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アニメ音楽丸かじり(158)
『日本アニメ(ーター)見本市』サントラは魅力的な歌ものがたっぷり!

 オリコンのCDアルバムランキングで、5月27にリリースされたμ’sのベスト盤「Best Album Best Live! Collection II」が5月26日、27日と1位を獲得。28日は2位となり、Superflyのニューアルバム「WHITE」と僅差で競り合っている。もし週間ランキングで1位となったら、アニメキャラクター名義のCDとしては『けいおん!!』の「放課後ティータイムII」(2010年)以来となるので、5年振りの快挙ということになる。次の週間ランキングの発表を楽しみに待ちたい。

μ’s Best Album Best Live! Collection II

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μ’s Best Album Best Live! Collection II

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『日本アニメ(ーター)見本市』は、ドワンゴとカラーがタッグを組み、ニコニコ生放送を媒体として毎週オムニバス映像を公開するという企画だ。これまでファーストシーズン12話、セカンドシーズン12話が公開されたが、5月31日をもってファーストシーズンの作品は公開終了となる。
 この企画のサウンドトラック盤「第一弾」が5月13日にキングレコードからリリースされたので、紹介しておきたい。CD1枚に39曲を収録した74分のボリュームで、第1話『龍の歯医者』から第11話『POWER PLANT No.33』までの、ファーストシーズンのBGMが収録されている。第12話『evangelion:Another Impact(Confidential)』については収録されていない。曲順は、1曲目~5曲目が第1話BGM、6曲目~10曲目が第2話BGMという具合に、話数の順番に並べられている。

 第1話『龍の歯医者』は、龍を空中戦艦として使役するという不思議な世界観の作品。物語は歯の治療役として招集された少女を中心に進んでゆく。音楽は正統派の軍隊ものといった趣で、オーケストラに打楽器を加えた勇壮でスケールの大きなものだ。『ストライク ウィッチーズ』や『ガールズ&パンツァー』といった「少女+ミリタリ」ものに近い曲調であり、この手のサウンドが好きな方には特におすすめ。
 第2話『HILL CLIMB GIRL』はタイトルどおり自転車によるヒルクライムレースを扱った作品。3DCGならではのダイナミックな登坂映像は視覚のごちそうだ。ピナレロDOGMAを忠実に再現した車体モデリングや、シマノDURA-ACE 9000 C50ホイールの登場など、僕のような自転車乗りでも満足できるマニアックさが嬉しいところ。余談だが、このホイールだけでも定価だと20万円以上するのだ。
 音楽はギターサウンドを活かしたロックが中心。同じく自転車ものの『弱虫ペダル』も同傾向のアプローチだったが、自転車レースのスピード感を表現するには、アップテンポのロックが向いているのだろう。最後に流れる主題歌「HILL CLIMB GIRL」も、やはり爽快感のあるアップテンポのガールズロックだ。
 第3話『ME!ME!ME!』はエロティックなイメージが奔流のように押し寄せてくる刺激的な内容。地上波での放映は難しそうな要素がたっぷりで、『日本アニメ(-ター)見本市』ならではの作品と言えるかもしれない。音楽は『パンティ&ストッキング with ガーターベルト』のTeddyLoidが担当しており、使用曲4曲すべてが歌ものだ。いずれもTeddyLoidらしいテクノポップで、ギラギラとした鋭角的なシンセ音と、3月に高校を卒業したばかりの女性ラッパーdaokoの幼い声質とのマッチングが面白い。キュートネスとエロスを両立させたビジュアルにもよくあっている。
 第10話『ヤマデロイド』は山寺宏一が歌う「アジアの海賊」が全編にわたってフィーチャーされており、まるでミュージックビデオのような作りだ。これは堀内隆監督が、オリジナルである坂本冬美のMVに参加したことから実現した企画だという。楽曲のアレンジもオリジナルに近く、聴き比べてみるのも楽しいだろう。山寺宏一の美声と歌唱力をたっぷりと楽しめる1曲であり、本盤のハイライトのひとつと言える。ちなみに作詞作曲はあの「翼の折れたエンジェル」の中村あゆみだ。

 この『日本アニメ(-ター)見本市』は短編のオムニバスということで、ストーリーをじっくりと見せるというよりは、ハイテンションな映像の快楽によって視聴者を引き込もうとする作品が目立つ。そして『HILL CLIMB GIRL』『ヤマデロイド』のように、音楽が主役級の働きをしているものもあるのだ。短編でありながらサントラの中には歌ものが10曲も含まれており、これらの楽曲は各作品中においてハイライト的な役割を果たしている。したがって、『日本アニメ(-ター)見本市』をくまなく視聴した方なら、印象に残る歌ものに出会えた可能性は高いはず。今回のサウンドトラック盤は「第一弾」ということで、当然ながらセカンドシーズンの楽曲を収録した「第二弾」の発売も期待される。セカンドシーズンの作品にも魅力的な音楽があるので、「第二弾」発売の折りにはそちらも紹介したい。(和田穣)

日本アニメ(-ター)見本市 サウンドトラック 第一弾

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日本アニメ(-ター)見本市 サウンドトラック 第一弾

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