先日1月28日でまた一つ歳を取りました!
水島精二監督、西見祥示郎監督(先輩)、儀武ゆう子さん(喜屋武のおばあ役)、永野花さん(ミルパンセ・スタッフ)他、同日の方々、誕生日おめでとうございます!
という訳で、板垣伸(52)です。
『沖ツラ』10話の“肝だめし”の件、続き。前回説明したように、ちゃんとレイアウト(原図)に闇部分を指定して、と言うかこの話数も俺のコンテ修正が結構入ってて、“闇”の指示してありました。
ヤモリの鳴き声はダビング現場で、初めて聴きました。あれ、夜の森で聴いたらてーるーじゃなくてもかなり怖いと思います。沖メモシーサーの「ヤモリガ~ドォ~!」は、もちろん「ドラえ●ん」風~を小桜エツコさんにやっていただきました。
「くるんちゅ」と振り返る比嘉さん、マンガっぽくするために敢えて振り向きの動きをなくして、最初っから“止め”に“髪の毛の持ち上げ”の動きのみ(もちろん口パクはありますが)。それをカット頭のQ.T.B(高速トラックバック)で振り向いたかのように見せる——て言うか、そう見せたい作画。そのほうがシャープに見えると思って。実は他の話数でもやってますが、自分はこういう“意図的な動きの省略”を手抜きだとは思いません。アニメだから止めは手抜き! なのではなくて、止めの呼吸・テンポが“狙い”な訳ですから。
闇の中(懐中電灯に)照らされる膝まずいた牛マジムン・豚マジムンのシュールさは好き。原作のその面白さをアニメで再現したかったので、コンテ直しまくりました。
原作マンガと脚本があった上でコンテ打ち合わせまでやってもなお、
監督の演出意図を各話演出に実現してもらうことは本当に難しい!
とつくづく思うのです。そのことを20年の監督生活で実感しつくしていた自分が、『キミ越え~』において出した答えが、
各話演出をなしで、一度やってみよう!
なのです。
まず、コンテが既にあるとしての通常の(他社さんのやられている)各話演出の仕事を纏めると以下になります。
(1)監督との演出打ち合わせ(★作品の方向性の確認)。
(2)コンテを基に作画・美術・色彩・撮影打ち合わせ。
(3)レイアウト・作画のチェック。
(4)カッティング(編集)。
(5)アフレコ・ダビング~音響立ち合い。
(6)ラッシュ(撮影上り)チェック。
(7)リテイク出し~リテイク処理。
(8)V編(納品)。
…ってとこでしょうか。
で、各話演出なしの『キミ越え』ではまず、(1)は両監督内(木村・板垣)でやって、(2)の打ち合わせは木村監督の方でこなします。これを全編録画! そのムービーを “監督助手(社員)”チーム他社内全体で共有し、アニメーターとの作画打ち合わせに使用したり、直接アニメーターが観て勝手に作画INしたりとか。こうすることで作打ちまでがスムーズに流れるし、(通常の)演出家さんの空きスケジュール待ちで作打ちができないなどの無駄時間がなくなります。だって、質問などは後からでも社内に常時いる監督2人に直接聞きに来てもらえれば、直ぐ答えますから。
その後の(3)作画チェックは、
毎日、帰宅前に行われる定例チェック(社内全スタッフにリモートで公開)にて、木村・板垣両監督が“全セクションの本日上り分”を“OK”“NG”に選り分ける!
それらを「この原図クミ線切っといて~」「これ、コンテと芝居が違う」「キャラ修宜しく!」「本人にリテイクで戻して~」などを監督助手チームに指示して渡すまでが木村・板垣両監督の演出チェックになります。つまり、監督2人による各カットの演出チェックを、助手達が実行して回す。その際、アクション・難しい芝居などは板垣、キャラ修行きは木村監督が持って行きます。この回しを全話・全カット(グロスの10話を除く)やった訳。
早い話、これなら他人(各話演出)を介さない分、演出意図から外れづらいでしょう?
あちこちの処理を4~5本掛け持ちし、週2~3日・2~3時間ずつしかスタジオに入らないようなフリーの演出家さんに頼らないで済むやり方をこれからもアップデートしていくつもりです!
次回は今年に入ってからの改革(アップデート)の話を。