新しい読者の中には知らない人もいるかもしれないが、僕は徳間書店の「アニメージュ」で「この人に話を聞きたい」というタイトルのインタビュー記事を担当している。16年も続いている長寿連載だ。
「アニメージュ」2014年8月号(vol.434)に掲載された「この人に話を聞きたい」第169回で登場してもらったのが、アニメーション作家のラレコさんだった。新作『目玉焼きの 黄身 いつつぶす?』をきっかけにして取材を申し込んだのだ。
ラレコさんの名前を世に知らしめた作品と言えば『やわらか戦車』である。『やわらか戦車』が話題になりはじめた頃から、気になっていたことがあった。同シリーズの1話冒頭にリアルな戦車が砲撃をする描写がある。覚えている人も多いだろう。僕はあれが『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の戦闘シーンを意識したものではないか? と思っていたのだ。『王立宇宙軍』に同じ動きのカットがあるわけではないが、撃ったあとでガクンと戦車が揺れるところの「リアル感」が『王立宇宙軍』的だと感じていたのだ。次のカットで弾が跳んでいく感じも、爆発の仕方も『王立宇宙軍』の影響を受けているのではないかと睨んでいた。
今ではプロフィールを公開しているが、当時のラレコさんはなかば謎の作家であり、「14歳の女の子」らしいということになっていた。実際には14歳を自称していた期間は短かったらしいが、僕は、もしも取材を受けてもらったとしても「14歳の女の子」を名乗っているクリエイターに「あのカット、『王立宇宙軍』を意識してます?」なんて質問をするわけにはいかないだろうなあと思っていた。それをやったらあまりにも空気を読めていないインタビュアーだ。
そのことについて聞くかどうかは別にして『やわらか戦車』ブームの頃は取材をする機会がなかった。『やわらか戦車』の発表から8年ほどの月日が流れたこの2014年に、ようやく「この人に話を聞きたい」でインタビューが実現したわけだ。取材でラレコさんはフランクに自分の仕事について話してくれた。もしも、『やわらか戦車』の頃にインタビューできたとしても、こんな記事にはならなかっただろう。
気になっていた『王立宇宙軍』との関係だが、結果だけ言うと、彼は『王立宇宙軍』のファンであり、あの戦車の描写は『王立宇宙軍』を意識したものだったようだ。
近作の『ガッ活!』についても聞きたいことがあった。『ガッ活!』は快作だった。ハイテンション&ハイスピードを基本とした作品で、その語り口が心地よかった。キャラクターにも魅力があったし、なによりも各話のネタが面白かった。僕が『ガッ活!』で気になっていたことのひとつが、あの作品が大地丙太郎監督作品の影響を受けているのではないか、ということだった。ここで、それについて彼がどう答えたかまで書いてしまうと、アニメージュ編集部に申し訳ない。その記事が載っている号を手に取る機会があったら読んでいただきたい。まだAmazonでは購入できるはずだ。
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