COLUMN

第288回 アニメ『てーきゅう』の作り方(2)

 今回はアニメスタイルらしく「作画の話」です。今作『てーきゅう』における動画枚数を抑えたアニメート——いわゆる「リミテッド・アニメ」について。どうでしょう、もしかして「手抜きアニメ」に見えますか? この場でハッキリ言いますが、『てーきゅう』でやってる「リミテッド・アニメ」は決して手抜きではありません。なぜなら動画1枚1枚は非常に丹念にそして丁寧に描いているからです! 例えば制作費何億円の大作アニメーションでも、何も考えず適当に描いた原画を演出が右から左へ適当に流したあげく、作監が目だけ修正入れて一気に大量海外動仕(動画から仕上げ)に撒いたような作品は、動画枚数何十万枚使っててもおれは手抜きだと思います。その点こちらは、原作のコマの流れをアニメのカット割りに置き換えるコンテ・演出と、少ない動画枚数を最大限効果的に見せるための原画と原画のポージングの変化からそれの清書(動画)まで、今現在の自分らができる限りの気を配って作ってるんです(もちろん作品の内容にあわせたおおらかさは保った上で、変に神経質な仕上がりにならない程度に)。つまり、これは今も昔も変わらず一貫して思ってる事ですが、自分にとっての「アニメ」の定義は、

1コマ1コマが作り手の作為によって組み込まれた表現手段

 の事です。実写でも1コマ1コマ俳優の顔やポーズ・動きのタイミングをイジりまくって、画面上を作り手の作為で埋め尽くしてあれば、それはもう事実上「アニメ」。だからCGも「アニメ」。すなわち止め画を目盛り打ってスライドする(引っ張る)のも立派に「アニメ」! 昔、劇場のフルアニメしか作ってこなかったアニメーターの大先輩がろくに中割り(原画と原画の間を割った動画)のない止め画ばっかだったTVアニメをさして、「こんなのアニメじゃない、電気紙芝居だ!」と揶揄したのはよく語られるアニメ作画史話ですが、その電気紙芝居も

画と画が置き換わるタイミングを演出家が支配している以上は「アニメ」

なんです! と俺は思ってます。だってそれこそ

カットいっぱいの尺がすべて「動き」でつながってるものこそが「アニメ」

 と言い張ると、逆に「手描き作画の魅力」って完全にCGに持っていかれますよね、フィルム全体が動きまくる事こそCGの得意分野なんですから。でも本当の「手書き作画の魅力」は

どこを止めてどこを動かすのかを全部「感覚的」に支配できる!

事こそが魅力なわけです。だから、


●『てーきゅう』公式サイト
http://te-kyu.com/

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