COLUMN

第631回 『コップクラフト』本編6話以降

 では『コップクラフト』本編話のつづき。6話はエロ本の話。ここから数話、いろいろなバリエーションの物語が続きます。原作を読んだ際「あ、この作品なんでもありだ」と楽しくなったのが、これらのネタもの的存在。そもそも初っぱなから妖精だの宇宙人だのが共存してる時点で、ただのハードボイルドなハズもなく、よってオーイシマサヨシさんのオープニング曲はありだと思ったし、画もああ作ったわけ。Aパートラストで静かに1ページめくるティラナは、アフレコ時にスタッフ、キャスト皆さんに笑ってもらえてホッとしたカットです。シナリオ(脚本)にはなかったけど、コンテ切ってて自然と出ました。あと、余計な話ですが、Aパートで初めてエロ本を見て男女が”すること”を知ったティラナが、Bパートでセシルから「私とケイは恋人だった」と打ち明けられた時、いったい何を想像したのでしょう? とかコンテやってる時に考えてました。
 7話はTV的諸事情でアニメ化できなかった原作第3巻の代わりに(?)賀東招二さんに書いていただいたオリジナル脚本です。潜入捜査ネタはその名残り。「何なら放映できるのか?」ばかり話し合ったホン読み(脚本打ち)でした。単行本1巻分にも伸ばせそうなドラマを、1話分にコンパクトにまとめたのはさすがの賀東脚本。コンテを切ってる時は、ティラナとゾーイの掛け合いが楽しかったかも。作画・演出はミルパンセ社内で、撮影もキレイで個人的に好きな話数です! 吉岡茉祐さん演じるティラナの泣きセリフ「友達だったのに……!」はウルッときました。あ、あと狙撃されるゾーイの血しぶきはパッケージ版で自分が修正させてもらいました。
 8話はティラナとクロイ(猫)の中身入れ替わり話。猫の声も吉岡さん。ホントいろいろできますね! もともとオーディションでも「猫できる?」は課題でもあったのですが、この2役は上手くいったと思います。で、ゲストキャラのヘルマンデス役は三木眞一郎さん。自分的には初監督作『BLACK CAT』のクリード役以来? 「お久しぶりです〜」と挨拶したところ、憶えていてくださったのが超嬉しかったです! 8話はなんと言ってもちょっとエロいおふざけ話なので、普段の話数からどこまでかけ離れることができるか? を念頭にコンテを切ってました。このバラエティー感が『コップクラフト』だ! と信じて。

 てとこで、来年1月には次の監督作品の発表になるっぽく、第1話のコンテやりつつ、ティザービジュアルのラフ案にとりかかる板垣でした。

あ、『コップクラフト』のパッケージイラストはレイアウト・板垣、原画・木村博美で、もう作業は3巻まですべて終わってます!