COLUMN

第857回 『(劇)ジョー2』の魅力(7)

 前回からの続き。後半戦、あと少々お付き合いください。

1:01:40~このパンチ・ドランカーになって、帰って来るカーロス。初めて観た時、悲しいとかよりゾッとしたのを憶えています。怖かった……! 出﨑(統)監督の描き方(撮り方?)って、どこかドキュメンタリーっぽいんですよね。作り話であることを忘れさせる描き方だと思います。何しろそれまで観てきたアニメでは感じたことがなかった怖さでした。
1:01:54~ハリマオはどっからどー見ても“ザ・梶原(一騎)キャラ”ですね(同じく出﨑監督作品『空手バカ一代』でも、カマキリ拳法の使い手が登場します)。
で、ここからのハリマオ戦~ラストのホセ戦は、劇場分作画の先行スケジュールのためか、同時に放映されてたTVシリーズ分の作画の質がやや落ちます。後、ハリマオの“空中回転”の方向がカット毎で違うのは——気にしないこと。
1:04:14~パンチを打ち終わったハリマオが画面手前に来て、その後ジョーが画面手前に飛んで来て、ハリマオ作画で奥へ。ややこしくて面白いカット。こんなのも偶に入れないと……いや、原作愛読者なら御存知かと思いますが、後半の原作、ちば(てつや)先生によるボクシング描写、特にアングルがややパターン化するんです。この辺り、大人数で作画をするアニメーションの強みと言えるかと。そもそも出﨑監督による試合シーンのコンテが原作に沿っていません!
1:05:03~このジョーも「ヤバい!」もう精悍とか通り越してて、“狂気”を感じました! これも杉野(昭夫)作監スゲェ!!
1:05:06~リングに叩きつけられたハリマオが空中に浮き上がる音が良い!
1:05:12~ここのマルチボケもジョーも良い!
1:05:52~ここで、直ぐに「カーロス・リベラ!」と気付くジョーに感動します。
1:06:08~前カット「間違いねえ、カーロスだ……!」の後“表彰されている途中”、これまた編集のテンポで、気持の急いているジョーを表現できています。
1:06:35~こちらも同様に転んだジョーから、ポンと退場するジョー&段平ヘ。巧い! この後TV版を観ると、たるく見えます。
1:07:36~ここからのカーロスは初見、涙なしでは観られませんでした。BGMの入るタイミングも重い! このシーンも、TV版より劇場版の方が個人的に好き。
1:08:17~カーロスのへろへろパンチを受けつつ泣き笑い。これ原作だと直ぐにジョーがカーロスを抱き締めて悲しそうに大泣きするんですよね。正直出﨑アニメの方が正解かと。BG(背景)を真っ黒にする演出も良い!
1:09:08~葉子に「見るんじゃねえ!」とキレるジョーも出﨑アニメの方がクールでカッコいい! 原作だと涙流して葉子に殴り掛からんばかりのジョーを周りが止める——です。
1:09:58~この映画初見の時、この“ボタンがはめられないジョー”から、もう観てられなくなりました。だって、ハッピーエンドが思い浮かばないんだもん!
1:10:36~葉子とジョーのド寄り横PAN→×3回!
1:10:39~そして、湯呑を振り上げるジョー縦PAN↑×4回。もうお家芸です!
1:11:07~全面透過光に椅子に呆けるカーロスがF.I。そこへ蝶が舞う。ここら辺からこの映画、自分の記憶的に “透過光”のイメージが強くなります。
1:12:10~葉子横顔なめ、ドクター・キニスキーの望遠ショット。全面透過光が活きる画です! 自分初見でこの辺り見てた時、乏しい語彙力で申し訳ありませんが、本当に怖かったという記憶しかありません。

 で、「いつまでやるつもりなんだ!?」と自分でも思いますが、始めた以上はラストまで駆け抜けます(汗)! そして、敬称略すみません。