COLUMN

第593回 現状40代の自分

 2018年、最後の原稿。どうやら今年も「アニメ作りは面白い!」と思ったまま幸せに年を越せそうな板垣です。ご理解いただけない方もいらっしゃるかもしれませんが、

世の中には友達と遊んだり仲間と飲んだりすることより、何か「モノを作る」ことのほうが楽しいし幸せを感じる人間が、ある一定数いるのです! なぜなら俺がその内の1人だから!

 だいぶ(何年も)前にここで言ったと思いますが、俺、子どもの頃から「今日ウチで遊ぼ〜」と友達を自宅に呼んでおきながら、ふと良いアイデアが浮かぶと「ごめん、マンガ描きたくなったから」と追い返して、ひとりで描き始めたりするくらい、常に何かを作りたがっていました。時にはそれが「マイコン(現在で言うところのPC)でゲーム作り」だったり。

 今はそこまで極端なのはありませんが、誰かと楽しくダベってる時に「あ〜早く席に戻ってコンテ切りたい!」と思ってしまうのはよくあります! もちろん遊んだり飲んだりするのも好きだし、友達や仲間にも感謝しております。あくまで一番は「モノ作り」だってこと。ある時こっち(東京)の友人にそのことをカミングアウトした際、その友人から「ああ、そんなの見てりゃ分る」と返されました。要するに「一緒にいること事態は楽しそうでも遊びそのものには興味はなさそう」と。いや、よく分ってくれてます、そのとおり! まあその友人らともここ何年も会えていません、忙しくて。それも良し。もう20年の間に恐らく40年分はしゃべったので、10年や20年会わないくらいでちょうどいい。50歳過ぎたらまた飲もう! それより「今、この瞬間自分が作れるモノ」を大事にしたいから。
 20代は友人・仕事仲間らと散々飲んだし遊んだし、当時の新作アニメ・映画について語りに語り尽くしました。仕事的にもそれほど責任は重くなかったし、人様の作品にもあーだこーだ言って、朝までコースとかは当たり前でした。それだけで当時やっと人並みな原画が描ける程度の自分らでも「業界人の仲間入り」「アニメクリエイター候補生」だと勘違いして夢見心地でウマい酒が飲めたんです。でも20代も終わり、監督をやらせてもらうようになってから迎えた30代は、飲んで遊ぶが生活のメインになってはダメ(だと思う)。

監督は自分と一緒に作品を作ったスタッフを
良いトコへ連れて行く義務がある!

と考えていましたから。で、30代にヒット作を頂けなかった——それどころか降板も経験した板垣は、40代を迎える際「自分にはもう友人・仕事仲間を作品作りに誘う資格はない」と分ったのです。『てーきゅう』以降の作品になると、同期・友人・仲間に声をかける率が極端に減るのはこういう理由です。つまり『てーきゅう』は誰も誘わず一からの出直し。40代は自分の経歴などまるで知らない新人から仕事仲間を育てる。で、現在はその真っ最中!
 正直、50代はどうなるか分りませんが少なくとも

「80〜90年代のアニメより今のアニメのほうが面白い!」
とハッキリ思えるような自分でいたい!

と。「ワシらが若かった頃のアニメはのお」と後輩に説教しかしない”昔は良かった人間”なロートルだけにはなりたくない! いつの時代にもその時を生きる若い人たちに「希望」を語れる大人でいたいのです。とか思ってコレ書いてると

との話が飛び込んできました! こーなったら、もっと速くコンテ切れるように! もっと速くレイアウトが描けるようにさらに鍛えるしかない!

よし! 40代半ばになっても、まだまだ向上心健在!!
待ってろ2019年45歳! という訳で良いお年を!!