だいぶ前、月刊アニメージュ「この人に話を聞きたい」の取材で、アニメ様（小黒祐一郎さん）より

『てーきゅう』は今までの君の作品の中でいちばんフィットしてるよ！

と言われました。確かに作ってて楽しいし、自分も大好きな作品です『てーきゅう』は。でも、当たり前の話ですが、俺がアニメ化しなくても誰か別の監督が立ったはずの作品だし、そもそも自分が作りたいタイプの作品とは少々違います。今まで「板垣さん、どんなアニメ作りたいの？」とか「オリジナルの企画とかある？」と訊かれたりしましたが、答えは毎回同じ

作りたいと言えば、今作ってる（頂いてる）仕事がいちばん作りたいアニメであるのは間違いないし、オリジナルの企画はあるけど、今現在の優先度としては、自分の中であまり上位にくい込んではきてません！

と。これは俺の人生観に起因すると思いますが、つまり

「やりたい事」よりも「やるべき事」を優先する！

という事です。自分はずっとこれでやってきて、これからもこれで行くでしょう。演出スタイルもずっとこれが基本で、「監督の俺様がやりたい事をやるんだ！」というのではダメで、「この作品は○○を描きたがってるんだから、このキャラクターはこう動くべきで、カメラアングルはこうあるべき！」となります。それがとことん発展すると、

誰からも望まれないオリジナルよりも、
皆さんの観たがる『てーきゅう』を！

となるわけです。昔、ある哲学好きの友人に

幸せとは「やりたい事」と「やるべき事」が一致してる状態の事だ

と言われた事があり、ここから半分だけ採用してるのかもしれません。「やりたい事」は極めて主観的で他人に迷惑をかけがちですが、「やるべき事」の方はまわりに迷惑をかける事が少ないでしょう？　だから今

ウチの若手育成のためにもやるべきで、且つ喜んでくださるファンのためにも作るべき作品、
それが『てーきゅう』です！　そして『高宮なすのです！』も!!

　あと、現在のアニメ業界のためにも『てーきゅう』の作り方をもう少し書こう、と思ったのですが、それはまた次回。とりあえず今日は