COLUMN

第870回 仕事と指導、そして総監督

『沖ツラ』は指導しながら作っている作品です! いつも以上に!

 現在制作中の『沖ツラ(沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる)』は社内スタッフ全員に教えながら作っています。それはもう、いつも以上に、脚本から始まって監督・コンテ・演出・作画・美術と、前作以上の“総監督”業をしています。で、今がオープニング制作中。スケジュールの都合上、レイアウトは全部俺のほうで描いて、それを基にメインの作画スタッフ相手に原画の発注、その上りを指導しつつ修正。もちろん、本当は各自レイアウトから描いた方が勉強になるのは承知してますが、先輩として“レイアウトの見本”を見せるのも必要なことです。いや、自分で描かずにただ文句を言ってるだけではモノは教えられません(断言)! 特に今は……。
 前回も話題したデジタルネイティブな世代の若者は、

自分たち年配のアニメーターが得意気に教える“人間の歩き・走り”に限らず“動物の~”それや、“爆発やその他のエフェクト作画”も全てスマホを擦れば参考が出てくることを知っています!

故に、会社で偉そうなだけの先輩に頭を下げて教えてもらわなくても、要領の良い新人はそれ見て何でも描いてきます。
 ところで、スマホ擦れば~の世代に向けて、世の“アニメ教室”的な講座的なところ、一体何を教えているのでしょうか? そして、スマホ擦れば即出てくる内容をなぜ有料で習おうとするのでしょうか? 茶化しでもなんでもなく真面目に、どなたか板垣に教えていただけないでしょうか?
 話を戻して、だからこそ自分は常に何時も「俺ら先輩が教えられることは何だろうか?」と自問しているのです。そして、現時点での俺の答えは、

テクニカル云々より、なりふり構わず真剣に仕事に取り組む姿勢をこそ後輩に見せるべき!

かと思っています。それは、毎日ちゃんと皆と同じ朝11時までに会社に入ってタイムカードを押し、時間内はサボらず仕事して、定時でタイムカードを押して帰る~これ、テレコム(・アニメーションフィルム)時代から板垣は得意だったこと(何せテレコムの6年10ヶ月間で遅刻1回他無欠勤)。フリーを長くやって自由な時間間隔で過ごしたとて、決して自堕落な生活に染まりません! 自分で決めた時間は守る。あ、「皆、タイムカード押そう」は俺から言い出したことですから。あと、「監督だから偉い」~「偉いから特別扱い」など、偉いも特別扱いも不要!
 まず、これからの世に合った“ワークスタイルの見本”を、他のスタッフと同じ地平に立って実行してこそ仕事を教えれるし、教えられる側も言い訳できないハズ。技術指導はその上での話だと思っています。

 では、育成に戻ります。