COLUMN

第862回 『(劇)ジョー2』の魅力(12)

 ただ黙って、続き。12回目……。

1:42:43~BGMをF.Oさせるのを境に、音を“ジョーとホセの息のみ(厳密には足音はあり)”に絞る音響演出が状況の恐ろしさを3倍に引き上げています!
1:43:03~いつもの“止め+ハーモニー”を軽く凌駕する驚異のペンタッチ! こちらは原作のイメージのまんまです。
1:43:19~この発狂ホセ、眼球の白眼が黄色いのはワザとの色指定?
1:43:26~ジョーをタコ殴りにするホセ! この“狂った動き”のお陰で、ホセの太眉(これもファンの間で有名?)など全く気になりません!
1:43:30~二人のシルエットからPAN UP↑してジョーの呻き声と共に血飛沫が舞う! この迫力、初見の時以来トラウマになりました。何もかも狂っていく男の戦い。因みにここ、TV版だとジョーの呻き声有りません、残念。
1:43:40~今度はレフェリーが太眉!
1:43:43~実はあまりなかった“止め+ハーモニーの観客”のみのカット。驚愕感が伝わります。
1:43:50~ホセ、太眉!!! このカットが一番の語り草? 2号影を越えた3号影の指定が“黒”になったと推測されます。前述の全身サイズのほうは逆に、本来の眉上のシワ線(?)との間をノーマルではなく“黒”に塗ってしまったのかと?
1:44:05~青パラで隠れてはいるものの、瓶の口部分に色パカ。そして咳き込むホセの眼も塗り損ねあり。
1:44:14~この顔……。初見ではもう真面に画面を見ていられなかったです。生気ないんだもん(涙)。しかも、ここからラストラウンドいっぱいまでジョーの主観は一切排除していて、本当に恐怖でした。
1:44:26~この辺りも確実に意図的に動き・ポーズ繋いでいませんよね、出﨑監督。ホセ(CV/岡田真澄)のモノローグも相まって異様な雰囲気。
1:44:43~既にリングすら描かない——いや、描く必要すらないドラマのテンション! 出﨑監督は生前、「ドラマに観客を引き込んでいれば、どんな表現も受け入れてくれるはず」的なお話されています。
1:44:56~キラキラのピンホールT光(透過光)素敵! 止め作画の前で光のバラつき抑揚だけの方が効果的!
1:45:08~ラストラウンド! 初見時、もう涙に入射光が反射して画面が見えなかったのを憶えています。
1:45:31~ジョーの叫び声から、ダウン! カッコイイ!
1:45:44~ここも葉子のテンション・マックスで、“瞳Hiブレ”が塗られていないことなど全く気になりませんでした。
1:45:52~一部実線(?)のせいか涙が立体的。そしてこちらも瞳Hiブレの塗り忘れ。気にしない、気にしない。
1:46:04~クロスカウンター! この手足の長いデッサンに惚れ込みました。「こんな画が描きたい!」と。
1:46:08~ウルフ金串の応援、嬉しい!
1:46:13~サチの眼の塗りが、可哀そうなことに……。
1:46:14~ホセ~ダウンから立ち上がり迄をカット割ってO.L(オーバーラップ)繋ぎ。いまだに自分もコンテで真似します。出﨑監督がその最たるものですが、“巧い演出”とは“巧い省略”とも言い換えることができるものです!
1:46:30~……でも、ここの縦PAN↕往復は、今見ると(汗)。
1:46:32~ゴロマキ権藤の応援も嬉しい!
1:46:35~ここまでテンション上がると、どんなに飛んだ表現も受け入れられます。リング照明のT光スーパー越し! この手の映像表現の発展型が『エースをねらえ!2』(’88)だと思います!
1:46:49~ここのFIX長回しアクションは秀逸! TV版ではもう少しだけ長く見れます。
1:47:15~「——燃え尽きた……」はTV版ではモノローグ。本来は劇場版でこの前カット「燃えたよ……」の方に口パクをつけるべきだったのにミス。TV版で追っかける際に口パク足すのに面倒になったのか、こちらの方をパク止めて完全にモノローグにした、ってことでしょうか? 個人的には時間が止まったような止め画の中、ジョーの口パクだけが動く——が良かったと今でも観返す度に思います。
1:47:24~興奮冷め止まぬ熱気表現で“波ガラス”かかっています。こういうところ、細かい!

 すみません、ラストにもう一週語らせてください(チェックのお仕事が……)!
 あと敬称略、すみません……。