(前回のつづき)つまり、
アニメのコンテは演出家(コンテマン)が「役者」を兼ねている(部分がある)!
んです。これが描いてて面白く、もしかすると最も楽しいトコ、いや「最も」はカメラアングルとカット割りか? ま、どっちにしろ同じくらい楽しいには違いありません。映画の歴史上、アニメは後発だから実写より安く簡単に見られがちですが(我々の世代では、少なからず実写はアニメより上級な映像文化で、アニメは所詮マンガで子どものもの、という考え方が基本にありました)、こと「演出」に関してはアニメだから実写より簡単だなんてとんでもないです! 確かに撮影現場で大勢のスタッフ・キャストを取りまとめて演出する実写の監督は大変重責だし、豊かな才能も必要だと思います。だからと言ってアニメの演出が「所詮はデスクワークだ」とか「描くのはアニメーターでしょ」よ容易く思われては困るんです。逆に
アニメの演出・監督の大半がデスクワークだからこそ、コンテが重要なんです!
なぜなら撮影現場のカメラマンなどに「こんな感じのフレーミングで」と説明をするのが目的である実写のコンテ(というか実写の場合、コンテ自体切らない監督もいます)に対して、アニメのコンテはまず、
読みものとして面白くなきゃならない!
のです。実写は役者さん(俳優)が台本を読み込んで役作りをしてカメラの前に立ちに来てくれますが、アニメは
シナリオ(脚本) → コンテ → 台本(AR台本)
の順なので、実写の現場に置き換えると、カメラの前で最初に演技をしている(役を演じている)のは厳密にはコンテマンになるわけです。
シナリオに書かれているキャラクター・ドラマを最初に味わえて、且つそれを演じられる!
だから、『劇場版カードファイト!! ヴァンガード』(2014年9月13日公開)では、物語のキャラクターたちがカードのユニットにライド(憑依)するのと同様、監督の俺は
先導アイチや櫂トシキにライドしてコンテを切りました!
もちろんこの前の『ベン・トー』(2011年)では佐藤や槍水に、『てーきゅう』では(2012〜13年)もユリ・かなえ・なすの・まりもにライドしてたわけです。