★本文抜粋・4(2006年の一部)

小黒 『のび太の恐竜』を『のび恐』って言うんだ。
沓名 そうです(笑)。『のび恐』はキャラクターと声優をリファインした1発目の劇場映画で、作画監督が小西賢一さん、監督は渡辺歩さんでした。中盤で森久司さんが恐竜のバトルシーンを描いてるんですけど、そのヤバさに痺れた人が沢山いましたね。僕らの世代も『SAMURAI 7 』の頃から注目し始めていましたから、森さんのシーンを観てテンションが上がりましたね。他には牧原亮太郎さんが原画をやっています。
会場の関係者 佐々木政勝さんもあります。
小黒 宮沢康紀さんの謎の作画とかね。
沓名 そうだ、宮沢さんもいました。佐々木政勝の爆発が明確に観られるのが、この『のび恐』なんですよね。ミサイルが谷の間を飛んでいくところで爆発がクルッと綺麗に回るんですけど、「吉成さんの爆発が複雑すぎて理解できないよ」という人は、この佐々木さんの爆発を観ると、理解する足がかりになると思います。構造が少しシンプル化されて描かれています。僕もこれを観て大変勉強させてもらいました。
小黒 一応説明しておくと、それまでの『ドラえもん』や藤子アニメは、線をシンプルにして描きやすくしていたんだよ。
沓名 そうですね。
小黒 ここから物凄くハンドメイド感が強い、「手で描いてますよ!」ということを異様に強調するラインになった。小西さんがやった『のび太と恐竜』だけかなと思ったら、その後もそういう 感じが残り続けていくのね。