COLUMN

第556回 コンテと傲慢

最近は朝6時起きで、会社に入ってコンテを切る毎日です!

 とにかく自分にとって監督とは「コンテを切る人」のことです。もちろんTVシリーズの場合はスケジュールの都合もあるので、出崎統監督のように全話切るわけにはなかなかいかないわけだけど、それでも半分以上は自分でコンテを担当するようにしております、板垣の場合は。監督のやり方は人それぞれなので、あくまで板垣は、です! もともと出崎監督みたいに全話コンテは、拘っただけでできるほど生易しいしろものではありません。むしろ俺は以前ここで語ったとおり、「コンテ・演出」で参加してくださる方にはできるだけコンテもやっていただきます。それで総監督に徹する話数もあった方がシリーズとしては豊かなものになるからです。同じことが原画にも言えて、ぶっちゃけほぼ全修だったとしても、1割でも使える部分は使ったほうが複雑で面白い動きになることはよくあるものです。
 ただ他人に振ったコンテでもよくないものは徹底的に直さないといけません! 監督は1〜2割ちょこちょこって直してあとは諦めるものと思っている方もいらっしゃるようですが、俺はそう思えないのです。

もし、フィルムの7〜8割を決めてしまうコンテが面白くないと判断できた時、監督は全修や描き直しをしなければなりません! コンテとはそーゆー傲慢なものだと思います!

 このように、他人の描いたものを多かれ少なかれ潰してしまうことが許される傲慢な仕事だからこそ、面白いものが作れなかった時は、お客さん(視聴者)からどれだけ批判されても「すべて自分の責任です」と言えなきゃ監督なんてやっちゃダメだ! と板垣は思ってます。
 あ、ちなみにミルパンセにも新人が——作画が5人、制作が3人入りました。で、今監督してるシリーズのティザーが来月発表になるようです。そーこーしてるうちに来年放映予定のミルパンセの新作のほうもホン読み(脚本打ち合わせ)が始まりました。