっと大ラフでした。それは単純な話「自分で原・動画まで描く」事前提だったからで、第2期以降は原・動画を自分以外に発注するかたちにしたため、拡大コピーがそのまま原画の下敷き(ラフ原)になるようにと、板垣のコンテの画も比較的丁寧に描くようにしてるわけ。コンテに時間を多少かけた方が、作画・作監作業の効率がよくなるのです。これが『てーきゅう』にとってはいいやり方だからこうしてるだけで、別の作品だったら他のやり方を考えます。

作品内容と制作費、スケジュール、あと今後のアニメ業界に適した新人育成などを考えると、この作り方の『てーきゅう』がウチの会社(ミルパンセ)にとってとても都合がいい!

とも言えます。もちろん、業界の昔からの不文律「動画3年原画5年で作監へ」や「3年の動画すら耐えられないヤツがちゃんとした原画描けるか!」云々の下積み至上主義を唱える大先輩の方々からは顰蹙・反感を買うやり方かもしれませんし、俺自身が若い頃教わった先生からも「コンテの拡大コピーから、いきなり原画と原図を作るなんてとんでもない!」と叱られる事でしょう。ただ、何年か前にもこの連載で書いたとおり、自分は近い将来、画面内のかなりの割合がCGになったり、液タブ導入による自動中割りなどで、現在のような「レイアウト→原画→動画→仕上げ」のやり方もだいぶ変わると思ってるのです。だからウチの新人には

動画の線の綺麗さや中割りの正確さは確かに今は必要だし、仕事を覚えるためにしっかりやるように! でも仮にそれが「苦痛で苦痛でしょうがない」とアニメ自体に挫折するくらいなら液タブを勉強しなさい!! 諦めるのはそれからでも遅くはないでしょう!

と言ってます。つまり、

動画の綺麗さや原画のパース・デッサンなどは、アナログの撮影に喩えるならば、タイムシートどおりに1コマも間違えずにシャッターが切れるなどに値するアナログ独特の必須科目であり(CGや3Dモデリングでやれば、中割り・パース・デッサン問題はかなりクリアできます)、デジタル化しても確実に残る「画面を作る能力・センス」という大きな観点から見ると、ほんのひとつの要因に過ぎず「それができなきゃクリエイターになれない!」ってほどの事じゃない!

と。その代わり「とりあえず動画ができないとお金にならないよ」って。それは我慢するしかないし、だったら他の稼ぎ方を勉強すればいいんです。それだけです! だって動画がダメでも仕上げだってあるし、撮影だってあるしコンテもあるんですから、アニメ制作は。

要は単純な話「アニメとどうやって付き合うか?」だけでしょう!

 てわけで、現在は『高宮なすのです!』のコンテ中。『高宮なすの』はなすのと陽太(ユリの弟)の関係がやや「狙いすぎでは?」感が否めませんが、可愛くて面白くなりそうです。今年は他にも動かさなきゃならない企画があり……よろしくお願いします!