今回は『うさかめ』話ではないですが、自分にとって
作品作りとは「陽」と「陰」(光と影)!
です。まあ偉そうに鬼の首を取ったかのように言わなくても大概の人がそうだと思いますけど。つまり、ドラマもキャラも画面作りも、明るいところがあれば暗い部分も必要で、藤子不二雄もF先生とA先生が必ず対になっていなければなりません(断言)! ちなみに自分が考える「監督」という仕事は、どちらかというと「影」の方で、「光」は役者さんなんです(アニメでは役者さんとアニメーター)。これは実写もアニメも同じだと思うのですが、
役者さんも含む被写体すべてに
「どうカメラを向け、どう光を当てるのか?」を決める職が監督!
なわけで、即ち監督は「影」、「裏方」の長! 作品についてコメントを求められたらもちろんお答えします(だって広報・宣伝には協力しなきゃですから)。でもそれはあくまで「裏方の代表」としてであるべきで、間違っても作品の内容自体より監督様の動向がフィーチャーされるなんてあっちゃいけないと思うんです。ただ原作者も兼ねた監督である場合などの例外はありますが。とりあえず持論です! 異論は認めます。
で最近読んだマンガ
「コロコロ創刊伝説」(のむらしんぼ・著/小学館刊)
「連載終了! 〜少年ジャンプ黄金期の舞台裏」(巻来功士・著/イースト・プレス刊)
は、両作ともマンガと編集者、「光と影」の話で超面白かったです! 自分自身、将来マンガ家を目指していた時期があるので、藤子不二雄A先生の「まんが道」しかり、マンガ家の話は大好物です。でもあんまりオシャレでカッコイイ画で描かれたのは苦手、というか嫌い。「マンガ描いてて女の子にモテモテ珍道中ないい事尽くめのリア充人生をハラハラドキドキして読みたくない!」と思ってる俺みたいな方に両作おススメします。俺ら世代(1974年生まれ)にとって、のむら先生といえば「とどろけ! 一番」で巻来先生は「機械戦士ギルファー」と「メタルK」でしょうか? 実は自分、両先生の作品を全編読んだわけでも単行本を全巻揃えたわけでもありません。それぞれ身近にあった雑誌でたまに読んでたくらい、というと「そんなに思い入れないのに話題にするなんて、かえって失礼じゃない?」とか思われるかも知れませんが、今ほどじゃないにせよ同じように流し読みされるマンガがゴマンとある中、両先生の作品は印象に残る個性を放っていたからこそ自分の記憶に刻まれるわけで、それは本当に凄い事だと思いますよ(のむら先生の「つるピカハゲ丸」だって自分は買ってなかったけど、妹が単行本を買ってたし、学生の頃の友人は巻来先生の「ギルファー」が大好きでよく話題にしてましたから)!
前者「コロコロ創刊伝説」は、著者自身の離婚・借金苦までネタにして、ギャグも挟みつつかなり熱く「子供マンガ」について語られ、弘兼憲史師匠の話や「コロコロファミリー」の件は特に感動しました。俺らが子供の頃読んでいた「月刊コロコロコミック」のマンガ家先生らが共同執筆室で仕事を手伝い合ってたなんてマジ泣ける話です! 「連載終了!」の方も、巻来先生が600万部時代の「週刊少年ジャンプ」にどう立ち向かったのか!? をとても興味深く読ませていただきました。「なるほど、だから『ギルファー』や『メタルK』や『ゴッドサイダー』はああだったのか!」と。われわれの世代からすると当時のジャンプ誌上で巻来作品は一種トラウマで、エロやバイオレンスを読者に対するサービスでやってる感じがしなかったんです。つまり読者に対する媚びではなく描きたい事を描きたいように描いてる感じ。で、まわりの友人らは話題にしてるし「人気あるのかな?」と思ってると、意外に早く連載が終わって「あれは何だったのだろう?」と。この本を読んでそのへんがやっと解明されました! もし自分と同様な方は是非読んでみる事をおススメします!! 特に巻末の「週刊少年ジャンプ5代目編集者・堀江信彦 × 巻来功士対談」は必読です! ちなみに「連載終了!」にのむらしんぼ先生が登場してました。