ANIME NEWS

ニュースで振り返るアニメ界2020
コロナ禍に揺れた1年

 新型コロナウイルス感染症の大流行は国を超え、「世界同時体験」といえる災厄となった。当然ながら、アニメ界も大きな影響を被った。
 まずはTVアニメ。当初は中国大陸での感染拡大から、ひっ迫したスケジュールで制作していた作品に影響が現れた。その後、国内の感染状況の悪化を受けて、次第に多くの作品へと影響が広がる。アニメは実写に比べ、個々人の作業や分業により制作の継続が容易だったが、密を避けられないアフレコの問題もあり、比較的優良なスケジュールを維持していたと思われる東映アニメーションやOLMの作品も含め、4月下旬から6月上旬にかけて、多くが放映延期、あるいは再放送へと追い込まれた。制作途上の作品も当然ながら状況の見直しを迫られた。今年の放映を明らかにしながら、2021年へと切り替えた国内作品は以下のとおり。

『約束のネバーランド[2期]』
『キングダム[3期]』5話以降
『五等分の花嫁∬』
『スケートリーディング☆スターズ』
『転生したらスライムだった件[2期]』
『ログ・ホライズン 円卓崩壊』
『不滅のあなたへ』

 劇場興行は、ひとつの場所に大勢を長時間集めることから、さらに大きな影響を被った。公開スケジュールの見直しが相次ぎ、緊急事態宣言下では興行そのものが休止。再開後も、しばらくは旧作のリバイバルが続き、新作は延期を余儀なくされた。スケジュールを見直し、公開にこぎ着けた作品も多いが、年内公開が適わなかったり、大胆に配信へと切り替えたりしたものもある。

○上映中止
『俺を好きなのはお前だけかよ~俺たちのゲームセット~』
『スパイ in デンジャー』
『ソウルフル・ワールド』
○公開未定
『ククリレイジュ ―三星堆伝奇―』『ジュエルペット あたっくとらべる!』
『さよなら、ティラノ』
○2021年に延期
『劇場版 生徒会役員共2』
『美少女戦士セーラームーンEternal』
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第1章
『Tokyo 7th シスターズ ―僕らは青空になる―』
『プレイモービル マーラとチャーリーの大冒険』
『映画しまじろう しまじろうとそらとぶふね』
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
『サイダーのように言葉が湧き上がる』
『それいけ!アンパンマン ふわふわフワリーと雲の国』
『ミニオンズ フィーバー』

 その劇場興行で大きな話題を呼んだのが『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』のよもやの大ヒットだ。TV放映後から児童層を中心に人気が爆発、原作が連載終了したばかりという話題性に加え、海外大作の不在、シネコンの大胆な編成、観客の劇場興行への渇望感も手伝い、PG12という制約をものともせず、300億超の興収をあげ、歴代1位に躍り出た。苦境にあえぐ興行界にとってまさに干天の慈雨であり、アニメ界を超え社会現象となった。記したように要因は様々に分析可能だろうが、アニプレックス、集英社、ユーフォーテーブルの三者が、原作の終了を視野に入れつつ、先行上映に始まり、TV放映から劇場興行まで、一貫したプロジェクトとしてじっくり取り組んでいたことが何より印象的だ。
 ビジネスでは朝日放送(ABC)グループの積極的な展開も目についた。傘下のABCアニメーションの制作スタジオ設立、SILVER LINK.の子会社化など制作環境を整えるとともに、深夜枠「ANiMAZiNG!!!」を編成している。
 最後に、広島国際アニメーションフェスティバルが18回目の今年、事実上、幕を閉じた。TVアニメの存在感が圧倒的な日本にあって、アニメーションのオルタナティブな価値を発信、国内外の作家を刺激し続けてきた功績は大きい。ここに記して、関係者に感謝したい(B)。

●1月

▼【出来事】佳村はるか結婚(1日)
 この日、佳村はるかがプロ野球選手の野田昇吾投手と結婚。声優の結婚の話題は今年も多く、1月には朴王路美と山路和弘、鈴木達央と歌手のLiSAも結婚を発表している。さらに5月に山本亜衣、小松未可子と前野智昭が、6月に高本めぐみ、牧野由依と歌手の三浦祐太朗、7月には、池澤春菜、水樹奈々、小野賢章と花澤香菜など人気声優の結婚が相次いだ。津田健次郎が、週刊誌報道を受け、既婚者であることを明らかにする出来事も。その後も、8月に安済知佳、小澤亜李とミュージシャンのヒゲドライバー、10月に福原綾香と中西伶郎、大坪由佳がそれぞれ結婚を報告している。
▼【訃報】上原正三(2日)
 脚本家。82歳。肝臓がんのため。円谷プロを出発点に『怪奇大作戦』『帰ってきたウルトラマン』『秘密戦隊ゴレンジャー』『宇宙刑事ギャバン』など数多くの特撮番組・児童向け実写ドラマの脚本を担当。アニメの代表作に『ゲッターロボ』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など。
▼【TV】『ID:INVADED』放映開始(6日)
 三島由紀夫賞作家の舞城王太郎がシリーズ構成を務め、あおきえいが監督を務めるオリジナルにして、ミステリー仕立てのオリジナル。
▼【ビジネス】Yostar Pictures設立(8日)
 ゲーム「アズールレーン」などを手掛ける外資系企業Yostarがアニメ制作会社を設立。プロデューサーの稲垣亮祐やアニメーターの斉藤健吾が参画し、企画会社アーチも出資する。
▼【出来事】アニメージュ500号(10日)
▼【訃報】山口祐司(14日)
 演出家。スタジオディーンが公式サイトでこの日明らかにした。『星方天使エンジェルリンクス』『Fate/stay night[2006]』等で監督を務めたほか、虎田功、やしろ駿などの名義でも活躍。
▼【ビジネス】ネルケプランニングに講談社、集英社、小学館が出資(15日)
 いわゆる2.5次元ミュージカルを手がけるイベントプロデュース会社。アニメのキャスティング、音響制作も担う。
▼【劇場】『メイドインアビス 深き魂の黎明』公開(17日)
 R15+(15歳未満観覧禁止)のレイティングで公開。当初はPG12(12歳未満の観覧には保護者の助言が必要)と告知されていたが、映倫の最終的な検定で変更に。15歳未満の前売券購入者には払い戻しを行う。
▼【出来事】石川界人、擬人化プロジェクト降板(21日)
 日本酒を擬人化し、ラジオやアニメPV等で展開するプロジェクト『神酒ノ尊』で越乃寒梅役が石川界人から高橋広樹に交代。自身のラジオで「配慮に欠ける発言があった」ためと公式サイトが表明。
▼【配信】Netflix、ジブリ作品を世界配信(21日)
 2月から日本、アメリカ、カナダを除く地域へ配信すると発表。
▼【イベント】毎日映画コンクール発表(22日)
 アニメーション映画賞に『海獣の子供』。大藤賞に『ある日本の絵描き少年』。
▼【出来事】NHKがサイト運営者を提訴(24日)
 NHKが虚偽を流布したとして所謂まとめサイトの運営者に損害賠償と謝罪を求めて東京地裁に提訴。京都アニメーションの放火事件について、ニュース画像を加工し、NHKディレクターが関与していたかのような記事を掲載していたという。
▼【劇場】『ククリレイジュ』『ジュエルペット』公開延期(24日)
 2月7日より同時公開予定だった。公開2週間前の発表は極めて異例で、理由について製作委員会は「製作の諸般の事情」とした。
▼【イベント】アニー賞発表(25日)
 今 敏にウィンザー・マッケイ賞が贈られた他、京都アニメーションの放火で亡くなった36人に弔意が示された。
▼【TV】『A3!』4話放映延期(31日)
 2月3日放映予定の4話の放映延期が発表。「スケジュール管理に起因する問題」に加え、「海外に於ける新型肺炎に関わる不測の事態も重な」ったため。4月より改めて1話から放映することとなった。また、『とある科学の超電磁砲T.』は17日に7話の放映延期を発表。以降、断続的な放映が続き、15話を放映したところで休止。16話以降は7月末よりの放映となった。当初は海外での感染拡大の影響を受けたが、その後、国内の感染拡大、さらに緊急事態宣言に及んで、TVアニメの大半が放映休止、延期を余儀なくされることとなる。

●2月

▼【ビジネス】加藤陽一、アーチ取締役に就任(3日)
 アニメ企画会社アーチが脚本家・加藤陽一の取締役就任を発表。加藤は『アイカツ!』や『妖怪ウォッチ』のシリーズ構成として知られるヒットメーカー。
▼【訃報】佐野康之(5日)
 声優。49歳。『スペースバグ』でマルボを演じていた。
▼【TV】『異種族レビュアーズ』各局で放映中止(6日)
 TOKYO MXでの放映中止がこの日、製作委員会より発表。8日深夜から5話の放映を予定していた。局側の「編成上の都合」という。異世界での性風俗を題材にしたマンガ原作のアニメ化で、北米で配信中のFunimationから基準から外れたとして削除されるなど、物議を醸していた。5話まで放映したところで、2月18日にサンテレビジョンがやはり「編成上の都合により」放映休止を告知。
▼【イベント】アカデミー賞発表(10日)
 アニメーション映画賞では長編で『トイ・ストーリー4』、短編で『Hair Love』が選出。
▼【訃報】坂口芳貞(13日)
 声優・俳優。80歳。大腸がんのため。舞台、ドラマで活躍。モーガン・フリーマンの吹き替えも多数。アニメではOVA『ロードス島戦記』のギム等。
▼【劇場】『ハイフリ』新バージョンに差し替え(14日)
 1月18日よりスタートした劇場版『BLUE MERMAID ハイスクールフリート』が、この日から新バージョンに。400カット以上をブラッシュアップしたという。公開中の差し替えは異例。
▼【訃報】勝田久(22日)
 声優。92歳。老衰のため。新劇を経て、NHK放送劇団を皮切りに声優草創期より活躍。『鉄腕アトム』のお茶の水博士が著名。勝田声優学院を主催し後進の育成に力を注ぐ一方、声優に関する著作をいくつも物するなど、声優界の発展に尽力した。
▼【訃報】岸野一彦(24日)
 声優・俳優。86歳。急性心不全により。『キン肉マン』のキン肉大王や、洋画の吹き替えで活躍。
▼【訃報】後藤淳一(24日)
 声優。40歳。バイク事故により。『インフェルノコップ』のインフェルノコップ役。
▼【イベント】AnimeJapan 2020開催中止(27日)
 新型コロナウィルスの感染拡大につき、26日に政府から出されたイベント自粛方針を受けて。3月21日から24日まで開催予定だった。

●3月

▼【イベント】東京アニメアワードフェスティバル2020中止(2日)
 新型コロナウィルスの感染拡大を鑑み、安全を最優先とした。3月13~16日に開催予定だった。コンペティション部門グランプリには、長編でアンカ・ダミアン監督の『マロナの幻想的な物語り』、短編でダリア・カシュチーヴァ監督の『娘』が選ばれた。
▼【出来事】青山吉能休業(5日)
 声優・青山吉能が休業すると発表。所属事務所の81プロデュースが明らかにした。4月に復帰を果たしている。
▼【イベント】文化庁メディア芸術祭受賞作発表(6日)
 アニメーション部門の大賞に『海獣の子供』。また功労賞にアニドウ代表のなみきたかしが選ばれた。
▼【ビジネス】DLEが改善報告を公表(6日)
 東京証券取引所の特設注意市場銘柄に指定が2月22日に解除されたことを受けて。一連の「不適切会計」について創業者の椎木隆太に「代表取締役としての適格性が欠如」していたと指摘、後任の目処が立ったタイミングで代表権を返上するとした。
▼【イベント】第14回声優アワード発表(8日)
 主演男優賞に花江夏樹、主演女優賞に古賀葵が選ばれた。
▼【TV】『異種族レビュアーズ』ソフト発売延期(13日)
 新型コロナウイルス感染症の影響により、数量限定版のフィギュア製造・物流に大幅な遅延が出たため、という。4月24日より発売予定だった。
▼【訃報】仲西環(14日)
 声優。44歳。病気療養中だった。代表作に『蒼穹のファフナー』の皆城乙姫、『ぽかぽか森のラスカル』のラスカルなど。
▼【訃報】楠部三吉郎(20日)
 シンエイ動画名誉会長。82歳。東京ムービーを経て、兄でアニメーターの楠部大吉郎とともにシンエイ動画設立に参加。90年から同社社長を務める。
▼【訃報】宮城まり子(21日)
 歌手、俳優。93歳。悪性リンパ腫のため。障害児の養護施設「ねむの木学園」を設立するなど、社会活動家としても知られる。アニメでは劇場『白蛇伝』に出演、『まんが世界昔ばなし』で語りを務める。
▼【訃報】増岡弘(21日)
 声優。83歳。直腸がんのため。『サザエさん』のフグ田マスオ(2代目)や、『それいけ! アンパンマン』のジャムおじさん役で知られる。
▼【ビジネス】ゴンゾを石川取締役に売却(25日)
 ADKが傘下にあるゴンゾを創業者の石川真一郎に売却。30億超の負債を抱え、幼年少向けアニメが得意な自社グループでは事業開発に限界があると判断したという。
▼【ビジネス】湯浅政明、サイエンスSARU代表を退任(25日)
 代表取締役にチェ・ウニョンが就任。同社は湯浅とウニョンが2013年に設立。湯浅作品の母体となっていた。
▼【訃報】渡辺泰(27日)
 1934年生まれ。日本におけるアニメーション研究家の草分けとして活躍。共著に『日本アニメーション映画史』『にっぽんアニメ創世記』がある。

●4月

▼【ビジネス】NHKプラス開始(1日)
 放送の同時配信と見逃し配信を行う。
▼【ビジネス】8million設立(1日)
 『けものフレンズ』等で知られる制作会社ヤオヨロズが解散、関連会社を合わせて新法人8millionに統合。
▼【ビジネス】アニプレックス、Boundary設立(1日)
 Boundaryは3DCGを担う。アニプレックス傘下のアニメ会社はA-1 Pictures、CloverWorksに続き3社目。
▼【TV】『サザエさん』アフレコ中止(4日)
 主演の加藤みどりがラジオ番組に電話でゲスト出演した際に明らかにした。さらに6日には『アンパンマン』のアフレコが中止になったとの報道。いずれも新型コロナウイルス感染拡大を受けて。長寿番組のアフレコ中止は大きな話題となった。
▼【TV】『邪神ちゃんドロップキック’』放映開始(6日)
 北海道千歳市のふるさと納税による新作製作資金募集を行ったことが話題に。主演の鈴木愛奈が同市出身であることから企画がスタートし、当初目標の2000万円を大幅に上回り、1.8億円を集め、「千歳編」のエピソードが作られている。
▼【イベント】アヌシー国際アニメーション映画祭中止(7日)
 新型コロナウイルス感染症拡大のため。フランス・アヌシーで毎年6月に開催されていた。最も歴史ある国際アニメーション映画祭で、今年は60周年の記念の年だった。
▼【出来事】青二プロダクション所属声優が新型コロナウイルス感染を報告(10日)
 山下まみが陽性判定を受けたと所属事務所が報告。その後、8月以降、関俊彦、神尾晋一郎、白井悠介、黒沢ともよ、銀河万丈、小野坂昌也などが感染を発表。いずれも無事回復に至っている。
▼【訃報】大林宣彦(10日)
 映画監督。82歳。肺がんのため。自主製作出身の実写監督の草分けで、代表作に「転校生」「時をかける少女」等。劇場アニメ『少年ケニヤ』を監督、様々な実験的手法を試みた。
▼【訃報】山口頼房(11日)
 アニメーション演出家。59歳。脳出血により。監督作に『うちゅう人 田中太郎』『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』等。
▼【訃報】藤原啓治(12日)
 声優。55歳。がん闘病中だった。『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役で知られる。
▼【訃報】久米明(23日)
 声優・俳優。心不全にて。96歳。「日立ドキュメンタリー すばらしい世界旅行」「鶴瓶の家族に乾杯」のナレーターで知られる。アニメでは『のび太の結婚前夜』のしずかのパパが印象的。
▼【訃報】和田周(23日)
 俳優・声優。81歳。新型コロナウィルス感染により。『イナズマン』等の怪人の声で知られる。妻で声優の瀬畑奈津子も3月に亡くなったばかり。脚本家の虚淵玄は息子。
▼【ビジネス】ぴえろがKLabと資本業務提携(24日)
 KLabはモバイルオンラインゲームの企画・開発会社。
▼【TV】東映アニメーション作品が一斉に新作中止(26日)
 『ヒーリングっどプリキュア』『デジモンアドベンチャー:』『ONE PIECE』が「新型コロナウイルス感染拡大に最大限の配慮をするべく」新作放映を中断。それぞれ再放送や『ゲゲゲの鬼太郎[第6期]』の放映へ切り替わった。6月下旬より新作再開。
▼【TV】「動画工房『春のアニメまつり』」放映(28日)
 『放課後ていぼう日誌』放映延期を受けて、動画工房制作の10作品の第1話を放映。感染症拡大ゆえの措置とはいえ、制作会社名のついた編成は珍しい。
▼【出来事】京都アニメーション第1スタジオ解体終了(28日)
 昨年7月に放火の現場となった。跡地がどうなるかは「総合的に考慮して判断」すると代理人弁護士がコメント。

●5月

▼【TV】『それいけ!アンパンマン』第1500回放映(1日)
 放映エピソードは「ばいきんまんとアンパンマン」。8日からは再放映となった。
▼【TV】『妖怪ウォッチ Jam 妖怪学園Y Nとの遭遇』再放映(1日)
 「都合により」第1話を再放送。他の作品が中断を余儀なくされるなか、1度の再放映のみで新作放映を維持した。
▼【訃報】木藤聡子(1日)
 声優。58歳。病気療養中だったという。
▼【TV】たつき監督、被害届提出を報告(6日)
 KADOKAWAはじめ『けものフレンズ』関係者に危害を加えるとの予告がネット掲示板で繰り返しなされていたのを受けて。声優の石川由依も被害届を提出したと5日に報告している。6月3日に京都府に住む20代の男性が脅迫や威力業務妨害の疑いで警視庁に逮捕された。
▼【訃報】ジョージ秋山(12日)
 マンガ家。77歳。代表作に『デロリンマン』『浮浪雲』『恋子の毎日』等。ギャグから生き方を問う思弁的作品、青年向けの人情話へと作風を変えつつ長きにわたって活躍。『浮浪雲』や『アシュラ』『恋子の毎日』はアニメ化もされた。
▼【ビジネス】アイジー人事異動発表(22日)
 創業メンバーの後藤隆幸が取締役を退任。WITスタジオ社長である和田丈嗣が取締役副社長、西尾鉄也が取締役に。8月28日に正式就任。
▼【訃報】伊藤達文(23日)
 アニメーター、演出家。旧姓玉川。脳幹出血のため。55歳。スタジオコクピット出身。『戦姫絶唱シンフォギア』で監督を務める。
▼【TV】『啄木鳥探偵処』7話「紳士盗賊」放映(25日)
 著作権フリーである江戸川乱歩の短編「二銭銅貨」を翻案したエピソード。
▼【ビジネス】テンセント、マーベラスの筆頭株主に(25日)
 ゲーム、アニメを手がけるマーベラスが、中国のゲーム・ネット企業テンセントの子会社Image Frame Investmentと資本業務提携。テンセントは筆頭株主となる。
▼【出来事】京都アニメーション放火殺人で容疑者逮捕(27日)
 昨年7月に起きた事件で、取り調べができるまで回復したと判断したことから入院中の容疑者を逮捕。12月に放火・殺人等の容疑で起訴された。

●6月

▼【イベント】『ゲゲゲの鬼太郎[第6期]』ギャラクシー賞特別賞に選出(1日)
 ギャラクシー賞は放送批評家懇談会がTV番組を顕彰するもの。「50年以上にわたり6回もアニメ化されたことは、テレビ史に残るできごと」「人間社会が抱えている闇や怖さは、水木しげる原作時代と同じ、普遍的」と評価。
▼【出来事】ユーフォーテーブルと社長、脱税容疑で告発(3日)
 ユーフォーテーブルと近藤光社長が東京国税局査察部から脱税容疑で東京地検に告発された。運営する飲食店の売り上げを少なく見せかけるなどして約4億5千万弱の所得を隠し、1億4千万を脱税した疑い。
▼【劇場】『名探偵コナン 緋色の弾丸』来年公開へ(8日)
 4月公開予定であったが延期となっていた。年内公開で調整した作品が多い中、来年公開を選択。
▼【ビジネス】バンダイナムコアーツとエイトビットが業務提携(8日)
 専用の制作ラインの構築、両社若手プロデューサーによる新規作品創出プロジェクトの推進、人材交流などを深めるという。
▼【訃報】服部克久(11日)
 作曲家。83歳。同じく作曲家の服部良一の長男。作曲家の服部隆之は息子。「ザ・ベストテン」などのテーマ曲で知られる。アニメでは『トム・ソーヤーの冒険』『星界の紋章』など。
▼【ビジネス】サテライト、SANKYOとの資本提携解消(17日)
 6月にSANKYOとの資本提携を解消解消したとこの日自社サイトに掲示。
▼【配信】『泣きたい私は猫をかぶる』Netflixで独占配信(18日)
 6月5日より劇場公開予定だったが延期を発表。劇場公開を待たず、この日よりNetflixでの配信を開始。
▼【出来事】STUDIO4℃の未払い残業代訴訟が事実上決着(23日)
 この日、原告側が明らかにした。原告は同社の元制作進行。労基署からの是正勧告に同社が従わなかったため、残業代の支払いを求め、東京地裁に提訴していた。6月に残業代全額と遅延損害金が支払われ、事実上裁判を続けられなくなった。
▼【ビジネス】森下孝三会長、退任(24日)
 森下孝三は演出家、プロデューサー。『聖闘士星矢』のシリーズディレクターからプロデューサーに転じ、『DRAGONBALL Z』等を企画。最終的に東映アニメーションの副社長、会長を務めた。
▼【ビジネス】ABCアニメーション、制作スタジオ設立(26日)
 ABCアニメーションは朝日放送グループ傘下の企画会社。この日、制作スタジオの設立が明らかに。同社には東映アニメーションで主にCG演出家として活躍した宮本浩史が入社、スタジオ立ち上げにも関わっているという。
▼【劇場】スタジオジブリ関連旧作リバイバル上映開始(26日)
 『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』の4作品。新作上映が薄いこともあり、『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『風の谷のナウシカ』が3週に渡って動員トップを占めた。4作品で7月末までに興収21億を超える異例のヒットに。
▼【訃報】もりしげ(30日)
 マンガ家。アニメ化タイトルに『花右京メイド隊』『こいこい7』がある。

●7月

▼【出来事】石井マーク(1日)
 半年間休業していた声優の石井マークが復帰。
▼【訃報】桑田二郎(2日)
 マンガ家。85歳。旧名・桑田次郎。アニメ化作品に『エイトマン』がある。
▼【ビジネス】アニメーション人材育成調査研究事業を動画協会が受託(15日)
 文化庁の「令和2年度アニメーション人材育成調査研究事業」を受託したと動画協会が発表。「あにめたまご」の後継事業に位置づけられる。
▼【訃報】弘田三枝子(21日)
 歌手。73歳。心不全により。「人形の家」のヒットで知られる。アニメでは『ジャングル大帝』の「レオのうた」が有名。
▼【ビジネス】コモンセンス、特別清算(22日)
 旧名アームスとして、『MEZZO』『エルフェンリート』などを制作。2017年にコモンセンスに改称。本年5月に解散を決議、この日、東京地裁より特別清算開始決定。

●8月

▼【劇場】『鹿の王』公開延期(6日)
 9月18日より公開予定としていたが、「諸般の事情により」2021年に延期と東宝が発表。
▼【劇場】『映画ドラえもん のび太の新恐竜』公開(7日)
 3月6日公開予定がこの時期に。この日公開予定だった『STAND BY ME ドラえもん2』は11月公開へとスライド。
▼【訃報】桂千穂(13日)
 脚本家。90歳。老衰のため。にっかつロマンポルノや大林宣彦監督作品、角川映画で活躍。アニメに『シリウスの伝説』『幻魔大戦』『少年ケニヤ』(いずれも共同執筆)がある。
▼【イベント】広島国際アニメーションフェスティバル受賞作発表(28日)
 グランプリはダリア・カスチエヴァ監督の『ドーター』。8月20~24日の開催を予定していたが、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の終息が見通せない」ため、オンライン会議でコンペを行うかたちに縮小。2022年からはメディアアートに対象を広げる方針を市が掲げており、事実上最後となる。

●9月

▼【イベント】宮崎駿に川喜多賞(1日)
 川喜多賞は映画文化の発展に寄与した個人・団体を顕彰するもの。その第38回受賞者に宮崎駿が選ばれた。
▼【出来事】山本圭子が休養(10日)
 声優の山本圭子が下肢骨折の治療とリハビリのため休養すると、所属事務所の青二プロダクションから発表。『サザエさん』の花沢さん、『ちびまる子ちゃん』の山田などで知られる。花沢役は伊倉一恵が代役を務めた。10月18日放映より『サザエさん』に復帰。
▼【ビジネス】アニメーションDoが京都アニメーションと合併(16日)
 アニメーションDoは、京都アニメーション大阪スタジオとして発足。2000年に法人化し、京都アニメーションの関連会社として活動していた。
▼【劇場】『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公開(18日)
 当初は1月公開予定だったが、昨年に4月への延期を発表、再延期の末、この日公開にこぎつけた。興収20億を超えるヒットに。
▼【出来事】ジブリ作品の場面写真を提供(18日)
 スタジオジブリが公式サイトで自社作品の場面写真を配布。「常識の範囲でご自由にお使いください」というスタンスが話題に。
▼【訃報】富田耕生(27日)
 声優。脳卒中のため。84歳。『マジンガーZ』のDr.ヘルのような悪役から、『キューティーハニー』の早見団兵衛、『魔法使いチャッピー』のドンちゃんのようなコメディリリーフ、『プロゴルファー猿』のおっちゃん、『装甲騎兵ボトムズ』のゴウトのような一癖ある中年など代表作は数多い。『ゲッターロボ』の早乙女、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の四ツ谷、『惑星ロボ ダンガードA』の大江戸、『サイボーグ009[第2作]』のギルモアという型破りな博士役も印象的。外国映画ではアーネスト・ボーグナインの吹き替えで知られる。
▼【イベント】小山明子に文化庁映画賞(28日)
 小山明子は仕上検査、色彩設計として、『アルプスの少女ハイジ』『あらいぐまラスカル』ほか、いわゆる「世界名作劇場」シリーズを長く担当。

●10月

▼【TV】『ひぐらしのなく頃に』新シリーズ放映開始(1日)
 放映前にはリメイクと思われていたが、『ひぐらしのなく頃に業』というタイトルが2話の最後に明かされた。
▼【ビジネス】SILVER LINK.が朝日放送グループ傘下に(1日)
 SILVER LINK.がCONNECTを吸収合併した上で、朝日放送(ABC)グループHDの完全子会社に。8月3日に朝日放送グループHDが発表。朝日放送サイドは「強力なIPを有するコンテンツを保有し、当該コンテンツを活用してマネタイズする」ことにより「総合コンテンツ事業グループ」を目指すとしている。
▼【ビジネス】ツインエンジン新役員を発表(1日)
 3人の新役員を追加。電通より吉崎圭一を招いたほか、グループ会社であるスタジオコロリドより金苗将宏、さらに元ゴンゾの根本慎太郎を加えた。根本は会計不正にからみゴンゾを解任された人物。
▼【TV】『100万の命の上に 俺は立っている』ワケアリ版を放映(2日)
 ワケアリ版と称し、フリー素材サイト「いらすとや」のイラストに差し替えたバージョンで第1話を放映。原作5巻でも単行本1冊まるごと同様の試みを行い配信したことがある。通常版第1話も4日に放映された。
▼【TV】『アサルトリリィ BOUQUET』(2日)
 佐伯昭志が監督、シリーズ構成。新房昭之監督がタッチしないシャフト制作のTVシリーズは2006年の『REC』以来。
▼【TV】『半妖の夜叉姫』放映開始(3日)
 次世代の活躍を描く、TVオリジナルとなる『犬夜叉』の続編。
▼【TV】ABCテレビ新深夜アニメ枠を設立(4日)
 ABCテレビ・テレビ朝日系列の全国24局ネットの「ANiMAZiNG!!!」を設立。テレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation」の全国ネット化とのカップリングとなる。「ANiMAZiNG!!!」第1弾はBLADE制作の『いわかける!-Sport Climbing Girls-』。
▼【TV】『One Room サードシーズン』放映開始(6日)
 キャラクターデザイン、アニメーションディレクターを務める谷拓也が全話の原画を1人で担当。
▼【訃報】まつもと泉(6日)
 マンガ家。61歳。かねてから闘病中だった。『きまぐれオレンジ☆ロード』の原作者として知られる。
▼【訃報】筒美京平(7日)
 作曲家。ヒットメーカーとして知られる。アニメでは『サザエさん』のオープニング、エンディングが有名。
▼【TV】『ポケットモンスター』ゴールデンタイムに復帰(9日)
 『ポケットモンスター[2019年版]』の放映枠が日曜日18時から、金曜日18時55分へと移動。2019年10月に『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』が撤退して以来、地上波キー局のゴールデンタイムからアニメの放映枠はなくなっていた。
▼【劇場】『鬼滅の刃 無限列車編』公開(16日)
 初日から3日間で46億超、観客動員340万人超という記録的大ヒットに。年末には興行歴代1位と発表。興行難に喘ぐ「映画館の救世主」として日刊スポーツ映画大賞の石原裕次郎賞にも選ばれた。
▼【劇場】『映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』公開(31日)
 延期・再延期を重ね、この日公開。応援部分に配慮した、劇場公開バージョンでの上映となった。

●11月

▼【イベント】高橋留美子に紫綬褒章(2日)
 マンガ家の高橋留美子が叙勲。
▼【イベント】Newtype35周年アニメ・クロニクル展(6日)
 KADOKAWAが開発を進めるところざわサクラタウンの角川武蔵野ミュージアムにて開催。
▼【劇場】『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』公開(7日)
 昨年小規模公開した中国製アニメーションの話題作。日本語吹替版をアニプレックスが製作、配給し話題に。ハリウッド作品の流入が途絶えた間隙を埋めるように、『マロナの幻想的な物語り』『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』『ウルフウォーカー』『Away』『FUNAN フナン』など、各国の注目作が相次いで公開された。
▼【劇場】『魔女見習いをさがして』公開(13日)
 『おジャ魔女どれみ』20周年記念作品を謳う。アニメ『どれみ』のファンだった女性3人を描く異色編。『泣きたい私は猫をかぶる』とともに、佐藤順一監督(共同)によるオリジナル長編が2作同年公開となった。
▼【訃報】よのひかり(15日)
 声優。親族がtwitterにて報告。病気療養中だったという。「直撃LIVE グッディ!」などのナレーションを担当。
▼【訃報】矢口高雄(20日)
 マンガ家。81歳。膵臓がんにて。アニメ化された『釣りキチ三平』が著名。
▼【TV】『キングスレイド』Blu-ray発売中止(27日)
 12月23日から全6巻で発売予定だったが中止を発表。
▼【ビジネス】ブシロードとブロッコリーが資本業務提携(27日)
 ブロッコリー創業者の木谷高明が同社を離れたのち、ブシロードを起業したという経緯があるだけに、市場に驚きを与えた。
▼【劇場】『君は彼方』公開(27日)
 瀬名快伸がプロデュース、原作、脚本、監督、声優を務めた長編。各評価サイトの低い点数が物議を醸した。

●12月

▼【出来事】水島新司引退(1日)
 マンガ家の水島新司が引退を発表。81歳。野球マンガの第一人者として知られる。アニメ化作品に『ドカベン』『野球狂の詩』がある。
▼【TV】『東京BABYLON2021』でお詫び(4日)
 キャラクター設定等の衣装に、既存の衣装デザインを使用し、適正な権利処理が行われていなかったとしてお詫びが公式サイトに掲載され、24日には放映延期も決定。
▼【訃報】佐久田脩(6日)
 声優・俳優。子役から長年にわたって活躍。特撮番組『星雲仮面マシンマン』では主役の高瀬健を演じた。近年は海外ドラマの吹き替えやナレーターを中心に活動。この日、訃報が関係者に伝えられた。
▼【TV】『進撃の巨人 The Final Season』放映開始(7日)
 人気作の最終シーズン。監督、シリーズ構成、キャラクターデザイン、制作会社がすべて変更になる大胆なスタッフィングが話題に。
▼【イベント】東京アニメアワードフェスティバル2021アニメ功労部門発表(9日)
 富野由悠季、小山高生、瀬山武司、鈴木敏夫、さくらももこ、才田俊次、伊集加代、羽佐間道夫が選ばれた。来年顕彰予定。
▼【ビジネス】ソニー系企業、クランチロールを買収(10日)
 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント傘下のファニメーションが、AT&Tグループ傘下のクランチロールを約1222億円で買収。両社ともに北米で日本のアニメ配信事業を手がけている。
▼【訃報】村田峻治(14日)
 アニメーター。関係者からこの日、11月末頃亡くなったことが明かされた。
▼【出来事】ガイナックス元社長に実刑判決(14日)
 元社長は、芸能事務所の代表も兼務しており、所属声優にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われていた。東京地裁より2年6ヶ月の実刑判決を言い渡された。
▼【ビジネス】サンジゲン、サブリメイション、Tooがウタリカ設立(21日)
 CG制作のサンジゲン、サブリメイションとデザイン関係用品を手がけるTooが新たな制作会社を設立。専門学校内にスタジオを設置するかたちで、産学連携して北海道のクリエイター育成に力を注ぐという。
▼【劇場】『ジョゼと虎と魚たち』公開(25日)
 タムラコータロー監督、ボンズ制作。原作短編を大胆に翻案したラブストーリーに。2021年に公開延期となった『サイダーのように言葉が湧き上がる』をはじめ、『泣きたい私は猫をかぶる』『思い、思われ、ふり、ふられ』『どうにかなる日々』『魔女見習いを探して』『君は彼方』など、TVアニメに基盤をもたない、現代を舞台に恋愛をからめた劇場アニメの企画が目立った。
▼【TV】『A3!』24話キャスト変更(29日)
 原作ゲームで三好一成役から小澤廉が降板、赤澤燈の担当決定を受け、最終話24話でのキャストも変更に。Blu-ray/DVDも発売を延期し、18話、20話、24話のキャストを変更。