遅くなったが今年2月に配信が始まった作品を振り返ってみよう。有料動画配信サービスでの国内制作の新作は1タイトルのみ。
DMM TVのオリジナルアニメ第2弾となる『GREAT PRETENDER razbliuto』の配信が23日から始まった。2020年夏にTV放映された『GREAT PRETENDER』の続編で、前作のラストで記憶を失いながらも生きていることが判明した詐欺師・ドロシーの行方を追うエピソードが全4話で展開される。監督は引き続き鏑木ひろが担当。シリーズ構成は岸本卓(鏑木と共同)に変更、前作で脚本とシリーズ構成を担った古沢良太は脚本監修としてクレジットされている。キャラクターデザインも貞本義行に替わり加藤寛崇が担当する。アニメーション制作はWIT STUDIO。
海外制作の配信作品は著名スタジオによる新作が目立った。
2日にNetflixで公開された『オリオンと暗闇』は、『長ぐつをはいたネコと9つの命』などで知られるドリームワークス・アニメーションの長編新作だ。原作はエマ・ヤレットによる絵本「オリオンとクラヤーミ」(主婦の友社刊)。臆病で暗闇が大嫌いな小学生・オリオンの前に、「暗闇」そのものが人のような姿で現れ、話しかけてきた! やがて、最も怖い存在だったはずの「暗闇」と冒険に出ることになり……!? 脚本は実写「エターナル・サンシャイン」で英国アカデミー賞の脚本賞を獲得したチャーリー・カウフマン。監督はショーン・シャルマッツ。なお、リンク先の予告編は英語版だ。
同日よりDisney+にて『マイセルフ』が配信中。こちらはピクサー・アニメーション・スタジオ所属のクリエイターの養成を目的とした短編シリーズ「スパークス 奇跡の瞬間」の最新作で、3DCGとストップモーションをかけ合わせたアニメーションとなっている。仲間の輪に溶け込みたい木製人形が、星に願いをかけたことをきっかけに自分探しの旅に出る様子をセリフなしで描く。監督はシーリット・フールフ、製作はエリック・ロザレス。こちらもリンク先の予告編は英語版だ。また、同じく英語だがメイキング映像がYouTubeで公開されている。
ここからは2月後半公開の作品。Disney+で『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』のシーズン3の配信が22日より始まった。実写映画「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」のその後を描くシリーズも今回が最終シーズン。徐々に明らかになっていく帝国の計画に、バッド・バッチ隊やクローン達が巻き込まれていく。製作はルーカスフィルム・アニメーション。全15話で、毎週水曜日に更新される。4月4日現在、11話まで視聴可能だ。
Diney+よりもう1本。28日より『イワジュ』が配信開始された。ディズニーとアフリカ系エンターテインメント企業・クガリの初コラボ作で、近未来のナイジェリアを舞台にしたオリジナルストーリーが全6話で展開される。裕福な島に住む少女・トーラと独自の科学技術を持つ少年・コレが、それぞれの世界に隠された秘密と危険に立ち向かう。同日には、本作が共同制作されるまでのドキュメンタリー「イワジュ ストーリー誕生の裏側」も公開された。
前月に続き、2月もYouTubeなどの無料視聴可能なサイトで多くのアニメーションが公開された。配信開始順にセレクトしたものを紹介する。
3日に、トレーディングカード「遊戯王オフィシャルカードゲーム」の25周年を記念した特別アニメが公開。カードに描かれているモンスター達が次々登場し、モンスターごとに躍動感あふれるアクションがオムニバス形式で展開される。今作は、同日に設立が発表されたKONAMI animationがアニメーション制作を手掛けた。制作スタッフの一覧が同スタジオの公式サイトの「WORKS」に掲載されている。
中国発のPC用RPG「崩壊;スターレイル」のショート作品が8日より配信されている。こちらは中国の春節(旧正月)を記念した内容で、ゲームのキャラクター・公輸先生と助手の桂乃芬、素裳が獅子舞の準備に追われるという番外エピソード。新年のお祝いにふさわしく墨を使ったアニメーションパートにも注目だ。リンクは日本語吹き替え版。
こちらも春節をテーマにした作品。9日にポケモン公式YouTubeチャンネルで『ただいま』が公開された。お祭りのシーズンにポケモンと一緒にふるさとに帰省する人々の様子をセリフなしで描く。制作を担当したのは『羅小黒戦記』で知られる中国のスタジオ・寒木春華。監督は『万聖街』の呆尾が担当した。
11日より、アルゼンチンのバンド・SIAMÉSの楽曲「My Way」のアニメーションMVが配信中。SIAMÉSは定期的にMVを出しており、過去作と同様に自国のスタジオ・Rudo Companyが制作を担った。今作はこれまでのMVとは一風違ったルックとグロテスクな表現が見られ、今回監督を務めたアーティストのジェス・ビアンキの美意識が色濃く出たビジュアルとなっている。
13日に突如としてYouTubeに公開されたジブリパークの15秒CM。こちらは宮崎駿が絵コンテを担当したもので、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが「このCMは宮崎吾朗が父・宮崎駿に依頼して、それにこたえたもの」とコメントしている。演出・原画は山下明彦、美術は吉田昇。
Vimeoで公開中の作品も1つ。14日にストップモーション『ALAN THE INFINITE」が配信された。『ことりのロビン』のマイキー・プリーズとダン・オジャリによる、『ロビン』公開の前から制作を進めてきた短編。平凡な会社に入社した新社会人・アランが超自然的な力を持った光る球を解放してしまい……!? パペットや木彫りのセット、3Dトラッキングに顔部分の2Dアニメーション等、様々な技法を組み合わせた映像が約10分に渡って展開される。
20日に公開されたアニメーションMV『サクラキミワタシ』は、青春と悲恋をストレートに描いた作品。卒業の季節のがらんとした音楽室で、ピアノを弾きながら想い人との思い出が止まらなくなる少女の心模様を描く。ゲーム「プロジェクトセカイ」シリーズのMV等、多くの配信作品に携わる山下RIRIが監督、絵コンテ、アニメーション、編集を担当した。
次は企業関連のアニメーション。同じく20日に京セラの公式YouTubeで『今は将来に入りますか。』が公開された。京セラ発オリジナルアニメの第3弾で、前作『私のハッシュタグが映えなくて。』から1年ぶりに新作が登場した。AIを研究している博士・小夜の研究室に通う、学部3年目を目前にしたゼミ生・隼人が将来や自分探しで葛藤する様子を、AIとの対話を中心に様々な技術を介しながら描く。手掛けたのは、劇場『サマーゴースト』などで知られるFLAT STUDIOが新設したチーム・MANAA ANIMATION。本作がチーム立ち上げ後初の作品だ。
本作の主題歌「星めぐる詩」のアニメーションMVも翌週に公開。こちらはイラストレーター・MV監督のすとレによるものだ。本編、MV共に特設サイトに詳細が記されている。
22日は毛色の異なる作品が2本登場。1本目はホロライブ所属のVTuber・猫又おかゆの楽曲「ネコカブリーナ」MV。おかゆ本人を登場させたもの。監督は『ブルーロック』の渡邉徹明、キャラクターデザイン・総作画監督を『久保さんは僕を許さない』の相音光、アニメーション制作はqzil.la。原画には榎戸駿、坂詰嵩仁など、各方面で活躍する若手アニメーターも参加している。
もう1本はHOSHIMIYA TOTO(星宮とと)+TEMPLIMEの楽曲のMV『Mind Replace』。楽曲と共にアニメーションMVの制作を目指すクラウドファンディング企画の2作目で、曲作りからアニメーション制作まで計2年をかけたという。『ハルモニア feat. Makoto』で文化庁メディア芸術祭アニメ部門優秀賞を受賞したアニメーション作家の大谷たらふが制作を担った。
23日に公開されたAdoの楽曲MV『Value』は、Appleの協力の元、iPadのみで作られたアニメーション。作画やコンポジットはもちろん、背景の海の動画撮影や生け花を使ったストップモーション撮影もすべてiPadで行ったという。ディレクターとメインアニメーターを「プロジェクトカビゴン」のG子が担当した。
最後もMV作品。27日に、歌い手のそらるとまふまふのタッグ・After the Rainの楽曲「東京クローン」のMVが公開。こちらはAfter the RainとWIT STUDIOのコラボ作品として発表されたもの。監督・絵コンテ・演出・キャラクターデザイン(濱崎秀樹と共同)をWIT所属の宮川駿が務めた。本作品が宮川の初監督作となる。
2月は他にも『START UP』『May Ninth』等、MVを中心に国内外で多くのアニメーションが公開された。学生の卒業制作作品も投稿され始めている。YouTubeで「アニメーションMV」「卒業制作」といった単語で検索してみるとチェックできる。
本リストは、収集した情報を基に、編集部独自の基準によって作成している。そのため、すべての作品を網羅しているとは限らないことをあらかじめお断りしておく。
≪2024年2月に配信開始したアニメ作品≫
2024年4月4日現在、編集部調べ
2024年2月1日(木) |
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『パディントンのぼうけん[シーズン2]』
配信先:Amazon prime video他、各有料動画配信サービスにて配信中 |
2024年2月2日(金) |
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『オリオンと暗闇』
配信先:Netflix |
『マイセルフ』
配信先:Disney+ |
2024年2月5日(月) |
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『ディーとなかまのオズの国』
配信先:Netflix |
2024年2月6日(火) |
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『世界一小さな男(4)』
配信先:こども映画+ ※2024年4月5日まで |
2024年2月16日(金) |
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『スヌーピー プレゼンツ おかえり、フランクリン』
配信先:Apple TV+ |
2024年2月21日(水) |
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『スター・ウォーズ:バッド・バッチ[シーズン3]』
配信先:Disney+ |
2024年2月23日(金) |
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『銀河系で2番目にイケてる病院[シーズン1]』
配信先:Amazon prime video |
『GREAT PRETENDER razbliuto』
配信先:DMM TV |
2024年2月28日(水) |
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『イワジュ』
配信先:Disney+ |
≪2024年2月に発売されたOVAのリンク≫
2024年4月4日現在、編集部調べ
タイトル・巻数等(★は書籍流通ほか)
補足/予価(税別)/(限定版の場合)予約締切
2024年2月28日(水) |
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「英雄教室」Blu-ray第2巻 特装限定版
新作OVA「バンドやろうぜ!」収録(約10分)/20,000 |
『好きな子がめがねを忘れた』Blu-ray第3巻
Blu-ray限定エピソード「すぐばれる」含むショートアニメ3話収録/15,000 |