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第43回 2005年(平成17年)フジテレビ“ノイタミナ”と京アニ、シャフトの台頭

 2005年は、番組枠や制作スタジオ名が、高い作品水準を約束するブランド力を発揮し始めた年である。
 フジテレビの木曜深夜に登場した“ノイタミナ”枠は、その象徴的な存在となった。ノイタミナとはAnimationを逆読みしたもの。当初、少女マンガの原作を主軸に、F1層(20〜34歳の女性)の開拓を目指してこの番組枠はスタート。第1弾として、J.C.STAFFを現場に羽海野チカ原作の『ハチミツとクローバー』を送り出して大きな反響を呼ぶことに成功。監督のカサヰケンイチ、美術監督の柴田千佳子などの才能が広く知られるきっかけを作った。第2弾は矢沢あい原作の『Paradise kiss』を、マッドハウス制作、小林治監督によってアニメ化。以後も、1作ごとに制作会社を変更し、若手・中堅に腕を競わせながら作品を提供するスタイルを定着させていった。番組枠が品質を保証するブランドになった点で、これはTVアニメの新しいスタイルといえるものだった。
 同じように、制作スタジオがブランド化する現象も起こり始めた。京都アニメーションは、ゲーム原作をもとにした『AIR』を皮切りに、高い作画、美術、撮影レベルを維持する制作体制でファンの信頼を獲得。シャフトは新房昭之監督を中心に、大沼心、尾石達也など若手のセンスを採り入れながら前年の『月詠 MOON PHASE』や本年の『ぱに ぽに だっしゅ!』で独特のスタイリッシュな映像演出をアピールした。
 この年は、京田知己監督の『交響詩篇 エウレカセブン』、河森正治監督の『創聖のアクエリオン』という躍動感あふれる2本のロボットアニメがポスト・エヴァ時代の新たな挑戦として注目されたほか、長濱博史監督が不思議な空気感で怪異を映像化した民俗学風アニメ『蟲師』、癒し系アニメの可能性を切り拓いた舛成孝二監督の『かみちゅ!』や佐藤順一監督の『ARIA The ANIMATION』、ファンシーキャラを毒のあるアレンジで描いた森脇真琴監督の『おねがい マイメロディ』などが話題となった。キャラクターの心情に優しく寄り添い、人が本音で生きることを肯定した作品が増えたように思う。その一方、『ドラえもん[新]』は放映25年を機にスタッフ、キャストを一新。前年から本年にかけてマッドハウス、タツノコプロ、トムス・エンタテインメントといった老舗会社の買収も相次ぐなど、不変と思われた体制に時代の移り変わりが垣間見えた1年でもあった。

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