ANIME NEWS

アニメ音楽丸かじり(142)
百花繚乱の花盛り―いまアイドルアニメが熱い! 入門編ならこのCDだ!

 前回の記事では、『ラブライブ!』『アイカツ!』のサントラを取り上げ、また今年のAnimelo Summer Live 2014 -ONENESS- はアイドルアニメから生まれたユニットが花盛りであったことを述べた。記事を書いていく中で「いまどきのアイドルアニメと、そこから派生したユニットについて整理してみたい」という思いがふつふつとこみ上げてきたので、改めて各作品の概要と、ユニットの特徴、おすすめのCDなどを書いてみたい。すでにこういったアイドルアニメにどっぷりとはまっている方々は、おそらく複数のCDを持っているだろうから、こんな記事は必要ないかもしれない。ここでは、最近アイドルアニメとユニットに興味を持った人向けに、入門用としての最初の1枚を提案していきたい。

 まずは現在もっとも勢いのあるコンテンツのひとつ『ラブライブ!』から。電撃G’s magazine、サンライズ、ランティスの三者によるメディアミックス企画で、雑誌上での連載は、正史とも言えるマンガ版「ラブライブ!」と、各キャラクターにスポットを当てた公野櫻子の書き下ろし小説「ラブライブ! School idol diary」など。
 さらにコンテンツの柱となるのが、これまでランティスから多数リリースされてきたCDと、サンライズによるPV映像だ。映像は主にシングルCD付属のDVDのかたちで発表され、アニメ化以前のシングル5作品「僕らのLIVE 君とのLIFE」「Snow halation」「夏色えがおで1,2,Jump!」「もぎゅっと“love”で接近中!」「Wonderful Rush」およびアニメ化後の「Music S.T.A.R.T!!」が正規ナンバリングタイトルで、これらはすべてPVが制作されている。
 ユニットは、主要キャラクター9名を演じる声優が勢揃いしたμ’s(ミューズ)だ。ライブイベントは今年2月に行われた「μ’s →NEXT LoveLive! 2014 ~ENDLESS PARADE~」で4回目となるが、この時はさいたまスーパーアリーナで2日間の開催。来年1月開催の「μ’s Go→Go! LoveLive! 2015 ~Dream Sensation!~」では、同アリーナを2日間スタジアムモード(3万人前後を動員)で稼働させる予定だ。順調なファン層の拡大と、注目度の高さがよくわかる。
 これからラブライバーにならんとする入門者が最初にどんなCDを入手すべきか。これはそれほど難しい選択ではない。まずは2013年1月にリリースされた「μ’s Best Album Best Live! collection」を手に取るのがいいだろう。2枚組31曲というボリュームに、アニメ放映前までの2年半にわたって生み出された楽曲がほぼ網羅されている。長期にわたってチャートインしたロングセラー作品であり、累計売上げは8万枚を超えたアルバムだ。「通常盤」「BD付通常盤」「超豪華盤」の3種がリリースされているが、「Music S.T.A.R.T!!」以外のシングル5作のPVを収録したBD付通常盤がおすすめ。TVアニメ版の楽曲については、現状ではシングル盤を集めていくか、サントラ盤に収録されたショートバージョンを聴くのがいいだろう。いずれはTVアニメ版の楽曲を集めた、ベスト盤がリリースされると期待したいところだ。

ラブライブ! μ’s Best Album Best Live! collection 【Blu-ray Disc付 通常盤】

LACA-39262~3/5,000円/ランティス
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 続いては『アイカツ! アイドルカツドウ!』について。こちらはトレーディングカードを使ったアーケードゲームが原作であり、メインターゲットの女児に混じって筐体に並ぶおじさんファンを生み出したことでも話題となった。ゲームの稼働は2012年10月から、TVアニメも同じく2012年10月から放映が開始され、現在は2年目となる第2部が終盤を迎えている。以降も、引き続き放映が予定されているとのことだ。
 アイドルとして活動するメインキャラクターそれぞれに、演技担当・歌唱担当の2人のキャストがついている。このうち歌唱担当のメンバーから結成されたユニットがSTAR☆ANIS(スターアニス)だ。彼女たちは、秋葉原にあるライブ&カフェ「秋葉原ディアステージ」に所属するアイドル(ディアガール)でもある。ディアステージの名前は、でんぱ組.incを送り出したところとして耳にした方もいることだろう。STAR☆ANISは『アイカツ!』関連イベントに参加しているほか、Animelo Summer Live 2014 -ONENESS- やランティス祭りにも出演を果たしている。
 さて、そんな『アイカツ!』とSTAR☆ANISのおすすめCDだが、こちらもやはりベストアルバムがいいだろう。今年4月にリリースされたTVアニメ第1部のベスト盤で、2枚組23曲にTVアニメ第1部のOP・ED4曲のほか、アニメ本編中に使用された挿入歌がたっぷりとフルサイズで収録されている。まずは本盤を押さえつつ、いずれリリースされるであろう第2部のベストアルバムを待つのがおすすめだ。

TVアニメ データカードダス アイカツ! ベストアルバム Calendar Girls

LACA-9350~9351/3,240円/ランティス
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 続いては『Wake Up, Girls!』について。ご存じ山本寛監督によるTVアニメと、同名の声優ユニットによるプロジェクトだ。メインキャラクターを担当する声優を一般公募し、1年間かけて演技・歌唱・ダンスのトレーニングを積ませるという、かつてモーニング娘。を生み出して一世を風靡した「ASAYAN」のような発想。アイドル文化に造詣の深い山本監督らしい企画と言えるだろう。アニメ劇中におけるアイドルたちの成長と、現実の声優たちの成長を重ね合わせながら、1粒で2度楽しむことができるわけだ。
 TVアニメは今年1月~3月に放映。放映開始にあわせて劇場版『Wake Up, Girls! 7人のアイドル』も公開された。配信サイトなどを用い、世界108ヶ国・地域に同時配信したこともインパクトがあった。放映終了後も声優ユニットの活動はコンスタントに続いており、4月には初の単独イベントを開催、8月から9月にかけて初のライブツアーを行い、Animelo Summer Live 2014 -ONENESS- にも出場を果たしている。
 さて、おすすめ盤だが、これが実に難しい。ユニットWake Up, Girls!のシングル盤は、イベントへの特別先行販売コードを添付した仕様であり、イベントが終了した現在、改めて購入する動機を見つけにくいと思う方もいるだろう。先頃発表された「Wake Up, Girls! コンプリートアルバム(仮)」がベスト盤的な内容になると思われるので、この盤の発売を待つというのが現実的な選択肢か。収録曲・発売日・価格などの詳細は未定だが、発表によれば、劇場版『Wake Up, Girls! 7人のアイドル』主題歌「タチアガレ!」のミュージックビデオを収録したBlu-ray Discが付属する。

 最後に『THE IDOLM@STER』について。改めて説明の必要はないかも知れないが、2005年に稼働開始したアーケードゲームがその母体であり、その後発売されたXbox360版ゲームがネット上でブームを巻き起こす。その後PSP、DS、PS3など各ハードで展開、「アイドルマスター シンデレラガールズ」「THE IDOLM@STER MILLION LIVE!」はソーシャルゲームの人気タイトルに成長した。2011年にはTVアニメ版が放映。今年1月に劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』が公開、ヒットしたことも記憶に新しい。
 なお、劇中で765プロに所属する13名のアイドルがメインキャラクターであることは、DS版を除くいずれの媒体でも共通しているが、ソーシャルゲームの2作に独自のキャラクターが多数登場しているため、「シンデレラガールズ」「MILLION LIVE!」はそれぞれファン層が形成されている。このうち「シンデレラガールズ」は来年のTVアニメ化が発表ずみだ。
 10年近い長期シリーズである上に、複数のレコード会社が関わるなど『アイマス』の商品展開はかなり複雑なものとなっており、発売済みCDの点数は膨大だ。これからファンを始めようとしても、何を買えばいいのか途方に暮れるかもしれない。僕からのおすすめは、2008年にリリースされた2枚組ベストアルバム「THE IDOLM@STER BEST ALBUM ~MASTER OF MASTER~」だ。TVアニメ放映前のため、主にアーケード版からXbox360版ゲーム時代の楽曲を集めて新録バージョンでまとめたものだが、このアルバムに収録されている「GO MY WAY!!」「relations」「私はアイドル」「THE IDOLM@STER」といった楽曲は、シリーズを代表するものとして多くの媒体で繰り返し使用されているため、予備知識として押さえておくメリットは大きい。

THE IDOLM@STER BEST ALBUM ~MASTER OF MASTER~

COCX-35247~8/3,500円/コロムビアミュージックエンタテインメント
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 さて、以上4作品とその関連CDを紹介した。いずれの作品も音楽が主力商品のひとつだから、楽曲のクオリティは保証つき。作品の大ファンでなくとも、好きな曲を見つけることは難しくないはずだ。
 楽曲を聴いて興味を覚えたら、やはりいつかはライブの現場に足を運んでみてほしい。架空の存在であったキャラクターたちが、声優・歌手といった依り代を通じて顕現する瞬間の感動には、格別のものがある。作中で繰り広げられた煌びやかなステージが現実のものとなり、観客である自分自身は次元の垣根を飛び越え、お気に入りのキャラクターと時間・空間を共有できるわけだ。この多幸感を知ってしまったら、アイドルアニメが人気を博すのも当然だと思えるようになるだろう。(和田穣)