先週末の土曜にオールナイト「新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol. 80 アニメファンなら観ておきたい200本 『鉄コン筋クリート』とSTUDIO4℃作品」を開催した。このオールナイトで初めて『鉄コン筋クリート』や『Genius Party Beyond』を観るお客さんが大勢いた事が印象に残った。今回だけでなく、たとえば『機動警察パトレイバー』のオールナイトでも、『機動警察パトレイバー』の劇場版は初見だという方が少なからずいる。僕達が企画しているオールナイトが、若い人にとっての作品との出会いの場にもなっている事を嬉しく思う。
オールナイトのトークに参加していただいた安藤裕章さんは、現在『亜人』シリーズに監督として参加しており、その『亜人』の劇場版第2部『-衝突-』が5月6日から3週間限定で公開される。トークでも話したが、僕は第2部『-衝突-』を一足早く、試写会で鑑賞した。
第1部も大層面白かったが、第2部も楽しめた。『亜人』に関しては、僕はTVシリーズよりも、劇場版の方がずっと好みだ。『亜人』の劇場版はグイグイと話が進むところがいい。TVシリーズに比べるとドラマの細部がないのだが、まるで気にならない。見事な構成だ。やっている事はTVシリーズと同じはずなのに、より過激な作品になっている印象だ。
また、劇場版ではアクションシーンの銃声等に、派手な効果音がついており、それが効いている。3DCGで作られた画に重みがあり、迫力満点の音に負けていないところもいい。画と音のバランスがいいのだ。
パンチの効いた作品である。残酷な描写が苦手な人にはお勧めできないが、そうでないなら、是非劇場で観てほしい。
自分の中で劇場版『亜人』の位置づけは、川尻善昭監督の『妖獣都市』や『獣兵衛忍風帖』等のアクション作品に近い。ハードであり、刺激的。「大人」のための娯楽作だ。だから、『亜人』の劇場版第1部を観た時に、アニメ界で久しく空いたままになっていた席が埋まったような気がした。
これは劇場版に限った話ではないが、キャラクターの表現についても触れておきたい。『亜人』には「帽子」こと佐藤をはじめ、冷酷な登場人物が数多く登場。それが3DCGによる表現とマッチしている。手描き作画では、あのクールな感じを出すのは難しいだろう。同じくポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作を務めた『シドニアの騎士』にもそんなところがあった。いずれも企画の勝利といえよう。
それから『亜人』に関しては、あの役者さんについて、コメントしておかないわけにはいかない。佐藤役の大塚芳忠さんが最高! である。
(2016/05/02)
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