V編(ビデオ編集)とは納品の儀式。
TV局に納める最終形態がここで決まります!
V編は、まずその話数のスタッフロールや字幕のテロップを組み、その後TV局のプロデューサーさんらによる考査(?)チェック——パカパカ(激しい明滅)やエロ・グロ潰しなどがやることのスタンダード。その次にあくまでサービスとして(自分はそう認識してます)演出や作画の微調整。例えば黒パラ(画面の一部を暗く落すこと。アナログ時代はパラフィンシートを用いたことの名残)や簡単な口パクの直し(デジタルで切って貼る)など。あとは原版(オフライン編集)に間に合わなかったカットの直差し。アニメ業界は今、当たり前のように「ここまでスケジュールとして計算する」クセがついてます。自分が育った古巣(テレコム)では「V編で加工するなど邪道! 演出の仕事は原画チェックですべて終わらせるべき!」という風潮が、当時の社長を中心にあったため、アニメーターだけやってる時はそれを信じてた俺ですが、2001年版『グラップラー刃牙』で演出を始めてから考えがガラリと変わりました。だって散々待った挙げ句、全く満足いく作画があがってこなかった時、もちろん俺もアニメーターだからギリギリまで直そうとするけど、それでも直しきれなかった場合どーする? 諦めるか? いや、作画でダメだったらその作品を捨てるようじゃ演出じゃないでしょ!
撮影処理だろうがV編加工だろうが、その時考え得るすべての技を総動員し、最後まで決して諦めない姿勢こそが演出家としていちばん大事なんじゃないか!
と気づいたからです。それから10数年、納品は闘いで、本日は朝までV編で格闘して戻ってきた板垣でした(疲労)。原稿も半日遅れ(汗)。