COLUMN

第894回 『沖ツラ』制作話~納品完了、そして

 お陰様でつい先日、『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる(沖ツラ)』最終回まで納品完了。で、落ち着いて何を書(描)こうと考えたのですが——ま、『沖ツラ』本編話、頭からで……。
 取り敢えず「原作を1話21~22分×12本のTVシリーズにどう纏める?」、これに関して自分から提案したのは、

オリジナルを足して引き伸ばすのはNG! で、原作を“21~22分”集め1話分を作る(×12本)!

と決めて、田辺慎吾君(シリーズ構成・監督)へ渡しました。原作がマンガの場合、ページ数で尺を計りづらいもので、例えば“ラブコメ”は間を作れるけど、“コント”はテンポのために尺を削る。この『沖ツラ』の原作はどちらも面白いので、

“アニメ21~22分に収めるのに適正な本数”の原作を繋ぐ構成を!

と。結果、田辺案で出てきた構成も、1話に収める使用原作本数が2本のもあれば4本のもあります。それを「ここのエピソード順は~」とか「シーサーの指笛講座はCパートに回して~」などといろいろ調整。
 で、ホン読み(脚本打ち合わせ)で田辺君を始め社内の演出陣の上げた脚本に司令塔として修正指示を出し、委員会のOKをもらいます。今回、自分が脚本に入っていないのは、前作『異世界でチート能力(スキル)を手にした俺は、現実世界をも無双する(=いせれべ)』の作画リテイク作業と、スケジュール的に被っていたからです。ハッキリ言うと、

文字(テキスト)の修正(調整)より、作画の修正の方が時間が掛かるし人も選ぶから!

です(カチンときた人がいるかも知れませんが、本音の本音)。
 で、コンテ。これは前作『いせれべ』同様、全面的に修正・調整させてもらいました。半分以上描き直しはザラです。ウチはできるだけコンテは外に撒かない主義で、必然的にキャリアの浅いスタッフにコンテを切ら(描か)せるため、直しは全て俺が面倒を見ることになります。「コンテやりたい人~」と声を掛けて、挙手した人に「その代わり出来が悪かったら全修しますよ」と。
 『いせれべ』はある意味コンテ・デビューに対してのご祝儀代わりで、どれだけ直そうとスタッフ・クレジットでの連名は避けましたが、今回は本来の姿、身贔屓なしで全話連名。
 これは監督によって(もしくは会社によって?)違いはあると思いますが、自分は基本、

上げられたコンテがその担当者のモノとして独立した完成度に達していると判断し、必要最小限の監督修正で終わっていれば、連名にしません!

 だから、『いせれべ』のクレジットの方が異例で、今作の方が本物。これからはどうするか分かりませんが、いちばん早いのはスタッフが皆“一人前”になることでしょう。

 で、そろそろ次の打ち合わせの時間なので——って、あ、そうでした! 次の作品、

『キミと越えて恋になる』のPVが解禁になりましたので、是非観てください!

 以上。