COLUMN

第450回 今年最後の

最近『てーきゅう』で、かなえ(CV.三森すずこ)に「出崎演出」と言わせて以来、自分的今年最後の「出崎ブーム」がやってきました
——『おにいさまへ…』!!

 もちろんこないだ買ったサントラがきっかけです。DVD-BOXを第1話から最終話まで見直しました!(DVD-BOXはすでに持ってましたから!)やっぱり、

出崎アニメは面白い!!
とにかくお話云々よりフィルムとして圧倒的に巧い!!

と改めて思います。特に画面を作ってる情報量のコントロールが巧みすぎでしょう! 時計塔やチャイム(鐘?)、噴水、楡の木などごく一部を描いて、他はボケや白飛ばしだけでちゃんと「学園」を表現し、踏み切りと信号だけで「帰り道」を描き出します。他の出崎作品も一貫してそうだと言えますが、『おにいさまへ…』では特に顕著です。それこそ手紙やノート、誹謗中傷ビラまで「読ませるための文字」は一切画面に出てきません(雑誌の表紙などはデザインの一部として出ますが、読ませるための文字ではなく、あくまで見せるものとしてです)。これは

余分な情報を削除し、抽象性を持たせる事で、
誰もが共感できる「青春時代」として描いている!

のでしょう。特に『おにいさまへ…』の場合、現実に置き換えてみると、少々アブないキャラが多くて(もちろんマンガとしては魅力的って意味です)、日常生活描写など、あまり現代社会をリアルに表現してしまうと、出崎監督が描きたい心情の部分に視聴者(原作を知らないアニメ初見の方は特に)が入りづらくなるはずですから。例えば宮さま(一の宮蕗子)の食生活とか考えるだけで「食事そのもののシーン」を考えたくないくらいのお嬢様でしょう? 実際、別荘の朝食で目玉焼きにナイフを入れた時点で「ギリギリだこれ!」と思ってしまいました。そう、何しろ『おにいさまへ…』は自分が高校生の頃の作品で、当時いくら出崎アニメにハマッていたとはいえ、

家族(主に姉や妹)の前で堂々と観るには
少々照れくさいくらいの女性の情念のむき出し!

に驚いたもんです。その前がOVA『B.B』(原作・石渡治/制作・マジックバス、3巻まで発売で未完)だったので、出崎作品のジャンルの広さに感動しつつも、多感な高校生男子にとっては、やはり複雑なアニメでした。だって第1話の奈々子とサン・ジュスト(朝霧れい)の出会い〜バスの急ブレーキ!〜だっこされてカメラ回り込み〜で、もうすでにカッコよすぎで、完全に酔ってますから! で、「どーみても男子」なキャラから女子の声(CV.島本須美)が聞こえるんですよ!
 ……なとこで、また時間切れでスミマセン! 続きは来年。