続き。後半戦、あと少々お付き合いくださいます?
1:12:33~ドクター・キニスキー、口パクなくても気にしない、気にしない!
1:12:35~葉子の顔(表情)良い!
1:12:40~葉子の顔(表情)良い!!
1:12:44~葉子の顔(表情)良い!!! 『(劇)ジョー2』は“表情を繋いだドラマ”だと思います。それはその辺の映像インテリを気取っている方々に言わせると「安易に顔のアップばかりが~云々」と仰るのでしょうが、杉野(昭夫)作監の凄いのは全部の表情が違うところ! つまり、それぞれのシチュエーションに置かれた各キャラクターの“心情”がちゃんと描き分けられてるのです。だから、インテリの言う「顔アップばっか~」は安易でも何でもなく、逆に「杉野じゃなきゃ描けない表情寄りカットの積み重ね」こそが出﨑(統)監督の狙いなはずです。それこそが“出﨑&杉野~黄金コンビ”と呼ばれた所以でしょう!
1:12:51~画面斜めにオレンジパラ。そして金竜飛役を終えた古川登志夫が、ジムの練習生に!
1:13:14~サンドバックを殴り続けるジョーも良いですね! 所々表情を左右非対称に歪めてて。
1:13:35~ランニング中のジョーも汗を散らして疲れた感じがカッコいい! 線が太いのは、当時のマルチ撮影で、下段のドヤ街と住人ら(100フレーム)をボカすため、上段のジョーは“60フレームで作画”なのでしょう。デジタル作画・撮影の現在では両方100フレーム作画しちゃいます。
1:13:42~“階段の狭さ”が欲しかった……! つまり、カメラ位置を想定すると、ジョーが2段3段と階段を上がると頭から先にカメラに向かってくる感じが、現状……ない。
1:14:05~ここも原作と違うところで、且つかなりの英断! 原作だと西ではなく、ジョーの言ったとおり「ジムの若いの~」が(しかも西モドキの体格)セコンドに着くのですが、アニメは親友の西がちゃんとセコンドに着きます! これで良い! これを原作改悪とか言うのでしょうか? 俺はそうは思いません。それで言うなら『あしたのジョー』という作品は、漫画版ですでに梶原(一騎)原作をちば(てつや)作画時に改変が行われ(サチや子供たちは梶原原作に存在しなかったのは有名な話)、アニメ化の際には出﨑監督の手でエピソード変更~追加がなされつつも、原作・アニメ両方ともしっかりファンが付いているからです。そしてアニメ版で西をセコンドに着かせることで“ファミリー感”が増し、視聴者が応援しやすくなっています。ただ、原作の“西ではなく別の練習生がセコンド”というのが悪いのではなく、それはそれで、引退~結婚して家庭を築く道を選んだ西と、永遠の青春を追い求めるジョーとの対比(そして時の流れ)という意味はあったのだと思います。
1:14:31~前カット、ジョー「スカッと勝ってよ、二人の結婚に花添えさせてもらうよ」を受けての紀子「ありがとう……」。この表情、気になる……。やり過ぎ? と思うくらい、未練というかジョーの鈍感さに対する呆れとでも言うか? 何か複雑な目線です。
1:15:19~段平の眉、色パカ。すみません。
1:15:24~この後、『スペースコブラ』~『キャッツ・アイ』へ繋がる、杉野タッチが見えます。
1:15:34~懐かしい昭和のカイロ。服の中~袋から取り出すまでを1カットで。この時期の出﨑作品、偶にあります。「監督のコンテに従ったら、意外と面倒でしたよ」カット。多分、出﨑監督はコンテ時、サラサラ~っと描いただけの無自覚かと。
1:16:43~劇場版ではカットされたカロルド・ゴメス。コークスクリュー・パンチの解説画面として登場。
1:17:30~後のTV版では「心理的優位? そんなもん~」のモノローグで口パクなしになります。
1:17:37~ここらのシーン一体、BG全面透過光の光量が初見時「一歩一歩死に向かってるジョー」を暗示していて怖かったです。
1:18:27~全くの私事ですが、花澤香菜コンサートに招待していただいた時、現地で初めて日本武道館を見た際、「こ、ここがホセ・メンドーサ対矢吹丈戦の会場か!」と興奮したモノです。
1:19:01~あ、窓が開いてない!!
1:19:11~今だとこの窓の“塗り”は有り得ません。
1:19:17~この控室シーン一体の葉子は檀ふみの勝ち。誰が何と言ってもTV版より劇場版に軍配が上がります。
1:19:51~現在でも語り草になっている、画面分割から次カットのカメラ回り込み。まずここの画面分割は巧くいってると思います。普段「画面分割嫌い」を公言して憚らない自分が見ても、ここのは“ジョーと葉子両者の表情を同時に見せる”必要性を感じるからです。正直、他のいくつかは、その必然性が乏しく、外連味優先に感じてしまうところが多々あります。出﨑ファンの俺が同ファンに批判されるのを覚悟でここまでハッキリ言っているのですから、異論有りな方々にも、せめてこの誠意だけは認めていただきたい(汗)。本当にあくまで私見です。で、回り込みの立ち位置がかなり怪しいと思いつつも、“愕然の葉子”ド寄りまで、何度観ても引き込まれます! 自分はこういうドラマチックなシーンを描きたくて、アニメ業界に入った一面が確実にあります。
そして、「次回こそは!」と(汗)。そして、敬称略すみません。