COLUMN

第343回 「アニサマ」様のムービーの話(4)

「アニサマ」OP・EDムービーのコンテはなかなかの難産でした!

『戦勇。』のOPのようにチャチャッとは上がらなかったんです。例えばTVも劇場もOADもお客様(視聴者)は「そのアニメ(フィルム)を観るため」に画面の前にいるんでしょう。ところが「アニサマ」のお客様方は

ライブを観に来る!

んです。しかも「アーティストさんの紹介ムービーがアニメである」事も知らないわけ。いくら齊藤Pさんが「何が始まったの? 的なのも狙いだ」と仰るからってド頭からアクション(自分は冒頭アクションシーンで視聴者をつかまえたい! と思う質なんです)だとあまりにも何が起こったのか分からなくなってしまうため、静寂から始めました。で、「目の前に流れてるものがアニメである」事に慣れた頃、アクション開始でアーティストさんらのテロップがインサートされる、と割とシンプルなトコに落ち着きました。じゃあ「何が難しかったの?」と訊かれるでしょうが、使用目的(アーティスト紹介のテロップを見せる)が明確にあって、かつシンプルな構成で、さらに自分が作りたいカッコ良いフィルム! というのは結構悩むものですよ。何故なら不意を突くアイデアを盛り込み過ぎても「アーティスト紹介」の邪魔になるだけだし、お客さんが期待してるのは奇想天外なストーリー展開でもないんですから。つまり

いつもと違うスイッチに切り替えてコンテ用紙に向かう!

必要があったんです。だから、なんて言いますか、描いても描いても「これで良し!」って実感が湧かず、「果たしてこれで良いんかいな?」と1ページ1ページとても迷いながらコンテを描き進めました。そのため、第1日目「中世騎士チャンバラ編(?)」は2日目3日目より、

10カットちょい多い!

んです。単純にこの作品の「丁度良い」が分からなかったのと、ただでさえガンアクション(2日目・現代編)や宇宙戦争(3日目・未来編)よりも作画的に大変な割に地味になりやすいチャンバラアクション、不安だったから少々多めにカットを積んでしまいました。ラストで本当はもっと分かりやすい必殺技! で決着をつける予定だったのですが、そこも「アーティストさんらのテロップの出し方・タイミングは皆公平に!(つまり特定のアーティストさんだけがトリっぽく見えないように)」との要望もあり力技、勢いで押し切ったのでした。
 が、結果的にそれでよかったと今は言えるんですが、1日目のコンテを上げた時は

と、とても自信がなかったコンテでしたよ。

Nineth Crescent /FLAG NINE THE ANIMATION【1st Day】