遅くなってしまったが、今年５月に配信が始まった作品を紹介する。まずは有料配信サービスで配信中のものをピックアップしていこう。

　Disney+で『STAR WARS　ビジョンズ　VOLUME 2』が４日に配信開始された。「スター・ウォーズ」シリーズの短編アニメ集の第２弾。2021年に公開されたシーズン１では国内の７つの制作スタジオが各話を手がけたが、今回は『ウルフウォーカー』のカートゥーン・サルーンなど、世界各国から９つのスタジオが参加。2Ｄから３ＤＣＧ、ストップモーションまで、エンタメから政治的なもの、アート要素の強いものまでと技法・内容とも多岐にわたる。日本に拠点を置くD’art Shtajioもルーカス・フィルムとのコラボで参加、帝国の支配の元、ライトセーバーの素材となるカイバー・クリスタル採掘を強いられている労働者たちを描いた『穴』を制作している。
　Disney+では同日に「スター・ウォーズ」関連のアニメ『スター・ウォーズ : ヤング・ジェダイ・アドベンチャー』、『マギー・シンプソンの「ローグ・ワン」』も公開されている。

　次はNetflixで公開された国内アニメを２本紹介。

　11日に配信スタートした『ULTRAMAN Final Season』は、清水栄一・下口智裕の原作マンガ「ULTRAMAN」をセルルック３ＤＣＧで映像化したシリーズの３期目にして最終章。強化スーツを着てウルトラマンとして戦い続ける進次郎は、自分の力がコントロールできなくなってきていることに気づく。やがてその力が暴走し、守っていたはずの人類から「厄災」として糾弾されることに。『攻殻機動隊　SAC_2045』の神山健治と荒牧伸志が今作でも共同で監督を務める。

　18日には『ヤキトリ』が配信開始。原作はカルロ・ゼンによる同名小説。圧倒的な科学技術と軍事力を持つ異星人に支配された地球で奮闘する青年たちをセルルックスタイルの３ＤＣＧで描く。「ヤキトリ」とは、異星人同士の戦いで使い捨て同然の扱いを受ける地球人歩兵のこと。主人公・伊保津明が、ヤキトリに志願するところから物語が動き出す。『ＴＨＥ八犬伝』の山形厚史がキャラクターデザインを、ＳＦ設定の役職で様々な作品に関わってきた堺三保が脚本を務める。監督は『ドロヘドロ』で３ＤＣＧアニメーションディレクターを務めた安保英樹。また、国際的に活躍するケン・イシイが本作で初めてアニメ劇伴を担当していることにも注目だ。

　ここからは無料で視聴できる作品を紹介していく。先にTwitterに投稿されたものについて触れる。

https://t.co/FRzzrUjqeX

　７日、超絶最かわてんしちゃんのTwitterアカウント（@x_angelkawaii_x）に約2分の短編アニメ『夢充夜』が投稿された。超絶最かわてんしちゃんはゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」のキャラクターで、同作の主人公（動画配信者）のネット配信時の仮装姿。アニメでは、彼女とその視聴者の不思議な邂逅を描いている。脚本に原作でシナリオ・企画を務めたにゃるらが、キャラクターデザイン・作画監修に『彼女、お借りします』でキャラクターデザイン等を務めた平山寛菜が参加している。

　続いて、YouTubeの各チャンネルで公開された作品をピックアップしていこう。

　10日より、YouTube「大塚製薬 公式チャンネル」にて『スカフィンのうた』が公開中。ポカリスエットのリターナブル瓶のプロモーションで、アニメーション作家の土屋萌児が切り絵を使って表現している。いつもラッパを吹く「あの子」とポカリスエットの「瓶くん」の出会いと友情、そして別れを描く。

　同日にはヨルシカの楽曲「斜陽」のアニメーションＭＶも公開された。楽曲はＴＶアニメ『僕の心のヤバイやつ』のＯＰテーマに起用されているが、今回のＭＶはそれとは別にＯＶＡ『とつくにの少女』監督の久保雄太郎が担当している。『とつくに』で久保と共同で監督を務めた米谷聡美も作画・美術監督で参加。花を渡そうと思いつつ躊躇する主人公が、一歩踏み出して飛翔していく様子が描かれる。ラフな描線が魅力の映像だ。

　15日にもＭＶ作品が１本。ずっと真夜中でいいのに。の楽曲「不法侵入」のアニメーションＭＶが配信になった。ずっと真夜中でいいのに。は定期的にアニメーションＭＶを公開しているが、2023年は本作が初。スタジオコロリドに所属しているゴルが監督を務めた。

　26日には『RUN TOTTI RUN』が配信開始。カンボジアの稲作農家と、その愛犬・TOTTI の物語だ。ピクサーのアニメーター・Shad Bradburyが監督を務めている。

　29日には東映アニメーション発のアニメプロジェクト『ガールズバンドクライ』が始動、ＭＶが２本同時に公開された。どちらも作品内のバンド「トゲナシトゲアリ」の楽曲。「名もなき何もかも」は激しいライブ演奏の様子を３ＤＣＧで描いたもの、一方「偽りの理」では歌詞の内容を汲んだ手描きアニメと違った方向性だ。プロジェクト全体を通して、酒井和男が監督を務める。キャラクターデザインは手島nari。

　最後に学生作品についても見ておこう。専門学校や大学が、卒業制作作品などを中心に学生のアニメ作品をネット上にアップロードしている。５月には多摩美術大学がグラフィックデザイン科の学生作品をアップし、「タマグラアニメーション / TamaGra Animetion（2023）」という再生リストを公開中。この中にはキョ・ガン作『Sewing Love（XU Yuan）』や木戸口未歩作『HOTTEST TOKYO』など今年のオタワ国際アニメーション映画祭で賞を獲得したものもある。

　海外では学生自身が個人チャンネルを持っていることも多い。例えば、『The Little Poet』は米国のカルフォルニア芸術大学（CalArts）の学生・米唐（@toooh_）による作品で、メタ的な構成が光る。なお、CalArtsでは、学生の作品を年度ごとに再生リストにまとめている（https://youtube.com/playlist?list=PL1lT7OF9iYNtwvS9KC4lSo47CH4_d5eJC）。

≪2023年５月配信のアニメリスト≫
2023年５月31日現在、編集部調べ

≪2023年５月に発売されたＯＶＡのリンク≫
2023年５月31日現在、編集部調べ

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