COLUMN

第559回 高畑監督の話

 高畑監督が亡くなられて、何か書けることはないのか? と思っておりましたが、どこかの本に載っていたインタビューやTVのメイキングから引用して、監督について書くのもやっぱり失礼。なので自分が実際に高畑監督に遭遇した数少ない話から少々、書ける範囲で。恐らく1回目は『もののけ姫』の打ち上げパーティーで、我々テレコムのスタッフの後ろでお一人で料理を黙々と食べていらっしゃったところを、お願いして一緒に写真を撮らせていただきました! 一生の宝物! その後、帰りにトイレでも偶然お会いして「先ほどはお写真ありがとうございました!」ともう一度改めてお礼を言いました。
 2回目はたぶんまたテレコム時代、アニドウのイベント上映で大塚康生さんが前の方の席で観ていらっしゃったので、挨拶にいったらお隣に高畑監督が! 大塚さんが「ウチの若いの」と紹介してくださいました。若かった自分は歴史上の人物に値するお二人が並んでるだけで興奮したものです。
 3回目は、これは正に遭遇だったと思うのですが、高畑監督が書かれた「十二世紀のアニメーション―国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの」という本のイベントにて、もちろん客席でファンとして! 会場はどこかのデパートだったかと。そのイベントで印象的だったのは質問コーナーで、かなり深読みしたインテリファンからの哲学的な質問に対して高畑監督が「いろいろ考えてくださるのは有り難いんですが、僕がこの本を作ったのは、単純にこれが面白いと思ったからで……、面白くないですか?」と一蹴したことです。

 あ、やばい。続きはまた次回!