2024年最初の月は有料動画配信サービスでの新作の数は控えめ。そんな中、話題作が２本Amazon prime videoで公開された。



　１本目は、19日に公開された『ハズビン・ホテルへようこそ［シーズン１］』。米国発のブラックユーモア×ミュージカル『Hazbin Hotel』が、日本語吹き替え版で観られるようになった。舞台は悪魔に転生した罪人で溢れかえった地獄。地獄の王女・チャーリーは、住民たちを更生させて平和的に人口を減らすため、更生施設「ハズビン・ホテル」をオープンする。制作総指揮はヴィヴィアン・メドラーノ。公開時にはX（旧Twiter）でトレンド入りを果たした。



　22日よりAmazon prime videoほか各有料動画配信サービスで配信開始した『MONSTARS　一百三情飛龍侍極』は、「ONE PIECE」連載前に描かれた尾田栄一郎の読切作品を初めてアニメ化したもの。平和な世に突如空から出現した竜と、流浪の侍・リューマの戦いを１話完結で描く。監督・構成に『呪術廻戦［第１期］』の朴性厚が、キャラクターデザインに『ドラえもん　のび太の新恐竜』の小島崇史が参加。アニメーション制作はE&H productionが担当している。

　いっぽうで、無料視聴が可能なサイトで多くの注目映像が公開された。いくつかピックアップして紹介しよう。



　まず、前回紹介できなかった12月末公開の作品をひとつ。英国の短編ストップモーション『Visible Mending』がThe New York Timesで配信中だ。タイトルの「Visible Mending」とは編み物で、繕った部分をあえて目立たせて装飾的に活かす手法のこと。感情の修復をテーマに、インタビュー音声に沿って毛糸を使ったアニメーションが展開される。監督・撮影はサマンサ・ムーア。今年の英国アカデミー賞にもノミネートされ、２月に入ってから同賞のYouTubeチャンネルにも上げられている。



　１月10日よりYouTubeで配信中の『Wildheart』は、フランスのスタジオ・Keytalesが制作した短編。近過去の日本を舞台に、孤児の少年・ケンタとその友人のマコトが、ケンタの母親を探す旅に出るべくコンビを組む。監督は仲山マルソー。本作をベースに長編化を計画しているという。



　11日にはＴＶアニメ『ダンジョン飯』のＯＰ曲として書き下ろされたBUMP OF CHICKENの楽曲「Sleep Walking Orchestra」のＭＶが公開。ＴＶシリーズのＯＰとは異なり、実写や３ＤＣＧ、イラスト風アニメーションなど、様々な映像表現を組み合わせた作りとなっている。アニメーションパートの一部には『魔法少女まどか☆マギカ』等で知られる劇団イヌカレーが参加。



　同日にYouTube「マクドナルド公式」チャンネルに上げられた『ティロリミックス｜YOASOBI「群青」× Vaundy「花占い」』。人気曲とマクドナルドのポテトが揚がる時の「ティロリ」音をマッシュアップした楽曲に、密度の高い３ＤＣＧ映像がつけられている。YOASOBIやVaundyのような売れるミュージシャンを目指す男の子と彼に寄り添うポテト３兄弟の物語を描く。映像作家の志賀匠が監督を務めた。

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— 淳三 (@j3note) January 14, 2024

　いっぽうでこちらは手描き作品。15日に短編『種』が、作者の淳三（@l3mpte）のXで公開された。３DCGやロトスコープを使わず、２年かけて制作したとのこと。淳三自身による解説も投稿されているので、興味ある方はチェックしてほしい。



　韓国のミュージシャン・AiobahnのYouTubeチャンネルで楽曲「non-reflection」のMVが配信開始した。以前紹介したＭＶ『Re: searchlight』にアニメーターとして参加した宝井俊介が監督を務めている。作画だけでなく撮影面でも細かな表現が散見される。



　こちらは26日に配信スタートしたPEOPLE 1の楽曲「鈴々」のＭＶ。イラストレーター・アニメーターのcoalowlによるコミカルなダンスが車の運転席で繰り広げられる。終盤のセカイ系な展開と疾走感ある映像にも注目。



　翌27日に公開された歌手・俳優の菅田将暉初のアニメーションＭＶ「谺する」は、紐をモチーフにした表現やクリオネのカーチェイスなど、細やかで質感のある作画が終盤まで続く。手掛けたのは、アニメーション作家の山田遼志。



　月末にはAdoの楽曲「ショコラカタブラ」のＭＶが配信スタート。ロッテのチョコレート事業60周年記念の一環として、企画・プロデュースに川村元気、監督・キャラクターデザインに吉成曜を迎え制作された。制作はもちろんTRIGGER。本作品の特別サイトもあわせて公開されている。

　食品会社のＣＭつながりで、もう２作まとめて紹介する。こちらもYouTubeでの配信だ。





　少し遡って10日に公開されたのが、マルコメのみそ製品「料亭の味」の新作ＣＭだ。2014年から続くアニメＣＭシリーズの12作目は「帰省編」。若手会社員の娘とその母親の家族愛を、食を通して描く。監督は増田敏彦が、アニメーション制作はバンダイナムコフィルムワークスが担当。ＴＶ放映に先行しての公開となった（ＴＶでは18日より放映）。
　続いては、東洋水産のラーメンブランド・マルちゃんZUBAAAN！のＣＭ『ラーメンを食べている時だけなぜか脳内で会話ができる２人』。前後編で構成されており、前編は17日、後編は22日に順次公開された。 袋麺「マルちゃんZUBAAN！」を食べているときだけなぜか脳内で会話できるラーメン同好会の男女２人の物語。前編では学生時代のエピソードを、後編ではその５年後の２人の関係を描く。『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』でキャラクターデザイン・総作画監督を務めた大久保義之が監督を担う。アニメーション制作会社はドライブ。なお、上のリンクは前編と後編を合体させたバージョンだ。

　配信作品の締めに、ゲーム作品に関するアニメーションをまとめてお伝えしよう。





　10日に公開された『Still Here』は、米国発のゲーム「League of Legends」のシネマティックトレーラー。世界的ヒット作品らしい壮大な３ＤＣＧ映像が繰り広げられる。
　２つ目は家庭用ゲーム「ポケットモンスター　スカーレット・バイオレット　ゼロの秘宝」の物語を補完するアニメ『知られざる「モモワロウ物語」』。同作で登場する伝説のポケモンの真相を、日本画のようなタッチで描く。
　最後は、中国発のスマホ用ゲーム「アークナイツ（明日方舟）」の中国版の周年記念ＰＶ『【明日方舟新春会】离离枯荣』。日本でもbilibiliにて視聴できる。日本のＴＶ作品にも参加しているアニメーターの八雲Crackが監督を担当。同じく国内作品でも知られる黃成希が原画補佐として参加している。制作はGEAR studio。



　１月はＯＶＡ作品も発売された。
　昨夏のＴＶアニメ『英雄教室』Blu-ray第１巻の特装限定版に、特典映像として新作エピソード「真のテルマエ」が収録。原作の新木伸の書き下ろし小説を基にした、混浴の社交場・テルマエを巡るお色気要素ありの話のようだ。制作スタッフはＴＶシリーズと同じ。以降発売される２巻、３巻にも新作エピソードが収録される予定だ。

　本リストは、収集した情報を基に、編集部独自の基準によって作成している。そのため、全ての作品を網羅しているとは限らないことをあらかじめお断りしておく。

≪2024年１月配信のアニメリスト≫
2024年２月21日現在、編集部調べ

≪2024年１月発売のＯＶＡリスト≫
2024年１月21日現在、編集部調べ

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