2004年は、『ケロロ軍曹』と『ふたりはプリキュア』が放映開始された年である。
『ケロロ』は、吉崎観音が角川書店「月刊少年エース」に連載中のマンガが原作。同誌発の初めてのロングランヒットアニメとなり、その勢いは劇場版公開や姉妹誌「ケロロランド」「ケロケロエース」の発刊などへと波及した。総監督は佐藤順一。原作の持ち味であるパロディ要素はアニメでも健在で、特に『ガンダム』ネタの数々は、制作をサンライズが手がけたことにより、デザインや音楽、効果音までも引用する遊びが可能となった。
東映アニメのオリジナル企画である『ふたりはプリキュア』は、現在まで続く『プリキュア』シリーズの原点となった作品。『明日のナージャ』の後番組として日曜朝8時30分の枠に登場した。SDの西尾大介は、得意なアクション演出のセンスを巧みに導入し、身体を張って戦う新たな魔法少女もののスタイルを開拓。女児から大人まで幅広い年齢層へと人気は拡大し、90年代の『セーラームーン』を継ぐ商業的成功を収めることとなった。
久保帯人原作、ぴえろ製作、阿部記之監督による長寿ジャンプアニメ『BLEACH』もこの年にスタート。手塚治虫の『火の鳥』『ブラック.ジャック』の2作が初めてTVシリーズ化されたことも話題となった。一方、ライトノベルを原作とするアニメ2本が、根強い支持の基礎を築いたのも本年である。『今日から ㋮王!』は、BL的な要素をコミカルにからめた異世界ファンタジー。『マリア様がみてる』は百合を扱った学園青春もの。どちらも平易な物語設定と清潔感ある描写が、視聴者層の裾野を広げることに結びついた。
依然、飽和状態の深夜枠では、ベテラン監督たちが活躍。服の柄にテクスチャ処理を施し、デジタルならではの映像に挑戦した前田真宏の『巌窟王』をはじめ、今敏の『妄想代理人』、渡辺信一郎の『サムライ チャンプルー』、なかむらたかしの『ファンタジック チルドレン』など、作家性に満ちた意欲作がずらりと並んだ。
『モンキーパンチ 漫画活動大写真』は月1回60分枠という『野球狂の詩』以来の方式を採用。『風人物語』などペイ・パー・ビュー番組はいっきに6作に増加した。“A15+R15”のような15分2段積み番組枠や、1クール単位で分割するシーズン制作品の漸増など、放映形態そのものへの試行錯誤が見られ始めた1年でもあった。
本文・リスト修正(13.05.23)