ANIME NEWS

第2回新潟国際アニメーション映画祭
企画、魅力ともパワーアップ

 第2回新潟国際アニメーション映画祭が今年も開催。
 3月15日から20日まで、市内中心部にあるNEXT21新潟市民プラザをメイン会場に、コンペティションや特集上映、講演など多彩なプログラムで、昨年以上に観客を楽しませた。映画祭は継続こそが力だ。それだけに第2回を迎えられたことをまずは喜びたい。
 この映画祭は、ユーロスペース代表で開志専門職大学アニメ・マンガ学部長である堀越謙三とジェンコ代表の真木太郎が立ち上げた。アートとビジネスというアニメーションの両輪をつなぐハブとなることを目指すべく、長編中心を謳っている点がユニークだ。長編化は世界的な潮流でもあり、目のつけつけどころが面白い。実際、報道によれば、コンペティションには前回の倍以上の49作品の応募があったという。
 ちなみにコンペティションの結果は次のとおり。

 ・グランプリ 『アダムが変わるとき』ジョエル・ヴォードロイユ監督
 ・傾奇賞   『アリスとテレスのまぼろし工場』岡田麿里監督
 ・境界賞   『マーズ・エクスプレス』ジェレミー・ペラン監督

 この記事では、アニメスタイル読者向けに話題を絞ってお届けしよう。

●注目作の『マーズ・エクスプレス』『小さなアメリ』『ひな』



 コンペインした作品では、境界賞にも選ばれた『マーズ・エクスプレス』に注目だ。
 舞台は近未来の火星。女性私立探偵とアンドロイドがバディを組み、失踪した女子学生を追う。その背後には、社会を揺るがしかねない陰謀があった。高度に電脳化した社会のディテールに満ちた生活描写、サイバー感覚あふれる猥雑な夜の街、その一方でいつの世も変わらない男女や家族の屈折などなど。『攻殻機動隊』や今 敏作品を思わせる、スタイリッシュなアニメートとクールなビジュアルが魅力のアクション巨編だ。その魅力はトレイラーからも伝わってくるだろう。フランス・アニメーションの底力を感じさせる一編で、一刻も早い日本での配給を望みたい。



 講演では、同じくフランスの『小さなアメリ』の紹介が目を引いた。『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』『カラミティ』でも美術監督を務めたエディン・ノエルがプレゼンテーションを担当。原作は駐日ベルギー領事の娘の自伝で、簡易版の表紙には美術家・奈良美智による少女絵があしらわれている。異国人の少女と日本人の女中との交流を通じ、昭和40年代の神戸が甦る。プレゼンテーションでは、当時の風俗について相当リサーチした様子がうかがえた。パイロットをみればおわかりのように、輪郭線を用いず、背景と溶け合うようなビジュアルも健在。今年中には完成の予定だという。舞台が舞台だけに、日本公開も期待できそうだ。



 『音楽』の岩井澤健治監督の講演も開かれた。オタワ国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得、日本でもスマッシュヒットとなった作品だけに『音楽』の紹介は不要だろう。「アニメーションとしての映画表現」というタイトルで、ジェンコの町田有也プロデューサーを相手に、映画祭について、そして映画製作について、ざっくばらんなトークが繰り広げられた。
 講演の冒頭では、町田と組んで製作した『ひな』のパイロットを上映。「宮本から君へ」で知られる新井英樹の短編が原作で、昨年のアヌシーで招待上映されたが、それ以外に見る機会のない貴重な映像だ。上にリンクしたアヌシーのショーケースで、その一部を見ることができる(20秒あたりから)。腕利きアニメーターの小嶋慶祐と浅野直之が参加して、『音楽』のようにロトスコープをベースにしながら、作画のうまみを加えた映像になっていた。残念ながら制作はストップしているそうだが、再開を期待したい。
 現在は別の作品にとりかかっており、こちらもロトスコープがベースなのは変わらないという。ロトスコープを用いることについて、作画的な生々しさを求めているわけではなく、むしろ構図や構成などを決め込み、予算管理がしやすい点を理由に挙げていた。いわばビデオコンテのような扱いなのだろう。次回作の発表を楽しみに待ちたい。

●魅力を増した第2回から次回へ向けて
 第1回に比べ、映画祭としての練度や魅力が上がっていた点が何より喜ばしい。今回は、コンペ上映後に会場横に場所を移して、制作者と観客との簡単なティーチインの機会が設けられた。他の映画祭に比べ、観客と制作者・審査員との接点が限られているのが気になっていただけに、これは素晴らしいアイデアだった。次回以降もぜひ続けてもらいたい。審査委員長のノラ・トゥーミーや、審査員のマイケル・フクシマなど、メインスタッフを会場で見かける機会が多かったのも嬉しい。
 また、映画祭の継続には地元との連携が欠かせないが、これも一歩前進したようだ。映画祭と連動したスタンプラリーが行われ、地元の商店街でポスターを見かける機会も多かった。商店街側の事務方に話をうかがうと「すぐに定着するとは思っていないので、長く付き合っていければ」という姿勢を強調されていた。実行委員会は、ぜひこうした声に応え、観客と地元と公的機関をつなぐハブも目指していってほしい。

 要望を挙げるなら、やはり広報の充実だろうか。プログラムの見通しが悪いという声をよく聞いた。可能ならば、コンペへの応募総数や国別など基礎資料も掲示してほしい。映画祭が積み重なれば、こうしたアーカイブの重要性は増すだろう。
 加えて、開催時期はやはり一考の余地があるのではないだろうか。今回は、会場期間中に吹雪く日もあり、3月の新潟はまだまだ厳しいと実感した。加えて東京国際アニメフェアと時期がかぶっている点も参加者にとって厳しい。それ以上に気になるのは、日本の長編との関係だ。現在、日本の長編アニメ興行は(様々な事情から)5月、6月、11月に集中している。東京国際映画祭で先行上映が多いのは、11月開催というメリットを活かした結果でもある。3月は国内長編にとっていちばん対応しづらい時期のひとつではないだろうか。国内外の映画祭のスケジュール、地元との調整、教育機関の休暇時期など、いくつかの理由が重なって現在の日程が選ばれているに違いない。それでも考えてみる価値があるのではないか。(B)

●公式サイト
新潟国際アニメーション映画祭 弐
https://niigata-iaff.net/