COLUMN

011 テレ朝チャンネルの『セーラームーン』(2013年10月16日)

 『美少女戦士セーラームーン』の新作がどんなシリーズになるのかも気になるところだが、今回は新作ではなく、旧シリーズについての話題だ。先日まで、CSのテレ朝チャンネルで『セーラームーン』第1シリーズの再放送があった。僕は毎週録画をしつつ、たまにお気に入りの話数を再見していた。
 45話「セーラー戦士死す! 悲壮なる最終戦」と46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」が第1シリーズのクライマックスだ。ダークキングダムとの最終決戦である。45話でマーズ、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナスが散る。46話ではセーラームーンがクインベリルの対決。ラストで幻の銀水晶の力を解放したために、彼女も命を落とす。銀水晶の奇跡のおかげで5人は転生して復活するが、セーラー戦士としての記憶は失っていた。同様に地場衛も転生していたが、やはりうさぎ達についての記憶はない。これから月野うさぎはまた他の4人と巡り合い、地場衛とも想いあうようになるだろうと予感させて、第1シリーズは幕をおろす。続編の第2シリーズ『美少女戦士セーラームーンR』で、6人は記憶を取り戻すことになる。
 改めて観ても、第1シリーズのクライマックスは面白い。それまでの『セーラームーン』の内容を考えると、シリアス過ぎるかもしれないが、そのギャップもいい。ところで第1シリーズ最終回には『セーラームーンR』1話の予告がついていたはずだ。本編は少し寂しいかたちで終わったが、来週以降も『セーラームーン』は続く。子ども達もそれが、予告で分かったはずだ。僕は「アニメージュ」で『セーラームーン』の記事を担当していたので、翌週から『セーラームーンR』が始まることを前から知っていたのたが、それでも『セーラームーンR』1話の予告を観てホッとしたのを覚えている。
 ここでテレ朝チャンネルの再放送の話に戻る。同局では第1シリーズの後に『セーラームーンR』の再放送の予定していなかった。したがって、46話の後に『セーラームーンR』1話の予告がつかなかったのだ。セーラー戦士達と地場衛は記憶を失ったが、いつかまた月の光に導かれて巡り合うだろう。そこでストンと終わってしまう。同じ最終回なのに、予告がなかったために一段と切ないラストになっていた。何度も観た最終回なのに、まるで違ったものだった。よりロマンチックであり、ドラマチックでだった。決して悪い印象ではない。
 『セーラームーン』は第2シリーズの制作が決まるのが遅かった。僕の記憶が正しければ、第2シリーズが作られるのかどうかが決まる前に、第1シリーズクライマックスのプランが進められていた。つまり、第2シリーズがあってもなくても、成立するものとして、物語を考えていたわけだ。だから、うさぎ達が記憶を失ったところで終わるのも、そうであったかもしれない『セーラームーン』のラストのひとつなのだろう。

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