編集長・小黒祐一郎の日記です。
2021年10月24日(日)
新文芸坐のモーニングショーで「83歳のやさしいスパイ(2020・チリほか/89分/DCP/ドキュメンタリー)」を観る。実写のドキュメンタリー映画だ。新文芸坐で何度も予告を目にして、鑑賞する気になった。ごく普通の老人が探偵事務所の依頼を受け、ある調査をするために老人ホームに入居者として潜入する。老人は自分の正体を隠しつつ、そこで生活しながら調査を続ける。何か事件が起きるわけではなく、カメラは老人ホームの人々を追っていく。内容は面白い。面白いんだけど、一体どうやって撮ったのか。入居者には主人公がスパイであるということを秘密にして撮影をしたということだけど、入居者は撮影スタッフを何だと思っていたのだろうか。
午後はワイフの希望で、旧古河邸に行って薔薇を観た。珍しく、ほとんど仕事をしない一日になった。
2021年10月25日(月)
取材のための質問状を2本作る。動画を確認しつつ質問を組み立てたので、かなり時間がかかった。これはこれで楽しい作業だった。ドーミーイン池袋にチェックインする。ワイフは仕事が一段落したのだけど、心身ともにぐったりしているので連泊することにした。今回も自分はホテルで寝て、ホテルから出社する生活となる。
2021年10月26日(火)
「中村豊 アニメーション原画集 vol.2」の準備もあり、『僕のヒーローアカデミア』を1話から順に観ている。この日は23話「轟焦凍:オリジン」も観た。この話は何度も観ているのだけど、やっぱり1話から順に観ていったほうが、その価値が分かる。話は変わるけれど、先日、『ヒロアカ』には参加していない50代のあるアニメ監督と話をしていて、23話の話題となった。彼は「23話って轟君の話ですよね」という言い方をした。その「轟君」という言い方が印象的で、この人は現役のアニメファンだなと思った。
2021年10月27日(水)
「中村豊 アニメーション原画集 vol.2」のBookletのために中村豊さんに取材。「ちゃんと作画を語ったインタビュー」になった気がする。作画についての何かを言語化できたかもしれない。
2021年10月28日(木)
16時からBONESで、「アニメスタイル016」の取材2本立て。
『ヒロアカ』を観まくる。ここ数日、散歩時にも『ヒロアカ』のサントラを聴いている。『ヒロアカ』はサブスク時代のタイトルだな、と思う。アニメ本編はTVシリーズと劇場版だけでなく、OVA(OAD)サブスクで配信されている。音楽に関しては、第5期のサントラのCDがまだ発売されていないのに配信が始まっていた。
2021年10月29日(金)
ユーロスペースで「由宇子の天秤」を観る。片渕さんがプロデューサーを務めた実写映画だ。公開前から観に行くつもりだったけれど、事務所近くの映画館でやっていないのと、上映時間が打ち合わせとぶつかることが多くて、なかなか観ることができなかった。昼間の上映が無くなりそうだったので、定例社内Zoom打ち合わせを休みにして観にいった。映画としては力作だった。モチーフも面白いし、演出もしっかりしている。細部もよい。ただし、物語に関して気になるところが少しあった。それは僕が作品を受け止めきれなかったということかもしれない。渋谷では『名探偵コナン』のキャラクターを使ったフラッグを掲示し、ハロウィンを自宅で過ごすことを呼びかけていた。フラッグは6種類あり、高木刑事と佐藤刑事がピックアップされているのが嬉しかった(後日追記。この時点では2022年公開の劇場版『名探偵コナン』で高木刑事と佐藤刑事にスポットが当たるらしいことは、まだ発表されていなかった)。
『ヒロアカ』の再視聴は続いている。『ヒロアカ』はシリーズが複数あっても、話数カウントが通算で統一されているから分かりやすくていいなと思っていたら、そんなことはなかった。dアニメストアとNetflixで話数カウントが違っている。例えば「轟焦凍:オリジン」はdアニメストアでは23話で、Netflixでは24話。Netflixは各シリーズのOVA(OAD)を、シリーズの1話としてカウントしているのでズレが生じているのだ。dアニメストアはOVA(OAD)を単独作品として扱っている。
『あたしゃ川尻こだまだよ デンジャラスライフハッカーのただれた生活』で、主人公の川尻こだまを悠木碧さんが演じることを知る。これは意外。いや、あのマンガがアニメになるのがそもそも意外だったのだけど、それはともかく、川尻こだまは芸能人キャスティングになると思っていた。それから、なんとなく面白キャラっぽい声になる気がしていた。いったいどんな芝居になるのか。楽しみだ。
2021年10月30日(土)
昼間は散歩、オールナイトの予習、花屋に行って押井さんの誕生祝いのための花を注文したり。夜はオールナイト「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol.132 押井守映画祭2021」を開催。トークのゲストは押井守監督と西尾鉄也さん。押井さんにたっぷりと語ってもらい、トークは20分オーバーとなった。お客さんは若い方が多く、『うる星やつら2 ★ビューティフル・ドリーマー★』を初めて観る方も大勢いた。今回の上映作品は『★ビューティフル・ドリーマー★』『機動警察パトレイバー2 the Movie』『イノセンス』。つまり、いずれも人気作のパート2だ。「押井作品はパート2が傑作」が今回のプログラムのテーマであり、トークで押井さんがそのことについて触れてくれた。トークが終わった後、『★ビューティフル・ドリーマー★』の上映を少し観た。35ミリでの上映で、フィルムの状態がとてもよかった。