COLUMN

007 『メガネブ!』の価値(2013年10月8日)

 『メガネブ!』1話の感想を率直に言葉にするならば「なんだ、これは!?」だった。メガネ男子達が主役のお気楽な学園ものであるようだが、とにかく画作りが変わっている。全体にグラフィックで、背景を水玉模様にしたり、登場人物が思っていることをフキダシで表現したり、マンガのコマ割り風にカットを重ねたり。色遣いはカラフルでイラスト的。まだ、ひとつのスタイルとして完成されているとは言えないかもしれないが、作り手の若々しさが映像から感じられ、それが心地よい。
 監督は個人制作に近いかたちで『この男子、宇宙人と戦えます。』『この男子、人魚ひろいました。』を発表した山本蒼美。彼女は1990年生まれ。つまり、平成生まれの監督だ。『人魚ひろいました』は作品のメインビジュアルを何度か見かけて、そのたびに「いつか観よう」と思っていた。いい機会なので『メガネブ!』1話からの流れで『宇宙人と戦えます』と『人魚ひろいました』をバンダイチャンネルで視聴した。両作とも尖った作品であり、なるほど、このテイストをTVシリーズに持ってきたのが『メガネブ!』なのかと納得した。
 『メガネブ!』の監督以外のスタッフに目をやると、助監督がわたなべひろし、シリーズ構成が赤尾でこ、キャラクター原案・キャラクターデザインが中嶋敦子、総作画監督が岡真里子。おそらくは、TVシリーズは初めての山本監督を、経験豊富なスタッフ達がサポートするかたちで制作しているのだろう。その結果として、新しいタイプの作品が世に出たということであるのなら、そのこと自体に価値がある。若い才能を活かすかたちでTVシリーズが作られるなんて、滅多にあることではない。

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