７月新番組もいよいよ佳境へ。今期の話題作のひとつが、８日よりスタートの『プラネット・ウィズ』だろう。前回も簡単に触れたが、アニメーション制作はJ.C.STAFFが担当。シリーズ構成・ネーム・キャラ原案をマンガ家の水上悟志が担当したオリジナル作品だ。マンガ原作を持たず、実力派のマンガ家が脚本用に直接ネームを作るという試みは、近年『ユーリ!!! on ICE』で行われたぐらい。シナリオというかたちに広げても、『ちびまる子ちゃん』『灰羽連盟』が挙げられるげられる程度で例が少ない。劇場作品ならいざしらず、ＴＶシリーズに参加するとなれば、週刊マンガペースでネームを仕上げる必要があり、それをこなせるだけの力量の持ち主であれば、マンガそのものを書いてもらったほうが結果としていい、というのが常識的な判断だろう。それを押して企画を成立させるには、並々ならぬ意欲が必要とされる。どのような成果が生まれるか注目だ。
　その『ユーリ!!!』で大きな成果を上げたMAPPAが挑む話題作が『BANANA FISH』。マンガ家・吉田秋生の代表作というより、80～90年代のマンガ界を代表する一作と言っていいだろう。『Free!』で名を馳せた内海紘子監督が、京都アニメーションを出て手がける第１作としても注目される。ベトナム戦争後のアメリカ合衆国という原作の舞台を大胆に現代に移し替えるというのも波紋を呼んでいる。フジテレビ系ノイタミナ枠での放映だ。
　他に、『はるかなレシーブ』は『THE IDOLM@STER』等で知られる窪岡俊之のＴＶシリーズ初監督作品。同じく、『少女☆歌劇　レヴュースタァライト』は『ユリ熊嵐』で副監督を務めた古川知宏が初ＴＶシリーズ監督となる。また、『深夜！天才バカボン』は、『しろくまカフェ』などでシリーズ構成を務めた放送作家の細川徹が初監督を務める。

　配信作品に目を移すと、７月７日の七夕に『約束の七夜祭り』の配信がYouTubeでスタートする。『モンスターストライク』のXFLAGスタジオが製作。１時間のオリジナル作品をネットで無料配信するという大胆な試みだ。原案・監督は『正解するカド』の村田和也。『翠星のガルガンティア』『A.I.C.O. Incarnation』に続く彼の原案作品となる。
　最後にアニメ以外の番組にも触れておこう。「ＮＨＫ映像ファイル　あの人に会いたい」は同局に残る映像音声アーカイブを利用し、著名人の肉声を後世に残そうという試み。そこで高畑勲の特集が組まれる。どのような映像が残されているのか期待したい。総合テレビ14日早朝５時40分から。

《ＴＶアニメ新番組リスト》
2018年７月４日現在、編集部調べ