COLUMN

第820回 寺沢先生、ご冥福を~『いせれべ』の話(11)

 『コブラ』の原作(ジャンプコミックス版)を全巻持っています。自分の場合、週刊少年ジャンプ連載時にリアルタイム読みするには、年齢的にちょっと子供だったので、出﨑統監督のアニメ——しかも再放送ぐらいから(中学生?)ハマった感じで、そこから全18巻揃え、何回も読み返していました。その後『MIDNIGHT EYEゴクウ』も大好きで、こちらも全巻持ってます! どれもカッコよくて、男なら皆寺沢作品が好きだったと思います。

『コブラ』の原作者・寺沢武一先生のご冥福を心からお祈り申し上げます

 そして、『いせれべ』話の続き。

7話の脚本は2話と同じ竹田裕一郎さん!

 脚本(シナリオ)の竹田裕一郎さん——自分とは『砂ぼうず』(2004)、『BLACK CAT』(2005)の連投で御一緒しました。当時、連絡先を交換しないままお別れしてその後ご縁がなかったのですが、今回、前述の筆安一幸君(6話・脚本担当)より、ホン読み(脚本打ち)前に「板垣さん、竹田さん知ってますよね、声掛けましょうか?」と切り出され今回の運びに。つまり、もともと筆安君が竹田さんと繋がっていたお陰で、またお仕事できました、感謝です! 筆安君も竹田さんも、様々なタイトルをこなしてきたベテランの貫禄で、仕事が早く助かりました。
 この7話はルナ初登場で、木村(博美)総作監が結構粘っていた気がします。自分の方は、他話数同様アクション原画~レイアウト全般のフォロー。あと、この辺りから“撮影張り付き”が仕事のメインに入ってきました(汗)。撮影張り付きとは本来、原画と一緒に提出される撮影指定やタイムシートでそのカットで欲しい画面処理、光や影・カメラワークなどを指示するのが基本なのですが、今作みたいに画ができ上がってからのリテイクが少々多い場合、時間的に間に合わせるためのショートカットとして、

撮影監督・撮影スタッフのモニターに向かい、そこに張り付いて直接指差し指示をする!

という、撮影スタッフによっては嫌がる人は嫌がる強行演出スタイルです。
 が、今回は撮影が物理的にウチの上の階にある白石社長のもう一つの会社──lxlxl(エルエルエル)だったからできた技(?)でした。つまり、階段上れば指示出しに行ける理想的な環境だった訳で、最終回まで納品前日は張り付きまくりました! ありがとう、田中翔太君、大見有正さん!
 撮影張り付きの話が出たついでにぶっちゃけると、この話数も納品前の直しがかなり大変でした。前半はBG(背景)修正、2話や5話と同じく森が“大魔境になっていない!”と、また俺も参加して直し、後半は現実世界での校外学習。こちらはバス内のシーンから、モノによってはレイアウトから全修正も。現実世界の森や川周りは、またまた中島楽人君や長谷川千夏さんにBG修正を助けてもらい(ありがとう!)、さらに他話数と同じく俺の要望に合わせて、木村総作監がレイアウト・原画から容赦なく描き直してくれたので、何とか事なきを得られました。スタッフの皆本当にありがとう!

 じゃ、また次週へ。