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アニメ音楽丸かじり(88)遂に『アクエリオンEVOL』のボーカル集が登場!

 8月4日より全国で劇場公開予定の『コードギアス 亡国のアキト』は、TVシリーズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の流れを汲む作品で、主に作中のヨーロッパ戦線を描いたもの。メインキャラクターはほぼ一新されており、ヒロインのレイラ・マルカル役を演じるのが坂本真綾。彼女は主題歌の「モアザンワーズ」を歌っており、シングル盤が7月25日にリリース予定だ。初回限定盤にはPVを収録したDVDが付属する。
 このCDで注目すべきポイントは、作詞:岩里祐穂、作曲:菅野よう子という初期の坂本真綾を支えたコンビが久々に復活したということ。シングル曲としては2003年の「tune the rainbow」以来だから、9年ぶりとなる。そして監督を務める赤根和樹との組み合わせは『天空のエスカフローネ』以来だ。そのせいか、楽曲もどこか初期の真綾サウンドを思わせる作風となっている。
 曲調はスローバラードで、後半からリズムセクションが入ってくる構成。重厚なストリングのリズムに乗せて坂本が歌い上げる編曲は、かつて『ブレンパワード』のCMで使われた「Light of Love」に少し似ている。坂本の歌唱は、楽曲構造が複雑なのでシンプルさを心がけたという。お陰で初期のように朗々とその美声を聴かせるスタイルに近づいており、デビュー当時から応援してきた古参のファンには嬉しいだろう。
 カップリング曲の「デコボコマーチ(隊列は君に続く)」は、軽妙でややコミカルなマーチサウンド。こちらもデビュー盤「約束はいらない」のカップリング曲「ポケットを空にして」を思わせ、どこか懐かしいムードがたっぷりだ。

劇場『コードギアス 亡国のアキト』主題歌「モアザンワーズ」

初回限定盤:VTZL-44/1,680円/フライングドッグ
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劇場『コードギアス 亡国のアキト』主題歌「モアザンワーズ」

通常盤:VTCL-35133/1,155円/フライングドッグ
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 菅野よう子つながりでもう1枚。同じく7月25日に『アクエリオンEVOL』の企画盤「LOVE @ New Dimension」が発売となる。『EVOL』の主題歌・挿入歌と劇伴を数曲、そして前シリーズ『創聖のアクエリオン』のボーカル曲をまとめたベスト盤だ。全18曲を収録した74分という太っ腹なボリュームとなっている。
 今回初出となるのが『EVOL』最終話のクライマックスで使用された挿入歌で、AKINO from bless4による「ZERO ゼロ」だ。アマタの熱い告白シーンをより一層ドラマティックに盛り上げた楽曲なので、CD化を期待していたファンも多いはず。「この1曲だけでも買い!」と思う人もいるだろう。
 アルバム最後に収められている「Genesis of LOVE~愛の起源」は、「創聖のアクエリオン」の新バージョン。ゆったりしたリズムの中に、bless4の美しいコーラスがフィーチャーされた壮大なアレンジだ。
 既発曲としては、主題歌が「君の神話〜アクエリオン第二章」「パラドキシカルZOO」「月光シンフォニア」、前シリーズからの「創聖のアクエリオン」「Go Tight!」「オムナ マグニ」を収録。AKINOのアルバム「Lost in Time」にも収録された「プライド〜嘆きの旅」「荒野のヒース」「ニケ15歳」は、『EVOL』でも挿入歌として重要な役割を果たした。多田葵の歌う「鳥になって」も収録されている。
 逆にサントラ「イヴの詩篇」には含まれていた「イヴの断片」「ユノハノモリ」「アクエリア舞う空」などのボーカル曲は収録されていないので、注意が必要だ。
 また収録曲はボーカル曲だけではない。作中でシュレードのピアノ曲として披露された「残響encore」を始め、「a tot」「unforgettable」「光のカデンツア」といった劇伴は、サントラには収録されなかったもの。
 既発の音源も多いが、これらはリマスタリングによって音質が向上しているのが嬉しいところ。本盤と「イヴの詩篇」を買えば『EVOL』の楽曲はほとんど網羅できるだろう。作品のファン、菅野ファンの双方にとって要チェックの注目盤だ。(和田穣)

『アクエリオンEVOL』「LOVE @ New Dimension」

VTCL-60315/3,045円/フライングドッグ
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