猛暑が続く８月だが、興行界もまた熱い。８月は週に２本以上のペースで劇場アニメの公開が続く。ここでは中旬スタートの作品を順番に紹介しよう。



　今週８日（金）からは『映画クレヨンしんちゃん　超華麗！　灼熱のカスカベダンサーズ』が公開。2023年の３ＤＣＧ作品『超能力大決戦』から８月公開となっての３作目、２Ｄ長編では32作目となる。『クレヨンしんちゃん』はアジア圏で人気が高く、近年はインドでも好評だという。それもあってか、今作はインドが舞台。しんちゃんたちカスカベ防衛隊の５人はダンス大会で見事優勝、インドに招待されることに。だが、観光中、ボーちゃんが手にとったリュックには恐るべき力が秘められていた。監督・橋本昌和、脚本・うえのきみこのコンビは、これまでも海外旅行をからめた『サボテン大襲撃』『新婚旅行ハリケーン』などの快作をものしている。



　同じく８日より『Ｓｋｙ　ふたつの灯火　―前篇―』が上映スタート。アドベンチャーゲーム「Ｓｋｙ　星を紡ぐ子どもたち」の前日譚の映像化。滅び行く世界で光のマナティと出会うった主人公。マナティの苦しみを和らげるべく神殿を目指すが……。ゲーム中で攻略に伴い公開される映像をまとめて上映する。中国・アメリカの合作３ＤＣＧ作品だ。



　翌日９日（土）からは『蟲』が公開。実写とアニメーション技法を駆使したシュルレアリスティックな作風で知られるチェコの映像作家ヤン・シュバンクマイエル。その2018年制作作品がようやく国内公開される。チャペック兄弟の戯曲「虫の生活」を上演しようと奮闘するアマチュア劇団を描く。シュバンクマイエルを追ったドキュメンタリー「錬金炉アタノール」「クンストカメラ」などと合わせて特集上映が組まれている。
　翌週15日（金）からは４プログラムがスタート。



　まずは『BULLET/BULLET』の後編「弾丸決戦編」。ついに世界の秘密を知ったギアたちだが……。ディズニープラスで配信中のオリジナル作品の総集編だ。監督は朴性厚、キャラクターデザイン、総作画監督は吉松孝博。



　『ChaO』は「人魚姫」をベースにしたオリジナル作品。人間と人魚が共生する未来の上海。冴えない技術者ステファンは、なぜか人魚姫のチャオに求婚されて……。青木康浩はこれが長編初監督。キャラクターデザイン・総作画監督は小島大和。アニメーション制作はSTUDIO4℃。4℃らしい冒険心に満ちた大胆なビジュアルが見所だ。



　『Summer Pockets』劇場編集版は、ゲームメーカー・Ｋｅｙの同名美少女ゲームのアニメ化。現在放映中の２クールにわたるＴＶシリーズをヒロインごとに再編集し、週替わりで４週にわたって上映する。最初が久島鴎編で、以下、紬ヴェンダース編、空門蒼編、鳴瀬しろは編と続く。監督は小林智樹、シリーズ構成は大知慶一郎、キャラクターデザインは大塚舞、アニメーション制作はfeel.が担う。



　“Summer”がタイトルにつく作品がもうひとつ。『The Summer／あの夏』は韓国のハン・ジウォン監督の最新長編。チェ・ウニョンの短編小説「あの夏」を元に、イギョンとスイという２人の若い女性の出会いと成長、そして葛藤を描く。



　翌16日（土）からは『四つの悪夢』が公開。オランダの映像作家・ロスト監督の遺作で、死の国から呼び出されたパンク・バンド、ジ・レッカーズの演奏活動を追うというもの。第１回新潟国際アニメーション映画祭で境界賞を受賞している。短編『ニクスの怪物』が同時上映。

≪劇場アニメリスト≫
2025年８月７日現在、編集部調べ