COLUMN

第861回 『(劇)ジョー2』の魅力(11)

 四の五の言わず、続き11回目……。

1:36:02~「見えねえのはおっつぁんと同じ片っぽだけだ、何とかなる!」この言い方も衝撃でした。
1:36:13~カバレロ「えぇ? そんなことは、できないよ、ホセ」これも、この対応が正解。原作だと本当にレフェリーを呼んで試合を放棄させようと試みるも、レフェリー本人から「馬鹿なことを言わないで」と窘められるんですよね、カバレロ(笑)。あと、“赤コーナーポスト”なのに補色的効果を狙って、半分“青”が入ってるところが小林七郎美術監督っぽい。
1:36:20~ここのBGMが入るところからもう“絶望”感半端なくって、初見の時は泣いてました。
1:36:30~迫るジョーにホセのドアップが重なってる異様な画面。それまでこんな画見たことなくて、衝撃でした! TV版ではこの後“止め+ハーモニー”になるんですよね。
1:36:49~ホセの連打を受け、マウスピースを噴き出し崩れ落ちるジョー。葉子じゃなくても見ていられませんでした。
1:36:56~久し振りに葉子のカット。表情が切ない……。
1:36:58~林屋夫妻と紀子。この会場内でジョーのパンチドランカーについて知っているのは葉子だけってのも切ない。
1:37:00~この映画にゴロマキ権藤は必要だったのでしょうか? でも、横顔かっけ~! で、隣のうるせぇチンピラの手が、カット尻のみ権藤の肌色に! 塗りミス!
1:37:50~このジョーの表情なんか最高ですね! 多く語る必要なし! これが分からない人とは一生友達になれる気がしません!
1:38:08~パンチを繰り出したジョー(止め)に遅れてホセ(止め)がF.I(フェード・イン)で現れる! こういうアニメならではの省略(飛ばし?)演出が本当に巧い、出﨑監督!
1:38:16~ジョーの呻き声が響く中、思わず席を立っている葉子……!
1:38:19~そして、眼前の惨劇をいくら描くより、この葉子の表情一発ですべて伝わる、やっぱり杉野(昭夫)作画は凄い!!
1:38:28~堪らず武道館を出たところ、さらに待ち構えていたようにのラジオ生中継。これが演出!
1:38:45~ここからの車内のシーン全般、尺が短い分劇場の方が損してますよね。TV版だと葉子が再び武道館に戻るまでの葛藤に、控室での「ありがとう……」のジョーが回想~こだまします。あれが良かったのに、劇場版ではカット。
1:39:16~髪をかき上げる葉子、良く描けてます! 出﨑監督も『(劇)ジョー2』特集号での杉野作監・島田(十九八)Pとの対談で褒めてました。
1:39:51~で、武道館に戻り扉を開けると再び歓声が聴こえ~惨状が葉子の目に飛び込んでくる!
1:39:53~その葉子の顔がこれ。
1:40:22~先に答えを言うと、これは劇場版の方が正解。劇場版は最初から外人は全て日本語で通してるから気になりませんが、TV版だと普段の会話は英語+字幕で通して、ここから“日本語によるモノローグ”になるのです! これだけは、もう少し計算して欲しかった、TV版。
1:40:34~「ジョー・ヤブキは死んだりするが怖くないのか? 彼には悲しむ人間が一人もいないのか? 私は違う。私は死ぬのが恐ろしい……!」このホセの吐露に対して、「だから、ジョーはカッコイイんだ!」と興奮した俺でした。
1:41:00~ジョーが投げたタオルが葉子の足元に落ちる——本当に神がかった原作、そして演出!
1:41:11~一旦拾い上げたタオルを、再び落とす葉子。これで全て表現できているのは分かりますが、初見の時は“まだやらせるなんて、狂ってる!”でした。
1:41:29~どう考えても不幸な未来に向かって驀進中の男を、力一杯応援する女の狂気! 表情にそれが出ています。
1:41:33~これだけ熱いと、上下ビンボービスタのトリミングで段平の顔が切れてても、全然気になりません!
1:42:03~この葉子の叫びに、当時ガキだった自分、ボロボロ泣いて観てました。
1:42:26~またパラレル・ガイコツ。前述と服装が違います。さらに声も違う? 多分劇場先行作画がスケジュールギリギリで、出﨑監督のコンテを直撮影(コンテ撮)によるアフレコでキャラの分別ができない状態で収録され、後から画がハマったらガイコツが口パクしてた、ってことかと推測できます。本来は隣のゲリラが喋る予定だった? また些末なことです。

 と、まだ続くことと敬称略、すみません。来週こそは終わりそうです……。