『げんしけん二代目』も、次回が楽しみな番組だった。『げんしけん二代目』は少し理想化されたオタク青年たちの青春群像であり、ひたすら主人公の痛さを描いた『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』とは好対照だった。
『げんしけん二代目』はしっかりと作られたシリーズで、生々しいところを含めて、登場人物を存在感あるものとして描いていた。特に斑目が告白するエピソードは見応えがあった(11話「いい最終回だった」)。自意識が強く、不器用なオタクの恋の結末を見事に描いていた。観ていて、斑目の気持ちが手に取るように分かったし、ジワジワとくるものがあった。振られた後に「じゃ、コーサカがいなかったら」と聞いてしまう未練がましい感じもよかった。
斑目の告白回を観て、アニメはこんなモチーフで、こんなドラマを描くことができるようになったのだなあ、と思った。大袈裟ではなく、本当にそう思った。原作の力が大きいのは分かっているけれど、アニメスタッフが上乗せしたところもあるはずだ。
丁寧な演出や作画で「オタクの青春」を描くこと自体が、メタ的な視点から見て、面白いと思うのだけれど、これは若いファンにはピンとこない感覚かもしれない。その昔、ガイナックスが『おたくのビデオ』(1991年)というOVAを制作した。あの頃は、オタクを主人公にしたアニメが作られること自体が事件だった。今では、アニメの主人公がオタクであるのは、それほど珍しいことではなく、それで何をどう描くのかが問題になっているはずだ。そして、オタクを主人公にすることが、深夜アニメの視聴者にアピールするドラマを作るうえで、有効な手段になっているのだろうとも思う。
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