COLUMN

第291回 アニメ『てーきゅう』の作り方(5)

 前回のつづき

(『てーきゅう』の本編)尺が短いなら、多少原作のネタを削ってでも「間」を作るべきだったのでは?

とかまわりからちらほら感想を言われました。「速ええよ!」とか「お前のトーク聞いてるみたいだ」とか電話やらメールやらでほどほどに容赦なく。自分自身では普段そんなに早口でしゃべってるつもりはないので、おそらく絶え間なく一方的にしゃべり続ける様を揶揄していわれるんでしょう。実際自覚があるのは、相手に話題を振っておきながら、その答えを聞かずに話し続け、さらに話題がポンポン飛ぶ事。つまりアニメ『てーきゅう』のテンポ感が監督自身のパーソナリティ的なトコからきてるとすれば、それはそれでネタとして面白いんでしょうが、そんな理由ではありません、あのテンポは。
 ま、「ギャグのネタはオリジナルを変えるべきではない」って話はちょっと前(第287回)で話しましたので割愛しますが、今回は

「間」が必要か?

って話で。結論から言うと

この原作と2分(本編90秒)のフォーマットを考えると
「間をとる」事が最優先ではない!

と思ったんです。一応念のため「間」をとるところはちゃんととってるつもりです、3話後半の階段のシーンとか。それよりも本編90秒ならば、

ネタを「理解」してもらうより、「感じて」もらうフィルムにしたい!

と。「面白い」「面白い」「面白い」のリズムの中に「あれ? 今のもしかして面白かったんじゃないか?」とか「はい?」を混ぜて

90秒の曲を作る

感覚でコンテを組んだんです。自分はフィルムを歌に喩えるならば、シナリオは作詞で絵コンテは作曲なんだと思ってます。だから「曲」なんです。あと、ギャグって本来不条理なものなので「間」を十分とってお客(視聴者)さんに「理解」してもらったところで必ずしも笑ってもらえるとは限らないですから。だったらそれぞれのネタで小刻みに笑ってもらうよりは

短い本編ひとかたまりで笑ってもらいたい!

んです。……うーん、でも、やっぱりできたらひとつひとつのネタでも笑ってください。

 で、次回はオープニングのコンテ話を予定してます!

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