NHKの連続テレビ小説100本目の記念作「なつぞら」。ヒロインの職業がアニメーターということも驚きだったが、劇中に登場する作品が実にらしく描かれたことも話題に。主婦を中心にひろく一般が対象とされる実写ドラマでアニメが題材に選ばれること自体、時代の節目を感じさせる。
その「なつぞら」でヒロインの夫・坂場のモデルと見なされたのが、昨年亡くなったばかりの高畑勲。その高畑の大規模な回顧展が東京国立近代美術館で開かれた。また、高畑作品に参加し影響下にあると認める富野由悠季監督の回顧展もスタート。アニメを牽引した演出家2人の大規模展示が美術館で行われるというのも、また時代の転回を感じさせる。富野展は生前に行われているという点も特筆に値する。ぐっと商業色の強いイベントながら、幾原邦彦や河森正治の展覧会も開かれている。スタジオジブリ展はあっても、宮崎駿展がいまだないことを思えば、アニメ演出家の名を冠した展示がいかに画期的かわかるだろう。
高畑展では『太陽の王子ホルスの大冒険』制作にあたっての大量のメモの展示が大きな目玉だった。同作は「東映まんがパレード」と銘打たれたプログラムの1本。のちの「東映まんがまつり」だが、この名称の復活も大きな話題となった。『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』がゴールデンタイムから撤退するなど、少子化や視聴率の低迷を受け、TVではファミリー向け・児童向けアニメの存在感に翳りがさす一方、劇場では『アンパンマン』『しまじろう』が好調。『ベイブレードバースト』『ここたま』など無料配信へ移行する動きも急だ。動画協会の調べによれば、昨年、配信の収益がビデオソフトを上回ったという。
動きが急といえばブシロードの動向にも注目が集まる。東証マザーズ上場を経て、豊富な資金をバックに、キネマシトラスを関連会社化、サンジゲンに出資するなどグループ化を強力に進めつつある。『慎重勇者』の3話での放映延期や、『バビロン』の放映途中の大規模な再放映などを見ても、いまだ制作現場は厳しい状況だ。今後ともこうした再編は続くだろう。
社員化を進めるなど優良な制作環境を整えているとみられた京都アニメーションを悲劇が襲った。スタジオが放火され36名が犠牲になるという歴史的な事件に見舞われたのだ。文字どおり世界中から悲しみの声が寄せられ、その存在感の大きさを世の人々に知らしめることになった。
世界といえば、海外の劇場長編が相次いで公開されたことも驚きだった。『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』『エセルとアーネスト』など、ここ数年の傑作が一斉に公開。北米製3DCG以外の作品がこれだけ集中的に公開されたことは記憶にない。特に中国製の『羅小黒戦記』は、日本のアニメのエッセンスをうまく取り入れた妖怪アクションものとしてアニメ関係者に衝撃を与えた。
日本の作品に目を向けると、TVでは『鬼滅の刃』、劇場では『天気の子』『劇場版 名探偵コナン 紺青の拳』などが大ヒットした。ただ、ここでは『海獣の子供』を特に挙げておきたい。5年以上の歳月をかけた密度の濃い映像は「楽しむ」というよりも、「体験する」としか言いようがない。恐るべき力作であった。(B)
●1月
▼【訃報】大山高男(5日)
声優。急性心筋梗塞のため。
▼【訃報】天地総子(6日)
歌手、俳優。くせん性脳梗塞のため。78歳。多数のCMソングで知られる。アニメでは劇場『どうぶつ宝島』のキャシー、『とんでモン・ペ』のモンペ、『オバケのQ太郎[新]』のQ太郎など。
▼【TV】『ケムリクサ』放映開始(9日)
『けものフレンズ』で一躍脚光を浴びたたつき監督のオリジナル。終末感漂う世界での謎めいたストーリーが評判に。
▼【出来事】戸松遥結婚(11日)
声優の戸松遥が結婚を報告。声優では他に2月に佐藤亜美菜、宮本佳那子、森なな子、3月に相川奈都姫、4月に三森すずこがプロレスラーのオカダ・カズチカと、5月に小堀幸、6月に利根健太朗と高倉有加、米内佑希、梶裕貴と竹達彩奈、7月に石川綾乃、8月に高垣彩陽、9月に原由実、10月に逢坂良太と沼倉愛美、11月に中村繪里子がそれぞれ結婚を公表している。また5月には音楽ユニットangelaのKATSUと歌手の結城アイラが結婚を発表。
▼【訃報】市原悦子(12日)
俳優・声優。82歳。心不全のため。「家政婦は見た!」シリーズの主演・石崎秋子役が著名。アニメでは劇場『太陽の王子 ホルスの大冒険』のヒルダ、『まんが日本昔ばなし』の語りで知られる。
▼【出来事】池袋PRアニメ配信(16日)
豊島区とアニメイトが共同で製作。アニメーション制作はシャフトが担った。高津幸央監督、吉田玲子脚本、渡辺明夫キャラクターデザイン。近未来の池袋を舞台にした短編。
▼【出来事】ガンダム立像で詐取容疑者逮捕(18日)
お台場のガンダム立像の工事費を水増し、だましとった容疑で元バンダイ社員2人を警視庁が逮捕。
▼【イベント】第73回毎日映画コンクール発表(23日)
アニメーション映画賞に『若おかみは小学生!』、大藤信郎賞に『リズと青い鳥』が選出。
▼【出来事】大坂なおみのアニメCM配信中止(23日)
プロテニス選手の大坂なおみを起用した日清食品のアニメCM。1月11日から配信していたが、登場する他のプレイヤーと肌の色がほぼ変わらない点に海外メディアなどから「ホワイトウォッシュ」ではないかとの批判が寄せられていた。
▼【出来事】『ラブライブ!サンシャイン!!』偽グッズ販売容疑で逮捕(30日)
静岡県警が、Aqours類似のロゴマークが入ったパーカーを販売目的で所持していたとして商標法違反容疑で秋葉原のグッズ店舗経営者を逮捕。サンライズは「ファンの活動を逸脱した行為があったことは遺憾」とコメント。
▼【訃報】寺田嘉代(31日)
歌手。姉の千代と共に、双子のユニット・ドリーミングで活動。「アンパンマンのマーチ」など『それいけ!アンパンマン』関連の歌唱で知られる。
●2月
▼【訃報】有本欽隆(1日)
声優。食道がんのため。78歳。代表作に『ONE PIECE』の白ひげなど。
▼【イベント】米アニー賞発表(3日)
インディペンデント作品賞に『未来のミライ』。
▼【劇場】『劇場版CITY HUNTER 新宿PRIVATE EYS』公開(8日)
1996年のTVスペシャル『ザ・シークレット・サービス』以来、23年ぶりにこだま兼嗣が総監督を務める。往年と変わらぬムードがファンを喜ばせ、興収15億を超えるスマッシュヒットに。
▼【出来事】プロダクションリードが葦プロダクションに改称(12日)
創業時の名称に戻す。1975年に竜の子プロダクションから独立創業、2007年よりプロダクションリードに社名変更していた。
▼【TV】『妖精ちぃたん☆』放映見合わせ(15日)
4月からテレビ東京系列6局で放映予定だった。登場するキャラクターが高知県須崎市のマスコット・しんじょう君と酷似しているとして、市側が運営会社に抗議、争いになっていた。テレビ東京が、係争が解消されるまでは見合わせるべきと判断。
▼【TV】『紙兎ロペ』前日と同じものを放映(20日)
フジテレビ「めざましテレビ」内で放映中の『紙兎ロペ』が前日と同じものを放映。番組終了時にアナウンサーが謝罪。
▼【ビジネス】アニメーター実態調査報告(23日)
文化庁が進める「メディア芸術連携促進事業研究プロジェクト」の活動報告シンポジウムが新国立美術館で開催。2015年に行われた同様の調査と比べ、アニメ制作従事者の収入環境は改善。全産業の平均年収を上回る。
▼【イベント】米アカデミー賞発表(25日)
長編アニメーション映画賞は『スパイダーマン:スパイダーバース』、短編アニメーション映画賞は『Bao』。長編部門で『未来のミライ』が最終ノミネートにあがっていた。
▼【TV】『ちはやふる[第3期]』放映延期(25日)
4月放映を予定していたが、「諸般の事情により」10月に延期。
●3月
▼【イベント】第22回文化庁メディア芸術祭受賞作発表(1日)
アニメーション部門はフランスの短編『La Chute』が選ばれた。
▼【イベント】第42回日本アカデミー賞(1日)
最優秀アニメーション作品賞に『未来のミライ』。また協会特別賞に大塚康生が、会長特別賞に故・高畑勲が選ばれた。
▼【ビジネス】サンライズ・ビヨンド発足(1日)
サンライズが設立。ジーベック制作部門の実質的な後継会社で、4月1日にIGポートからサンライズへXEBECのアニメ事業が正式譲渡された。
▼【ネット】『7SEEDS』配信延期(4日)
4月からNETFLIXで配信予定だったが、「アニメ制作の遅延により」困難に。6月より配信。田村由美の同名マンガが原作で、高橋幸雄監督、GONZO制作。
▼【出来事】山本寛、破産(4日)
演出家・山本寛の破産手続き開始が東京地裁立川支部にて決定。かねてよりウルトラスーパーピクチャーズから制作費等1億円余の支払いを求められていた。同社が債権者として破産手続き開始の申し立てを行ったという。
▼【出来事】バラエティ番組で声優が行った自身の収入に関する発言で、放送局がお詫び(5日)
「有田哲平の夢なら醒めないで」の公式サイトがお詫びを掲載。2月12日放映の「人気声優の悩みSP」で「声優・尾崎由香の収入に関し、説明が不十分で一部誤解を与えるような表現があった」という。
▼【TV】『明治東亰恋伽』9話のサブタイトルでミス(6日)
9話でサブタイトルと次回予告サブタイトルが入れ替わるミス。
▼【イベント】東京アニメアワードフェスティバル開催(8日)
アニメオブザイヤー作品賞は、劇場部門『名探偵コナン ゼロの執行人』、TV部門『ゾンビランドサガ』に。コンペ部門グランプリは長編『アナザーデイオブライフ』と短編『花咲く道11歳』に。
▼【イベント】第13回声優アワード(9日)
主演男優賞は内田雄馬、主演女優賞は三瓶由布子。
▼【ビジネス】Netflix、さらに3社と業務提携(11日)
アニマ、サブリメイション、david productionと包括的業務提携を結んだと発表。昨年のボンズ、Production I.G、WIT STUDIOに続くもの。
▼【イベント】布川郁司が文化庁長官表彰(11日)
文化活動に優れた成果を示し、日本文化の振興に貢献した人たちの功績を称え、この日表彰。選出理由は「アニメーション制作において優れた作品を数多く発表」し、「後進の育成にも努め」たため。
▼【出来事】ユーフォーテーブルに脱税の疑い(12日)
東京都国税局がユーフォーテーブル関連の事業所に一斉に立ち入り調査。5月13日には近藤光社長がマチ★アソビの実行委員長を辞任したことも明らかに。
▼【出来事】『アナと雪の女王』声優交代(13日)
劇場『アナと雪の女王』のオラフの日本語版吹き替え声優を交代するとウォルト・ディズニー・ジャパンが発表。これまで務めてきたピエール瀧が、前日にコカイン使用の容疑で逮捕されたのを受けてとみられる。
▼【出来事】Kalafina解散(13日)
『空の境界』『魔法少女まどか☆マギカ』のテーマソングで知られるユニット。所属事務所のスペースクラフトが告知。梶浦由記やメンバーの一部が退所し、活動していなかったが、正式に解散を明らかにした。
▼【出来事】『ぱすてるメモリーズ』2話配信停止(25日)
18日に公式サイトで告知。1話も修正版に差し替える。Blu-ray&DVD全3巻の発売も中止し、発売されるBlu-ray boxには2話を収録しない。パロディ色の強い内容がこうした判断につながったと見られる。
▼【訃報】白石冬美(28日)
声優。82歳。虚血性心不全にて。アニメ草創期より声優として活躍。『巨人の星』の星明子、『怪物くん[第1作]』の怪物くん、『機動戦士ガンダム』のミライ、『パタリロ!』のパタリロなど代表作多数。ラジオ番組「パックインミュージック」での野沢那智とのコンビは「ナチチャコパック」と呼ばれ人気を博した。
●4月
▼【出来事】「なつぞら」放送開始(1日)
NHK連続テレビ小説100作目。ヒロインはアニメーターで、日本のアニメーション草創期が舞台に。
▼【ビジネス】サンライズ社長に浅沼誠(1日)
2月6日に人事発表。浅沼誠はネットワーク(現・バンダイビジュアル)出身。宮河恭夫前社長はバンダイナムコエンターテインメントの社長に。
▼【ビジネス】トムス・エンタテインメント社長に竹崎忠(1日)
3月13日に発表。常務取締役からの異動。鈴木義治社長は取締役副会長に。竹崎忠は系列会社セガ出身で、学生時代から同社の熱烈なファンとして知られる。
▼【ビジネス】ドワンゴ、KADOKAWA傘下に(1日)
カドカワグループを再編。出版事業を手がけるKADOKAWA傘下にグループ各社を収めるかたちに。創業者の川上量生はカドカワ社長を辞任。2月には資本金を105億以上減らして1億円としていた。
▼【ビジネス】KADOKAWA、アニメ制作部設立(1日)
▼【ビジネス】ギャガ・アニメーションズ・カンパニー発足(1日)
配給会社ギャガは、アニメ事業部アニメ事業グループを社内カンパニー化。ギャガ・アニメーションズ・カンパニーと名称を改めた。業務執行の独立化を進め、将来の分社化も視野に入れているという。
▼【出来事】声優の藤村歩が無期限休養(1日)
理由は「諸般の事情」としている。
▼【TV】『ポプテピピック』TVスペシャル放映(1日)
TV放映版と配信媒体でキャストを変え、4バージョンが登場。
▼【ビジネス】いちごアニメーション設立(4日)
不動産投資業のいちご株式会社が子会社としてアニメーション制作会社を設立。2020年から押井守の新作を予定していると発表。
▼【出来事】『ラブライブ』公式サイト改竄(5日)
ドメインがサンライズから他者に渡り、サイトが改竄される騒ぎに。
▼【配信】『ベイブレードバースト ガチ』配信開始(5日)
『ベイブレードバースト』の最新シリーズ。TV放映から無料ネット配信へと場を移して新シリーズがスタート。
▼【TV】『鬼滅の刃』放映開始(6日)
放映終了直後の累計1200万部から、2ヶ月後の12月には累計発行部数が2500万部に倍増するなど、メディアミックスにより大ヒット作に。
▼【訃報】モンキー・パンチ(11日)
マンガ家。肺炎のため。81歳。『ルパン三世』の原作者として知られ、劇場『DEAD OR ALIVE』では監督も務めた。
▼【劇場】『劇場版 名探偵コナン 紺青の拳』公開(12日)
興収91億を超え、シリーズ最高額を更新。
▼【TV】『けものフレンズ2』でお詫び(15日)
社員によるSNSでの発言に「視聴者の方々を不快にする、不適切なものが含まれて」いたとテレビ東京が公式サイトで謝罪。「作品に対する評価につきましては、視聴者の方々に委ねられており、制作者は、その結果を真摯に受け止めなければなりません」とした。twitter上で細谷伸之プロデューサーとファンとのやりとりが過熱していた。同プロデューサーは定期人事で異動に。
▼【訃報】川久保潔(16日)
俳優・声優。89歳。アニメでの代表作に『キャプテン フューチャー』のサイモン教授、『おねがい! サミアどん』のサミアどんなど。
▼【訃報】小池一夫(17日)
マンガ原作者。肺炎により。82歳。代表作に「子連れ狼」。劇画村塾を主催し、後進の育成にも力を入れた。アニメでは『マジンガーZ』『グレートマジンガー』の主題歌・挿入歌の作詞で知られる。
▼【出来事】マッドハウスに是正勧告(17日)
上限を超える違法な時間外労働と割増し賃金の未払いがあったとして、新宿労働基準監督署から勧告を受けたことが明らかに。
▼【イベント】エイケン50周年展(20日)
長谷川町子美術館にて開催。エイケンは1969年3月10日にTCJ動画センターの設立をもって創業としている。
▼【劇場】東映まんがまつり公開(26日)
子供向けの作品を複数まとめて劇場公開する形態が2009年「とびだす!3D東映アニメまつり」から久々の復活。まんがまつりの呼称は1989年以来となる。
▼【イベント】幾原邦彦展(27日)
東京ソラマチにて。5月6日まで。
▼【訃報】荻野真(29日)
マンガ家。59歳。腎不全にて。デビュー作『孔雀王』はアニメ化もされた。
●5月
▼【ビジネス】DLEが朝日放送グループ傘下へ(10日)
同社は4月18日に金融商品取引法違反として金融庁から1億3540万円の課徴金を言い渡されたばかり。創業者の椎木隆太は代表を離れる。
▼【出来事】小笠原早紀、舌がんを公表し休業(20日)
声優の小笠原早紀が自身のtwitterで休業を報告。舌がん治療のため。
▼【訃報】渡邊亮徳(20日)
東映元副社長。89歳。老衰により。東映テレビ部の部長として長年活躍。いくつもの特撮番組を成功に導く。『魔法使いサリー』など、東映動画のTVアニメ企画にも様々なかたちで関わっていたとされる。
▼【イベント】山村浩二に紫綬褒章(21日)
山村浩二はアニメーション作家で、東京藝術大学教授。
▼【劇場】『プロメア』公開(24日)
TRIGGER制作、今石洋之監督、中島かずき脚本のオリジナル。興収10億を超えるスマッシュヒットに。
▼【イベント】河森正治EXPO開催(31日)
東京ドームシティ Gallery AaMoにて。
▼【出来事】ジブリパークで愛知県と基本合意(31日)
スタジオジブリと愛知県などがジブリパークの基本合意書を結んだ。愛・地球博記念公園で2022年秋に一部が開業する予定。
●6月
▼【訃報】宇井孝司(5日)
演出家。57歳。『ジャングル大帝(1989)』の監督などを務める。
▼【劇場】『海獣の子供』公開(7日)
渡辺歩が監督、小西賢一がキャラクターデザインを務める。アニメーション制作はSTUDIO 4℃。5年の制作期間をかけた密度の高い映像が観客を驚かせた。
▼【出来事】ティーエーピーに脱税容疑(10日)
東京国税局から消費税法違反の疑いで告発。同社は主に中韓への動仕発注を請け負っている制作会社。国内へ発注したようにみせかけ、消費税の納付を免れていたとみられる。
▼【訃報】藤本譲(10日)
声優。心不全のため。83歳。TVアニメ草創期より活躍するベテランで、代表作に『ミスター味っ子』の味皇がある。
▼【出来事】dアニメストアが不適切な投稿を謝罪(13日)
公式Twitterで不適切な投稿があったという。11日に年金制度に関するツイートを揶揄する返信を行っていた。
▼【訃報】千家和也(13日)
作詞家。食道がんのため。73歳。山口百恵、キャンディーズ、麻丘めぐみなどを始め、70年代のヒットソングを数多く手がける。アニメでは『魔女っ子メグちゃん』『花の子ルンルン』などの主題歌を担当。
▼【配信】『バトルスピリッツ サーガブレイヴ』配信(15日)
『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』『バトルスピリッツ ブレイヴ』の続編。YouTubeにて全3話予定でスタート。
▼【劇場】中国で『千と千尋の神隠し』公開(21日)
初日だけで8億円以上の興行収入を挙げ、大ヒットを記録。正式な公開は今回が初めて。
▼【イベント】「富野由悠季の世界」開催(22日)
美術館が共同で富野由悠季監督の大規模な回顧展を開催。福岡市美術館を皮切りに2年間で6館を巡回。
●7月
▼【イベント】米国アカデミー賞会員に押井守ら(1日)
米国の映画芸術科学アカデミーが新会員の招待を発表。アニメ関連の日本人では押井守、大友克洋、斎藤優一郎、西山茂の名前が挙がった。同団体は米国アカデミー賞を主催し、会員が投票権をもつ。
▼【イベント】高畑勲展(2日)
東京国立近代美術館による本格的な回顧展。同館でアニメーションが題材になるのは初めて。10月6日まで。
▼【出来事】大友克洋新プロジェクトを発表(5日)
米国ロサンジェルスで開催中のアニメエキスポにて、大友克洋新プロジェクトを発表。サンライズと講談社により、劇場新作『ORBITAL ERA』の制作や『AKIRA』の原作準拠のアニメ化を進めるという。
▼【イベント】『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 AVANT10706版上映(6日)
フランスで行われているJAPAN EXPOで来年6月公開予定の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の冒頭10分40秒00コマを上映。日本各地でも生中継した。
▼【出来事】木村昇逮捕(9日)
暴行容疑で仙台北署が逮捕。ハーリー木村等の名義で歌手として活躍。代表作に『未来警察ウラシマン』や『科学救助隊テクノボイジャー』の主題歌がある。
▼【ビジネス】ツインエンジン、大幅減資を告示(12日)
プロデュース会社のツインエンジンが8億7千万円近い資本金の減額を同日付の官報にて発表。資本金は900万円に。代表の山本幸治のツイッターによれば、4月に大幅な増資を行い、それを会計処理で資本剰余金に振り替えたという。
▼【ビジネス】IGポート赤字決算(12日)
前期1億4700万円の黒字から、1億7900万円の赤字に。制作期間長期化による採算の悪化や出版事業の減益が響いたという。
▼【出来事】京都アニメーションで放火殺人(18日)
第1スタジオに関東在住の男性がガソリンをまき、放火。容疑者を除き、死者36人(女性22人、男性14人)、負傷者33人。事件当時70人が社内にいたという。犠牲者は浅野杏菜、石田敦志、石田奈央美、池田(寺脇)晶子、岩崎菜美、宇田淳一、大當乃里衣、大野萌、大村勇貴、笠間結花、兼尾結実、川口聖矢、木上益治、草野すみれ、栗木亜美、佐藤綾、佐藤宏太、鈴木沙奈、高橋博行、武地美穂、武本康弘、津田幸恵、時盛友樺、西屋太志、西川麻衣子、藤田貴久、松浦香奈、松本康二朗、丸子達就、宮地篤史、明見裕子、村山ちとせ、森崎志保、横田圭佑、渡邊紗也加、渡邊美希子。池田、木上、武本は同社の役員であり、看板的な演出家、アニメーター。西屋は『Free!』『聲の形』のキャラクターデザイン、作画監督として知られる。高橋、丸子は作画監督、石田奈央美は色彩設計、渡邊は美術監督の要職を務めていた。10月18日に八田英明社長が会見し、負傷した社員33人のうち27人が職場復帰したと明らかにした。
▼【劇場】『天気の子 Weathering With You』公開(19日)
新海誠監督の3年ぶりの新作で、興収100億円を突破する大ヒットを記録。
▼【TV】『炎炎ノ消防隊』3話の放映見送り(27日)
京アニ放火事件を受けてとみられる。当初の編集、演出を一部変更して翌週放送。他にも『BEM』4話、『指先から本気の熱情~幼なじみは消防士~』7話が放映延期となった。
▼【ビジネス】MAGES.がKADOKAWAグループから独立(26日)
ドワンゴより独立。KADOKAWAグループを抜けることに。『STEINS;GATE』などゲーム・音楽事業を手がける。
▼【訃報】島香裕(28日)
声優。70歳。ディズニー作品のグーフィーの吹き替えで知られる。
▼【ビジネス】ブシロード株式上場(29日)
東証マザーズに新規上場。
●8月
▼【ビジネス】ゴンゾがアニメ事業をスタジオKAIに委譲(1日)
スタジオKAIがADKエモーションズの子会社として6月に発足。ゴンゾのアニメ制作事業を引き継ぐ。
▼【訃報】中村和子(3日)
アニメーター。86歳。老衰により。女性アニメーターの草分けで、東映動画を経て、虫プロで活躍。『W3』では作画監督、劇場『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』でアニメーション・ディレクターを務めた。「ワコさん」の愛称で親しまれ、手塚治虫作品のキャラクターのイメージソースにもなったと言われる。
▼【出来事】増岡弘、マスオとジャムおじさんを降板(5日)
声優の増岡弘が『サザエさん』のマスオ役、『それいけ! アンパンマン』のジャムおじさん役を降板。本人から高齢を理由に卒業の申し出があったという。マスオの後任は田中秀幸が、ジャムおじさんの後任は山寺宏一が務める。『アンパンマン』9日放映分、『サザエさん』18日放映分がそれぞれ最後の出演。
▼【訃報】リチャード・ウィリアムズ(16日)
アニメーター・演出家。86歳。がんのため。「ピンク・パンサー」シリーズのアニメーションパートや『ロジャー・ラビット』のアニメーション監督等で知られる。
▼【訃報】加納一朗(16日)
小説家。91歳。誤えん性肺炎にて。ジュブナイルを中心にミステリやSFの分野で活躍。『スーパージェッター』『エイトマン』等、草創期のTVアニメで脚本家も務めた。
▼【配信】『じゅらしっく』公開(24日)
東映アニメーションの若手を中心とした部署横断的チームによる企画の第1弾。オリジナルのショートムービーで、監督を石谷恵、作画監督を山本拓美が務めた。
▼【訃報】依田英助(29日)
俳優・声優。91歳。肺炎による心不全のため。TVアニメ草創期より活躍。「秘密戦隊ゴレンジャー」の牛靴仮面やテレビ仮面など、特撮作品の怪人の声を長く担当した。
●9月
▼【劇場】『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(6日)
フランス・デンマーク製作の長編。TAAF2016の長編グランプリ作品で、公開が待ち望まれていた。
▼【配信】『Sol Levante』メイキング映像公開(6日)
NetflixとProduction IGが目指す4K HDR画質の手描きアニメ。
▼【イベント】『音楽』がオタワ国際アニメーション映画祭で長編部門グランプリ(28日)
岩井澤健治監督の自主制作作品。来年1月より公開予定。
▼【劇場】『羅小黒戦記』公開(20日)
中国製の劇場作品。現代を舞台に妖怪と人間との対立と交流を描き、日本のアニメを思わせる小気味よいアクションとギャグが話題に。大陸でのヒットから間をおかず、日本公開を果たした点にも注目が集まる。
▼【配信】『モノのかみさま ここたま』配信開始(26日)
『ここたま』シリーズの最新作。TV放映していた前シリーズから無料配信へ移行。
▼【劇場】『エセルとアーネスト』公開(28日)
原作は『スノーマン』『風が吹くとき』で知られるレイモンド・ブリッグスの絵物語。イギリス・ルクセンブルク合作。メイン館の岩波ホールはミニシアターの草分け的存在で、本格的な2Dアニメーションを上映するのは今回が初めて。
●10月
▼【ビジネス】ディーライツがADKエモーションズに吸収合併(1日)
ディーライツはアニメ企画を専門とする三菱商事の子会社。昨年にADKグループ傘下となっていた。ADKエモーションズはADKのアニメ分野事業を統括する組織。
▼【イベント】文化庁映画賞映画功労部門で倉橋静男、渡辺宙明を顕彰(3日)
倉橋静男はサウンドボックス代表。音響効果マンとしてアニメを中心に長年活躍。渡辺宙明はアニメ・特撮分野を中心に劇中音楽作曲家として活躍してきた。
▼【TV】『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』放映枠移動(5日)
土曜日午後4時30分からの1時間に。これによりキー局地上波のゴールデンタイムからアニメ番組が消滅。
▼【訃報】和田誠(7日)
イラストレーター。肺炎のため。83歳。映画監督、エッセイストのほか、アニメーション作家としても活躍。『みんなのうた』や「ゴールデン洋画劇場」のタイトルなどを手がけ、『殺人 MURDER』で大藤信郎賞を受賞。
▼【ビジネス】バンダイナムコHDが創通を公開買い付け(9日)
創通は「ガンダム」シリーズの広告代理店として知られる。
▼【出来事】STUDIO4℃社員が未払い残業代を求め提訴(10日)
三鷹労働基準監督署から違反勧告を受けるもSTUDIO 4℃が拒否し、裁判となった。
▼【訃報】吾妻ひでお(13日)
マンガ家。69歳。近年は食道がんを患い、闘病中だった。代表作に「ふたりと5人」「やけくそ天使」、アルコール依存症などの実体験を綴った「失踪日記」も話題となった。パロディ・ナンセンスを多用する作風、魅力的な美少女描写などで70年代に一躍人気作家に。第1次アニメブームとも呼応し、後進に大きな影響を与えた。アニメ化作品に『おちゃめ神物語コロコロポロン』『ななこSOS』がある。
▼【ビジネス】バンダイナムコアーツ、studioMOTHERへ出資(15日)
studioMOTHERは『宇宙戦艦ヤマト』の原作を管理するボイジャーホールディングスが設立した制作会社。社長はジーベック元会長の下地志直が務める。
▼【TV】『慎重勇者』3話放映延期(15日)
23日より順次放映予定だった『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』3話の放映延期を公式サイトで発表。当日は2話を再放映。
▼【訃報】植村伴次郎(15日)
東北新社創業者。肺炎にて。90歳。同社は海外映像作品の代理販売、音響制作を担うほか、『ゼロテスター』『勇者ライディーン』などを製作している。
▼【出来事】カラー放火予告で容疑者逮捕(16日)
twitterで放火をほのめかす投稿をしたとして、威力業務妨害容疑で岡山在住の男性を警視庁が逮捕。
▼【ビジネス】スタジオバインド設立発表(19日)
制作会社WHITE FOXと企画会社EGG FIRMが共同で2018年11月に設立。『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のアニメ化に乗り出す。同作のアニメ化プロジェクトを継続的、長期的、計画的に進めていくためという。
▼【イベント】東京国際映画祭開催(28日)
「ジャパニーズ・アニメーション」と銘打った特集上映行う。また、アニプレックスが「ワールド・フォーカス」のプレミアムスポンサーを務めた。
▼【出来事】『星合の空』エンディングで謝罪(31日)
エンディングのダンスの振り付けがネット上のダンス映像と酷似しているとの指摘を受けていた。公式サイトによれば、改めて踊り手の協力が得られたという。
●11月
▼【イベント】第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭開催(1日)
長編部門で『失くした体』、短編部門で『Acid Rain』にグランプリ。
▼【出来事】花守ゆみり、『Re:ステージ!』降板(1日)
伊津村陽花役で活動中の声優・花守ゆみりが降板を発表。膝のけがのため。『Re:ステージ!』は中学生アイドルグループを描く企画で、アニメの出演声優自身がライブ活動も行っていた。
▼【訃報】眉村卓(3日)
作家。85歳。誤嚥性肺炎のため。代表作「消滅の光輪」のほか、ジュブナイルやショートショートの書き手としても知られ、映像化も多数。アニメ化作品に『時空の旅人』『Manie-Manie 迷宮物語』『ねらわれた学園』がある。
▼【劇場】『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』公開(8日)
まんきゅう監督、ファンワークス制作。ゆるいキャラクターたちが深刻な事態に立ち向かうギャップが評判を呼び、興収10億円を突破。
▼【出来事】『犬夜叉』AbemaTVでの配信を取りやめ(9日)
当初は3日からの配信を予定していたが、最終的に取りやめとなった。
▼【訃報】中村正(11日)
声優。胆のう炎による敗血症のため。89歳。「奥さまは魔女」のナレーションや「チャーリーズ・エンジェル」のチャーリーで知られる。アニメ草創期から活躍し、近年は細田守作品の常連でもあった。
▼【ビジネス】Dlife来年3月終了を発表(14日)
Dlifeは無料視聴を謳うウォルト・ディズニー・ジャパン傘下のBS放送。2020年3月31日いっぱいまで。見逃し配信も順次終了する。
▼【TV】『ポケットモンスター(2019)』放映開始(17日)
タイトルがシンプルに、主人公がサトシとゴウの2人となるなど、大きくリニューアル。
▼【TV】サザエさんウィーク(18日)
『サザエさん』が10月で放映50周年を迎えた。これを記念して、24日に記念番組が放映されたほか、18~24日の間にいくつもの特別番組がフジテレビで編成された。
▼【出来事】代永翼、活動制限を告知(18日)
声優の代永翼が活動を制限すると本人のtwitterアカウントで発表。昨年末頃から発声障害を抱えていたという。
▼【出来事】『鬼滅の刃』ソフトでイスラム教音声を不適切使用(22日)
10月30日発売の『鬼滅の刃』4巻同梱の特典CDで「イスラム教に関わる音声の不適切な使用」があったとして、アニプレックスが謝罪。出荷停止と回収・交換を行う。
▼【TV】『バビロン』1話から再放映(25日)
7話まで放映したところで、この日より1~5話を毎週再放映。8話は12月30日放映という変則編成に。
▼【訃報】井上真樹夫(29日)
声優。狭心症悪化により。81歳。人気声優の1人として第2次声優ブームを牽引。代表作に『巨人の星』の花形満、『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロック、『キャンディ・キャンディ』のアルバート、『ルパン三世[第2作]』の石川五右ェ門がある。
▼【劇場】『Gundam Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター』公開(29日)
富野由悠季総監督がTVシリーズを再編集。バンダイナムコアーツがサンライズと共同で初めて配給を手がける。
●12月
▼【イベント】ウィンザー・マッケイ賞に今 敏(2日)
国際アニメーション映画協会は、第47回アニー賞のウィンザー・マッケイ賞(功労賞)に今 敏を選出したと発表。表彰は来年1月25日。
▼【出来事】ガイナックス社長、準強制わいせつ容疑で逮捕(5日)
警視庁捜査1課に逮捕されたのは巻智博。関連の声優育成会社を経営しており、2月に声優を目指して所属契約をしていた10代女性の裸の写真を撮ったという。
▼【出来事】『アナと雪の女王2 感想漫画企画』でディズニー社が謝罪(5日)
ウォルト・ディズニー・ジャパンはtwitterでのマンガを使ったキャンペーンについて、PR表示が抜け落ちていたことを謝罪。ステルス・マーケティングではないかと騒ぎになっていた。
▼【イベント】高橋留美子、富野由悠季、村田英憲に文化庁長官表彰(6日)
優れた成果を示し、文化振興に貢献された方々を顕彰するもの。高橋留美子はマンガ家、富野由悠季はアニメ監督、村田英憲はエイケン創業者。
▼【ビジネス】アニメ産業市場規模過去最大を記録(9日)
日本動画協会はアニメ産業レポートを刊行。市場規模を2兆1800億円超とし、6年連続で過去最高を更新した。海外展開が1兆円を超えた一方、パッケージ売上げが587億円だったのに対し、配信は595億円と初めて逆転。
▼【ビジネス】キネマシトラス、ブシロードのグループ会社に(11日)
ブシロードがKADOKAWAとともに出資を強化、3割以上の株式を保有することでキネマシトラスを関連会社とした。7月1日に包括的業務提携の締結を発表したばかり。また、13日にはサンジゲンとの資本提携も発表。6月の上場を経て出資・グループ化を強めている。
▼【TV】『アズールレーン THE ANIMATION』11、12話放映延期(12日)
公式サイトにて3月への放映延期を発表。1月より1話からの再放映を実施。
▼【出来事】ティアスタジオ事業停止(13日)
ティアスタジオを運営する制作会社・株式会社ネクストバッターズサークルが事業を停止。今月中に破産申請する。負債総額は4300万円。これまで『王室教師ハイネ』『なんでここに先生が!?』などを制作。『フラグタイム』が劇場上映中だった。
▼【TV】BS日テレ、来年1月よりアニメ枠を拡大(17日)
来年1月より新作7作品をスタート、25作品に拡大すると記者発表。今年10月から「アニメにむちゅ~」と枠タイトルを命名、8作品から23作品へと急増していた。
▼【ビジネス】イード、学研のアニメ関連事業を取得(19日)
WEBメディア事業を手がけるイードが学研プラスから「アニメディア」等のアニメ関連事業を取得すると発表。来年2月発売号からイード発行となる。発売は引き続き学研プラスが担当。
▼【劇場】『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開(20日)
2016年のヒット作『この世界の片隅に』に新作を追加した長尺版。片渕須直監督の新作に向けた新スタジオ設立も同時期に発表された。