COLUMN

第395回 ……で、何分よ?

まだタイトルは言えませんが、某作品のEDアニメーションを完成させ納品しました!

 仕事をいただけるのは大変嬉しいのですが、OPやEDって所詮1分30秒。コンテ切って作画をチェック(原画修正)までで1ヶ月あるかないか。つまり、アニメファンの方々が語りぐさにするほど凝って作る事も深い深いメッセージ性を込めまくる時間などもーとーありません。もっとぶっちゃけるとOPやEDを1本やったくらいでは1ヶ月食えません(むしろ本編のコンテをバンバン上げまくってる方が儲かるんです)。なのに誰が言ったのか「OP・EDは一流アニメーターのみが我がモノにできる到達点」的に思ってる新人がいます。その新人にOP・EDのギャラを教えると誰もが「そんなに安いんですか?」と。まあ、こーゆー事ばっか言うのもアニメ業界まわり(スタッフやアニメジャーナリズム、そしてアニメファン)に根強くある間違った手柄の分配を少しでも直したいからで、だいぶ前に書いたとおり、

OP・EDアニメーションにおける一番の功労者は主題歌ですから!

 今回も曲がよかったので、勢いのあるEDアニメができたと思います。このEDアニメについては、タイトルも含め詳しく語れる時期になったらもう一度話題に挙げるとして、今問題なのは

『てーきゅう』のイメージからか、
板垣にくる仕事の依頼がかなり「短編」寄りになってきてるっ!

って事で。劇場『ヴァンガード』の終わりが見えた頃にきたのが今回のEDの話。その後タッチの差で別作品のOPの話が来たのですが、こちらはスケジュールが合わずにお断りしました(スミマセン)。でさらに短編シリーズの話も別に来ましたし、某制作会社社長(兼プロデューサー)さんにも「最近『てーきゅう』みたいな短編作れません? て話がよく来るようになったッスよ〜」と言われました。自分としては『てーきゅう』にとってベストの尺が「2分」だと信じてるので、それを丁寧に積み上げてる感じでやってますが、『てーきゅう』以外の仕事が『妖狐×僕SS』(蜻蛉ED)、『戦勇。』(OP1・2、#14・15・16)、『アニサマ2013』(OP1・2・3)、で今回のEDと短編が続き

俺は尺の短いのばっかやりたいんじゃない!!

よと。別にOP・EDを作るのが嫌いとか言ってるんじゃありません! 短編アニメも大好きです! ただ「あの監督と言えばアクションか短編だよな〜」と簡単に決めてかかるクリエイティビティ皆無のプロデュースやアニメジャーナリズムが危険だ! と言ってるんです。例えば一見「アクションもの得意」で通ってるのに、ろくに自分でコンテ切らないしチェックもしない監督が、特にアクションの巧いコンテマンのコンテをそのままスルーして傑作が生まれた時、手柄を即監督に向けるじゃないですか? だって「アクションもの得意な監督」だから、カッコいいアクションシーンがあったら、コンテマンのクレジットすら確認せず「よっ!監督のアクション最高!」でしょう。その巧いコンテマンに手柄を向けてるプロデューサーもアニメ誌もないんです。で、プロデューサーやメーカーの人らと飲み会ばっかやって何本も掛け持ちしてる監督に仕事が集ま……止めた! これ以上言ってもせんないだけなので。ただ、プロデューサーやメーカーさん! 週に幾度も飲み会営業してる監督の裏で、番組が落ちないように必死で現場を支えてる演出さんや助監督さんにもう少し目を向けてやってください! アニメファンの方々も「その作品の面白さの源がどこにあるのか?」をよく考えていただきたいのです。
 ま、そんな感じで最近は自分、仕事の依頼の電話が来ると、

と返してます。