COLUMN

103 『この世界の片隅に』絵コンテについて

 『この世界の片隅に』を多くの方が劇場でご覧になっているようです。公開後も評判は上々。本当によかったです。このまま大ヒット作となる事を祈っています。

 今回はアニメスタイルが編集をお手伝いした「この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集」について、少し書いておきます。
 お気づきの方もいると思いますが、この絵コンテ本のサイズはちょっと変わっています。A5サイズの本と比べてもらうと分かりやすいですが、通常のA5よりも縦が少し短くて、横が少しだけ長い。絵コンテを読みやすいかたちでページに収めるために、色々と調整してたどりついたサイズです。これはデザインをお願いした井上則人さんのアイデアです。

 カバーの下の書籍本体の表紙デザインも、なかなかかっこいいですよ。絵コンテ本らしい、そして、『この世界の片隅に』らしい、真面目なテイスト。しかも、重厚さもあります。これについては、僕からオーダーは出してはおらず、井上さんのアイデアです。絵コンテ本をお買い求めいただきカバーを外していない方は、一度カバーを外して見てください。

 僕自身の感想としては、各ページの印刷が綺麗に出てよかった。印刷が綺麗に出るなんて当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、そもそも絵コンテというものは(アニメの原画もそうですが)印刷して本にするために描かれているわけではないのです。綺麗なかたちで本にするために、工夫や試行錯誤が必要な場合もあるわけです。

 以下は、まだこの絵コンテ本を購入していない方にお伝えする情報です。絵コンテ本の巻末には「片渕須直監督による絵コンテ解説」と「片渕須直監督インタビュー」を収録。メイキングに興味がある方にとって、読み応えのあるものになっているはずです。この部分の取材とテキストは僕が担当しています。

 『この世界の片隅に』の絵コンテは演出意図がしっかりと記されているだけでなく、描かれている画も大変に魅力的です。この画を誰が描いたのか、どのように絵コンテが作成されたのかについては「片渕須直監督インタビュー」で触れています。それから、制作現場で使われていた絵コンテは第2稿で、絵コンテ集に収録されているのは第2.5稿。第2稿と第2.5稿の違いについても、インタビューをお読みくださいませ。

 現在、Amazonでは在庫切れになっているようですが、大きな書店ではまだ購入できるようですよ。

(2016年11月28日)