COLUMN

第869回 便利と生産量

最近、社内で予定の生産量が上がらず困っています!

 原画だけでなく動画も。もっと言うと演出チェック・作監チェックまで、もう全てと言っていいくらい。全デジタル化を進める際、周りの方々から色々参考意見を訊いたのですが、その中に「作業効率が上がるばかりとは思わないほうがいいですよ」というのがありました。つまり「効率が上がる人もいれば、逆に下がる人もいる」と。で、ウチは下がってる人の方が多いのかも?
 これを吐露すると“作画業務デジタル化反対勢”に「ざまあみろ~」と言われると思うのですが、画を描く際の作業効率は少々下がったとて、“直デジタル描き”で全素材をデータ化したことによる“制作進行とそれに類する作業の軽減化”はできているので、プラマイゼロなのですよ! ずっと以前から何回も話題にしているとおり、制作工程に“紙”が挟まることで“スキャンしてタップを貼る人手(制作)”が必要になるのですから。
 で、「俺自身の場合は?」と言うと、「作業効率が上がった」ほうに入ると思います。何せ消しゴム掛ける手間がなくなり、素材の拡大・縮小・コピペがし放題。つまり、“紙”作画だったらコピー機に走らなきゃならないことが、PC上で全て片付くのですから、こんな便利な道具はありません。

作画用紙に鉛筆でパラパラ描いていた時に想い描いた「あんなコトできたらイイな~」な“便利”が、現実になった!

のです。ただ現状、アナログ作画を知らない若い世代ほど、逆に生産量に結びついていないようです。それは、“消し~直し”が簡単にできるからでしょう。何せ「デジタルで便利になって嬉しい」我々と違って、デジタルネイティブな新人は、

「消去・修正の往復が簡単にできる」のが前提の脳に仕上がっているため、延々と繰り返し、満足いく線が描けるまで“消し・引き”続けることが当たり前!

だからです(敢えて断言)! しかも“働き方改革”で、社員&時給&労働時間制限あり……。
 確かに学生時代にスマホもなかった我々ですが、そのアナログ時代に仕事を始め、やり直しがきかない “セル”というアナログ素材でアニメを学ぶことができたことは本当に運がよかったと思うべきです。なぜなら、

用紙に鉛筆では描き直しが面倒だからこそ、“画は基本一発描き”するもの!

と、先輩方から指導されて、そう脳にインプットされているから作画は“早描き”が基本。その上でのデジタル利便性加味。そりゃあ効率上がりますよ! まだ、アナログ作画を貫いている方で、もし「デジタル作画に切り替えたい」と思われてるのであれば、相談に乗りますのでお気軽に声を掛けてください。

 では、またデジタルネイティブ世代のスタッフ育成に戻ります。