COLUMN

アニメ様の『タイトル未定』
420 アニメ様日記 2023年6月11日(日)

2023年6月11日(日)
新文芸坐で映画を観る予定だったが、原稿を進めたほうがいいと判断してデスクワーク。間違いなく、今までの人生で一番時間がかかっている原稿だ。

6月10日の「アニメーター・キャラクターデザイン 木村貴宏 追悼上映会」に関連して思い出話。かなり以前のことになるけれど、木村さんに「この人に話を聞きたい」で取材を申し込んだことがある。木村さんは「この人」の連載についてご存知で「自分に次の代表作と言える作品ができた時に取材を受けたい」という、とても前向きな理由で、取材をお断りになった。その後、木村さんが新しい作品に参加する度に「この作品は木村さんの代表作といえるだろうか」と考えながら、僕は作品を観ていた。結局、取材を申し込むきっかけがつかめず、「この人に話を聞きたい」で取材することはなかった。本人がどうおしゃっても、取材を申し込んでおけばよかったと思っている。

アニメージュ最新号の「設定資料FILE」を、紙の誌面で老眼鏡とルーペを使って確認。最近の「設定資料FILE」の構成では「現在の印刷技術でどこまで線画設定を小さく載せられるか」に挑むことが多いのだが、今回の号の構成が限界ギリギリだろう。「設定資料FILE」は26年続いているわけだが、26年前に比べると線画設定の作りが緻密になり、書き文字も極小サイズのものを見かけるようになった。それと同時に、印刷の精度も上がり、緻密な線画設定を縮小しても再現できるようになった。だから、構成についての考え方も変えていかなくてはいけない。
同じアニメージュを複数の電子配信で確認した。プラットホームによって、極小サイズの書き文字が読めるところと読めないところがあった。
ちなみに僕がいまだに設定資料ページの構成を縮小コピーの切り貼りでやっているのは、常にそのサイズの誌面で画や文字が潰れていないかを確認しながら作業を進めるためでもある。

2023年6月12日(月)
午後は病院Bで内視鏡検査。1月に大腸のポリープを切った跡を確認して、組織の一部を採取。今回も自分の腸内をリアルタイムで見たけれど、自分の体内での切除を見るのは落ち着かないなあ。診察の結果が分かるのはしばらく先。会計で診察費に驚く。組織の切除をしたので、手術をしたことになるのだそうだ。

2023年6月13日(火)
「時間に余裕があるうちに、色んな店でランチを食べておこうシリーズ」の第一弾で「定食 美松」に。タカベ塩焼き定食をいただく。美松は池袋の定食屋としては有名な店で、今まで何度か前を通ったけれど、いつも店頭にお客さんが並んでいたので敬遠していた。料理はどれもしっかりしていて、満足度高し。料理が出てくるのも早いし、接客も好印象。顔馴染みらしいお婆ちゃんが、今日のメニューにないものを注文しても、瞬時に対応していた。
グランドシネマサンシャインで『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』岩浪美和音響監督監修 BESTIA enhancedを鑑賞。爆発音が凄かった。ラストがよかった。
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を配信で全話観た。ラス前の妹を家の外に連れ出す前後が、なんとなく『CLANNAD』的だと思った。

2023年6月14日(水)
朝の散歩で「聖闘士星矢 ETERNAL EDITION File 01 & 02 [Disc 1]」「同・ 05 & 06 [Disc 1]」を聴いた。「05 & 06 [Disc 1]」で「序章; 北欧の神話」と「アスガルドの兄妹」の間に「ペガサス幻想 (T.V. Size S.E. Mix)」が入っているのが、とてもよかった。ところで『聖闘士星矢 神々の熱き戦い』のタイトルは邦画の「神々の深き欲望」をなぞっているのだろう。既存作品のなぞりだが、単なるなぞりになっていないのがよい。
「アニメスタイル017」の見本が届く。いやあ、長かった。ようやくできた。表紙は再々校をとってよかった。
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』を配信で観た。

2023年6月15日(木)
新文芸坐で「さらば愛しき大地」(1982/135分)を鑑賞。「Impact! 日本映画の80年代 J Movie 80s」の1本。新文芸坐のサイトには上映素材についての表記がなかったが、DCPかBlu-ray上映と思われる。恐らくは、伝えるべきことをきっちりと伝えきった作品であり、その意味で力作。ただし、自分的には没入感が薄く、「このカットはこんなに秒数いるかなあ」とか「このカットはもっとじっくり観せてほしい」などと思いながら観た。ただ、若い頃に観たらガツンときたと思う。役者はかなりいい。特に愛人役の秋吉久美子さんがよかった。悲劇的な役なんだけれど、演りがいがあっただろうし、演じていて楽しかったに違いない。そんな目線で観ていたので、愛人が命を落とすクライマックスも、ドラマとしてどうかではなく、芝居としてどうかで観てしまった。
「時間に余裕があるうちに、色んな店でランチを食べておこうシリーズ」の第二弾で「魚の旨い店 池袋店」に。こちらも行例ができていることが多くて、入ったことがなかった。いただいたのは「廻舩ゴロゴロねぎとろ丼」の特盛り。

2023年6月16日(金)
TOHOシネマズ池袋で『劇場版美少女戦士セーラームーンCosmos ≪前編≫』を鑑賞。総集編的な内容になっているのは間違いないけれど、楽しめた。画もいいところがあった。意外なくらいラストから予告のあたりが盛り上がった。Zoom打ち合わせなどを挟んで、吉祥寺の「なみきたかしの どうらく宝島展」に。書籍を2冊ほど買う。

2023年6月17日(土)
「アニメーションプロデューサー・丸山正雄のお蔵出し 竹宮惠子原作『夏への扉』 上映+トークセッション」に参加。『夏への扉』 はビデオやDVDで繰り返し観ているけれど。スクリーンでの上映で鑑賞するのはロードショー以来。トークは役者の方々の思い出が中心で、大変に楽しかった。それにしても、皆さん、今もお若い。トークで話題になった三ツ矢雄二さんの配役については、僕も「この時期にこの配役は凄い」と思っていた。トークでは誰の判断でその配役が決まったのかは判明しなかった。お客さんも役者の方々が目当ての人が多いはずだから仕方がないけれど、丸山さん自身のトークは少なめ。次回は丸山さんのお話をたっぷり聞けるといいなあ。